表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/102

続編 -高杉問題・6-

「・・・お、お待たせ・・・。」


部活が終わった後、正門で宗を待っていると、


ヨロヨロとした足取りで宗が近づいてきた。


いつもなら、宗が先に正門で待っているのに


今日は珍しくあたしの方が先だった。




しかも・・・




宗はなんでこんなズタボロになってるんだろ?




「宗、なんか・・・痩せた?」




てゆーか・・・やつれた?




「・・・そ、そうかぁ〜?」




「うん、なんか・・・、こうー、疲れきった顔してるし、


 ・・・今日の練習そんなにキツかったの?」




「いや・・・まぁ、ある意味キツかったかも・・・。」




「・・・?」




ある意味・・・?




「お疲れ様。」


なんだかよくわからないけれど、あたしがそう言うと


宗は手を繋ごうと右手をあたしに差し出した。




あたしは相変わらず優しくて温かいその手に自分の左手を重ねた。




宗はぎゅっとあたしの手を軽く握ると


「三途の川渡らなくてよかった、HP全快っ!」


と、にんまり笑った。




「あはは、何それー?」




「さっきはホントに死にそうだったんだよ〜。」


あたしが笑うと宗はちょっとげんなりした顔で言った。






「そういえば、さっき昇降口で高杉くんに会ったよ。」


高杉くんは安藤さんが嫌がらせに遭うようになってから


昇降口で安藤さんを待つようになった。




「高杉くん、相当安藤さんの事が心配みたい。


 あたしが昇降口に下りていったら安藤さんの下駄箱覗いてて、


 『何してるの?』って声掛けたら、安藤さんが下駄箱開ける前に


 怪しい物があったら排除しておこうと思ってチェックしてたって。」




高杉くんはあの事件以来、昇降口で安藤さんを待つ間、


毎日欠かさず安藤さんの下駄箱におかしな物が入っていないか


チェックしているらしい。




「へぇー。安藤さん、あれからなんかあったっぽい?」




「ううん、何もないみたい。」




安藤さんへの嫌がらせは、あの剃刀の刃が入った封筒があったぐらいで


それ以降は何もないみたいだ。


だから高杉くんも最近は一応、下駄箱をチェックするものの、安心している。




あれからもう二週間が経つ・・・




嫌がらせは本当に無くなったのかな?






―――翌日の放課後。


いつものように部活が終わって昇降口に行くと人影が見えた。




高杉くんかな?




あたしの目に映った人影は安藤さんの下駄箱を開けて中に何かを入れた。




・・・?




高杉くん、何をしているんだろう?




用事が出来て一緒に帰れなくなって置手紙でもしたのかな?


でも、それなら普通メールを送るだろう。




あたしはその人物に近づこうと足を一歩踏み出した。


すると昇降口の扉が開き、誰かが入ってきた。




安藤さんの下駄箱の前にいた人物は昇降口の入口に行こうとしていた足を止め、


逃げるようにあたしの方にくるりと方向転換した。


そして、あたしがいる事に気がつくと驚いた顔で


あたしと視線を絡ませた。




「・・・あ。」




高杉くんじゃない・・・。




それは見かけた事のある男子生徒だった。




確か、安藤さんと同じブラスバンド部の人だ。


上履きの色を見るとどうやら二年生のようだ。




あたしは何故こんなところに二年生の先輩がいるのか


不思議だった。


だって、ここは一年生の下駄箱しかない。


二年生と三年生の先輩の昇降口は別の場所だ。




「平野さん?」


あたしと先輩が見つめあうように黙ったまま立っていると


入口から入ってきた人物が声を掛けてきた。




高杉くんだ。




「・・・っ!?」


先輩はその声に少しだけ振り返り、足早に昇降口を出て行った。




「どうかしたの?」


高杉くんはあたしから離れていった先輩を不思議そうな顔で


見送りながら安藤さんの下駄箱を開けた。


あたしも急いで安藤さんの下駄箱を見に行くと、


あの剃刀の刃が仕込んであった時と同じ白い封筒が置いてあった。




・・・やっぱり、置いてあった。


という事は、あの時もあの先輩が・・・?




「・・・っ!?」


高杉くんは封筒を下駄箱から出し、


「もしかして、さっきの先輩が置いていった?」


と、あたしに尋ねた。




あたしはその言葉に頷いた。




すると、高杉くんは急いで先輩を追いかけ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ