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続編 -高杉問題・1-

初めてのキスの後―――。


琴美がちょっと恥ずかしそうに俯いた。




可愛い・・・


マジ、鼻血出そーっ!




「琴美、写メ撮ろうぜ。」




俺と琴美の“両想い発覚記念日”。




琴美の肩を抱いて携帯のカメラのシャッターを切った。




・・・ピロリロリ〜ン♪―――。




窓から差し込む夕陽のオレンジ色が


すごく綺麗に琴美を映し出していた・・・。






「・・・帰ろっか。」




「うん・・・。」




俺と琴美は手を繋いで美術部の部室を後にした―――。






「琴美はいつから俺の事好きだったの?」




「んー・・・、正確には初めて会った時かなぁ・・・?」




「えーっ?でも、あの時俺の顔見えてなかったんだろ?」




「うん、でもなんて言うか・・・雰囲気というかー・・・


 そういうのですごく気になってた。」




「ふぅーん。」




なんかよくわかんないけど一種の一目惚れか?




「んで、夏休みの前あたりからちょっとキュンと来て、


 宗があの時出会った人だってわかってからは一気に・・・かな。


 でも、まさか宗の好きな人があたしだなんて思っても見なかった。」




「俺、結構“好き好き光線”出してたのになー。」




「えっ!?そうなの?」




「ホントにわかんなかった?」




「うん、まったく。」




俺の光線が足りなかったんだろうか?


それとも・・・琴美が鈍いのか?




まぁ、いっか。


こうして琴美と付き合う事になったんだし♪






そうして手を繋いだまま駅までの道を歩きながら、


いつもよりゆっくり歩いていると


「平野さん。」と男の声がした。




誰だ?




俺と琴美がその声がした方に顔を向けると


高杉が立っていた。


すぐ後ろには同じクラスの安藤さんもいる。




「ちょっと話があるんだけど、いいかな?」




「え・・・、う、うん・・・。」


琴美は戸惑いながら返事をした。




まさか・・・さっきの続きか?




「さっきの話なんだけどさ・・・。」


高杉は俺が真横にいるにも拘らず話し始めた。




お、おいっ。


マジか?




つーか、傍に安藤さんもいるだろっ。




「あの話・・・忘れてくれる?」




・・・は?




「・・・へ?」


琴美は高杉が言った言葉の意味がいまいちわからないらしく、


反応するのに間があった上、首を傾げたまま固まっている。




「いや、実はさー、俺、安藤さんと付き合う事になったんだ。」


そう言うと高杉は安藤さんに「なっ?」と視線を向け、ニッと笑った。


よく見ると高杉と安藤さんはすでに手まで繋いでいる。




「だからー・・・勝手な事言って悪いんだけど


 あの話、忘れて?ごめん。」


高杉は申し訳なさそうに空いている片方の手を


両手を合わせて謝るみたいに顔の前で縦にした。




「てか、俺らも付き合う事になったから。」


固まったままの琴美の代わりに俺が高杉に言うと


「あ、やっぱ、そうなんだ?」


と、にやっとした。




「平野さんと二ノ宮が手を繋いで歩いてくるのが見えたから


 わざわざ言わなくてもいいかなー?とも思ったんだけど


 まぁ、一応言っといたほうがすっきりすると思って。」




「そっか。」




「んじゃ、そういう事だから。」


それだけ言うと高杉は安藤さんと一緒に俺達に手を振り、歩き始めた。




意外と高杉もこういう事には律儀と言うか、


きっちりしてると言うか・・・。


俺や安藤さんがいる前で琴美にわざわざこんな話をしたのも


多分、アイツなりに考えての事だろう。




まぁ、とにかくこれで“高杉問題”はクリアしたワケだし。




・・・て、琴美はまだ固まってんのか?




「琴美?」


琴美の顔を覗き込むと目をパチパチとさせ、


「あー、びっくりした。」


と、俺と顔を見合わせた。




お、ようやく動いた。




「しっかし、高杉も忙しい男だなぁー。


 琴美に告ったり、安藤さんと付き合い始めたり。」




「でも、安藤さん、前から高杉くんの事好きだったし。


 これでよかったんじゃない?」


琴美は高杉と安藤さんの後姿をにこにこしながら見送った。




「へー、そうなのか?」


安藤さんが高杉派だという事は、前々から知っていた。


けど、彼女はどちらかというと大人しい性格だし、


あの熱烈・・・いや、強烈?“高杉ラブ”の榎本さんみたいに


ぐいぐい行くタイプでもない。


いつも高杉派の輪の中にはいるものの、


安藤さんから高杉に話しかけてる所も


あまり見たことがなかった。




「校外学習の時、あたし、高杉くんのグループから


 替わったでしょ?あれ実は安藤さんと談合したの。」




「談合?」




「あたしが高杉くんと同じグループになって落ち込んでたら


 メグちゃんが同じグループの安藤さんが


 どうしても高杉くんと一緒がいいって言ってるから


 替わってもらったら?て話をつけてくれて、


 それで替わったの。」




「あー、なるほどねー。」




「だから、あたしにとって安藤さんは“女神様”なんだ。」




「ははは、なんだそれ?」




「“救いの女神”。」




「てか、そんなに高杉の事イヤだったのか?」




「嫌って言うか・・・あの頃はとにかく


 あんまり顔を合わせたくなかったの。


 今はそうでもないけど。」




「ふぅーん、なんで?」




「だ、だって・・・その2ヶ月前にフラれたばっかりだったし、


 てっきり別の高校に行くと思ってたのに


 なぜか同じ高校で、しかも同じクラスって・・・。」




「まぁ、確かにそれはあんまり顔をあわせたくないな。」




「でしょ?」




「けど、これで高杉も琴美にちょっかい出さなくなったし。」




「安藤さんとうまくいってくれればいいね。」




「けど、アイツはなー・・・。」


俺がそう言って琴美をちらっと横目で見ると


琴美も同じ事を思っていたのか苦笑いをしていた。

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