表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第四章 エクトプラズムの洞窟編
37/72

第三十七話 アルケミナとブラフマの対峙

 それから数分後、アルケミナとクルスがエクトプラズムの洞窟の出口に到着する。

 その出口には、見覚えがある男が立っている。

 一方ブラフマはアルケミナの存在に気が付き、背後を振り返る。

「アルケミナ・エリクシナか。俺の名前はブラフマ・ヴィシュヴァ。覚えているか」

「ブラフマ。会いたくなかった」

 アルケミナが率直な言葉を告げると、ブラフマが笑った。

「相変わらず毛嫌いしているな。そんなにわしが嫌いか」

「嫌い」

 アルケミナが簡潔に言葉を告げると、ブラフマは自分の意見を述べる。

「EMETHプロジェクトは、人類を進化させるための実験だろう。今後は錬金術なんて必要なくなる」

「その錬金術というシステムを無視するところが嫌い」

「EMETHは人類を進化させると言っただろう。錬金術ではできないことができるようになる。それは人類の大きな一歩ではないか」

「錬金術には無限の可能性がある」

 アルケミナは我儘な子供の如く、自身の信念を貫く。だがブラフマはあっさりとアルケミナの意見を否定する。

「無限の可能性か。錬金術の無限の可能性なんて、EMETHシステムと比べたら屁のカッパだろう。逆に聞くが、錬金術で若返りができるか。永遠の命が実現できるか。不可能だろう。賢者の石さえ創造できない錬金術に、できるはずがない。EMETHシステムを開発すれば、永遠の命という夢が現実化するかもしれない」

「永遠の命。ブラフマは腰の曲がった白髪交じりの老人だった。この世の法則だと今後あなたは老いていく。それでもブラフマは永遠の命を手にしたいと考えている。それが許せない。死に逆らって生きるあなたの生き方が許せない。錬金術を冒涜する人を許さない。同じ五大錬金術師だとしても」

 洞窟の岩に付着した雫が地面に落ちる中で、

ブラフマとアルケミナの激論が続く。ブラフマは高笑いをしながら、自分の意見を熱弁した。

「永遠の命と永遠の若さ。わしはそれが欲しい。EMETHシステムにはわしの夢を叶える手がかりが隠されている。お前だってEMETHプロジェクトチームのメンバーだった。お前もEMETHシステムに興味があったのではないのか」

「EMETHシステムと錬金術が共存すれば世界が変わる」

「EMETHシステムと錬金術が共存できない。それが分からないなら、戦うしかないな」


 ブラフマは地面に手を触れさせ、魔法陣を発動する。中央に気を意味する記号。東西に増殖を意味する魚座の記号。南北に分離を意味する蠍座の記号。その記号で構成された魔法陣からは竜巻が発生する。

 その竜巻は増殖し、アルケミナたちに襲い掛かる。

「先生。危ない」

 クルスは咄嗟に竜巻に触れる。すると、竜巻が自動的に消滅した。

 その様子を見てブラフマが拍手する。

「素晴らしい能力だ。アルケミナも能力を使え」

「嫌。ブラフマと同じ能力だから絶対に使いたくない。その能力は錬金術を冒涜している」

「まだそんなことをいうのか。意地っ張りを止めないとわしに勝てない。わしは全盛期の若い肉体。錬金術の才能。長年積み重ねてきた経験。絶対的能力。全てにおいてお前らを超越している」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ