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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第六章 聖なる三角錐編
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第五十話 バトルロイヤルの始まり

 トールが外に避難する。六人は建物中に散らばる。初戦から混戦になるのを避けるためである。

 

 一分後、建物の内部でルスが動く。白色のローブを脱ぎ捨てる。ラスと同じ顔同じ髪型の子供が素顔を晒した。違いといえば前髪が右を向いていることである。

 ルスは槌で地面を叩き、魔法陣を地面に刻む。

 その様子を物陰に隠れてルクシオンとエルフが見ていた。

 ルクシオンはエルフに小声で話しかける。

「見たでしょ。ルスが錬金術を使っているのを。彼女は格好のカモ。エルフ。最弱ではないことを証明しなさい」

 エルフが鳴き声を出すと、ルクシオンの肩から降り、静かにルスに近づく。

 ルスは一歩も動こうとしない。ルスとエルフの距離が近づき、エルフの目が赤く光る。

 エルフは絶対的能力でルスの錬金術を奪おうとしている。一方ルスはエルフの気配に気が付くと、魔法陣の上にしゃがみ、人差し指で触る。

 その後ルスの魔法陣がエルフの元に動く。その様子を見たルスは頬を緩ませる。

 次の瞬間、ルスから奪った魔法陣がエルフの前で爆発した。灼熱の炎と爆風。黒煙がルスの回りを包み込む。エルフの近くに浮いている仮面が爆風で破壊される。

「これで六位以上は確定。次はマエストロを倒して、五位以上を狙います」

 ルスは微笑み、黒煙の中で姿を消す。その戦闘をルクシオンが見ていた。

「絶対的能力。錬金術によって刻み込まれた魔法陣を爆発させる能力。侮れない能力ね」

 しばらくして、爆風に巻き込まれたエルフが目を覚ます。エルフが身に着けていた仮面の数字が減っている。後一回敗北すれば、強制リタイア。


 ルクシオンはしばらく周囲に身を隠し、様子を見ようとする。だが、ルクシオンの前にメランコリアが現れる。

「ルクシオン。ここで会ったら百人目」

 ルクシオンは白いローブを脱ぐ。肩まで伸びた長髪。頭からウサギの耳を伸ばしたスレンダーな女性の素顔を晒す。

「さあ。始めようかしら」

 メランコリアとルクシオンの戦いが始まろうとしている。

 

 その頃、マエストロは二階へと続く階段に腰かけた。

「標的はルスとメランコリア。あの二人の能力が分からない。ルスは瞬間移動が得意なヘルメス族。故に瞬間移動が絶対的能力というわけじゃねえ。まあ能力が分からなくても、戦うが」

 マエストロが不気味に笑う。マエストロはバトルロイヤルを楽しむことを誓った。

 マエストロの笑い声は、ラスの耳にも聞こえた。だが、ラスはマエストロの笑い声が聞こえた階段の前を素通りする。

 ラスは三人の能力を把握している。マエストロの何でも切断する能力。エルフの相手の錬金術を奪う能力。そして、双子の姉であるルスの能力。

 ラスは能力を把握している三人に興味を示さない。相手にするのは時間の無駄だと思うからだ。ラスの標的は、メランコリアとルクシオン。この二人を攻略すれば、自分の絶対的能力がメンバーの中で二番目に強いことが証明できる。


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