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それは絶対的能力の代償  作者: 山本正純/村崎ゆかり(原作)
第二章 ノワール編
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第十七話 クルス・ホームの能力

 クルスがアルケミナと共にサーベルキメラを追跡しようとしていた頃、ブライアンはキメラの行方を追っていた。

 追跡の手がかりはハントが付着させた独特な煙の匂い。その匂いが付着していれば、嗅覚に自信がなくても、追跡することができる。

 そんな彼の目に上空を飛ぶ、サーベルキメラが映った。

 ブライアンが槌を叩く。東に鉄を意味する火星の記号。西に融解を意味する蟹座の記号。

南に三角形。北に牡牛座。中央に逆三角形に横棒を加えたような記号。

 その記号で構成された魔法陣によって弓矢を出現する。

「一撃で殺す」

 ブライアンは弓矢を手に取り、弓を引く。

 その矢は、上空を飛ぶサーベルキメラの腹に当たる。キメラは、その痛覚によって地面に墜落した。


 サーベルキメラが墜落したのは、木の柱を製造する工場だった。

 墜落のショックによって木の柱がサーベルキメラの体に落ちてくる。そうして、サーベルキメラは下敷きになった。

 ブライアンは、墜落したサーベルキメラに歩み寄る。ブライアンの耳にサーベルキメラの呼吸音が聞こえ、彼は標的が生きていることを知る。

「これで終わりだ」

 ブライアンが弓矢をサーベルキメラに向けると、その現場にクルスとアルケミナが駆け付けた。

「なんだ。邪魔をしたお嬢ちゃんか。俺の相棒はどうした」

 ブライアンが弓矢を構えながら少女に尋ねると、アルケミナは表情を変えず答える。

「弱かった。多分あなたも弱い」

 その幼い少女の意外な返答を聞き、ブライアンは激怒する。

「お嬢ちゃん。相棒の仇だ」

 ブライアンは倒れているキメラを横眼で見ながら、赤い蛇柄の槌で地面を叩く。

 北に発酵を意味する山羊座。南に丸を横棒で二分割したような記号。東に三角形。西に牡羊座。中央に下向きの三角形に横棒を加えた記号。

 その魔法陣によって召喚されたのは、炎に覆われた大蛇。その大蛇は地面を這いながらアルケミナに襲い掛かる。

 

 クルスは咄嗟にアルケミナを突き飛ばし、炎に覆われた大蛇に触れた。

大やけどを覚悟したクルスだったが、無傷である。それどころか、いつの間にか大蛇が消えている。

「何をした」

 ブライアンはクルスに対して問うが、クルス自身もその答えを知らない。クルスは絶対的能力を使おうという意思の元、大蛇と対峙した。その際クルスは錬金術を使っていない。

 ということは、これがクルスの絶対的能力ということなのだろう。

 クルスはまさかと思い、木の柱に下敷きになっているサーベルキメラに近づく。そして、木の柱に触れる。絶対的能力を使うという意思を持ち。

それによりサーベルキメラの体を押しつぶそうとしている木の柱がすべて消えた。もともとそこに、木の柱がなかったかのように。

 錬金術で作られた壁を破壊する。

 錬金術で呼び出された生物を消滅させる。

 そして、サーベルキメラの体を押しつぶそうとした木の柱を消す。

 それらの現象が導き出す答え。それは全てを破壊する能力。

 自分の能力を知ったクルスは笑い、ブライアンの腹をキックした。

 ブライアンはその場に倒れ、二人はハンターの追跡からノワール・ロウを救い出した


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