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スリーピングビューティー “剣術に全てを捧げたこの俺のスキルが魔法使いだと??”  作者: 鰺屋華袋


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16/31

ep16. スキルの謎……➁

「なあ、そこのアンタ! そろそろ姿を見せたらどうだ? 恥ずかしいって歳でもないんだろ?」


 俺が声を上げてほんの数瞬、街道の木陰から現れたのは……フード付きの多機能(タクティカル)ジャケットを着込んだ痩せた男だった。


「一つ聞きたいんだが……何故俺が君達を尾行している事に気付いた? 俺が知る限り、君はおろか連れの二人も()()()()()()()()()()()()()()()()()()のに」


 どうやら男にはこちらを尾行してた事を隠す気は無い様だ。フードの影から見えるアバターの顔は国籍不明……プレイヤーに知り合いの少ない俺には当然見覚えは無い。


「ストーカーにそんな事を教えてやる義理は無いなぁ……あの男に見覚えは?」


 男の姿を視界に捉えた俺は、二人に見覚えが無いかを確認しつつ……危険度判定を一段階引き上げた。


(なんだコイツ……武道系の体捌きじゃねぇけど……気配が……()()())


「私は……見た事ないわ」


 フローは知らない……


「私も知らない」


 ミューの知り合いでもねぇ……


「……ストーカー呼ばわりは酷いな。ちょっと声をかけるタイミングを失っちまっただけで、危害を加えるつもりは無いんだ……少なくとも今はな」


「なんだ……あんたコミュ障なのか? 確かに陽気な人間には見えねぇけどよ」


 おっと、気配は薄いままなのに()()が漏れだしてきた……器用な奴だな。


「まぁいい……君に質問だ。今後も闘技場(ワンハンドレッド)に参加するつもりか?」

 

(……? 質問の意味が分からん……)


 男の発言の意味が理解出来無かった俺とは逆に……


「オマエ……ギルドの関係者か?」


 ミューには男の素性にアタリがついたらしい。


「関係者……ってな随分便利な言葉だな。まぁ顔見知り程度でも関係者って言えるならそうかもな。それより……どうなんだ?」


「……そうだな、そのつもりだと言ったら……どうなるんだ?」


 男は、フードの上からこめかみ辺りを掻きながら……


「……ちっと面倒な事になる。ぶっちゃけ俺を派遣した人間は闘技場(ワンハンドレッド)の秩序が乱れる事を懸念してる。昨日君がやったみたいな大物(ジャイアント)喰い(キリング)はそうそう起こって貰っちゃ困るんだ。例え消化試合だとしてもな……」


「オマエ……まさか“賭け屋(ブックメーカー)”の遣い??」


 男のセリフに反応したミューが、即座にショートソードを抜き放つ。


「……俺があんたなら……その名前は安易に口にしないがね?」


「アドバイス……アリガトっ!」


 その瞬間……ミューが……消えた??


(いきなりスキルぶっ放した?!)


 ― ギィンンッ!! ―


「おいおい……()()()()()()()()()()()


「……問答無用……アイツの遣いに気遣い無用」


「落ち着けよ……喋り方が下手なラップみたいになってるぞ」


(凄えな……アレを防ぐのか)


 問答無用で仕掛けたミューのスキルと斬撃のコンボが……身動き一つしなかった男の()()で止まっていた。


「クッ……障壁(ウォール)系のスキル持ち……」


 ― スッ ―


 男のフードが少し揺れて……ミューを視線に捉えようとした瞬間……


 ― バッ ―

 ― キィンッ ー


 ほぼ同時に、ミューが全力で男から身を翻し、俺の投げたクナイが男の手前で弾かれた。


「……隙をつくのが上手いな」


「……よく言うぜ」


「お前等の言う事なんか聞く必要無い!!」


 (おー……ミューの奴、激おこじゃんか……)


 これは、もしかし……無くても、ミューとその“賭け屋(ブックメーカー)”って奴との間でなんかあったな……


「……俺は彼と話してるんだよ。人の会話を邪魔しちゃ駄目だって、親に習わなかったか?」


「煩い!! お前等みたいなP(プレイヤー)K(キラー)のせいで……!!!」


「あ〜……ミュー、分かったからちょっと引いてくれ」


「でもっ!!」


「なっ……頼むから?」


「〜〜!!」


 ― ザッ…… ―


 俺の言うことを渋々聞き入れたミューだが……それでも俺の前で警戒を解かない。男は現れた木陰から全く動かず、成り行きのままこちらを見ている。


「で……あんた……あんたの事は何て呼べばいい?」


「……何とでも……」


「じゃあ……“あんた”で通すぜ。とっとと帰ってその親分だか胴元だかに伝えてくれ。『お前の事情なんか知らん』ってな」


「……そう言われるんじゃないかと思ってたよ。だがなぁ……正直な所、事は君が思うより深刻なんだ。ぶっちゃけて言えば“闘技場”の結果にはかなりの“掛け金(リアルマネー)”が動く。昨日程度の珍事ならまだどうとでもなるんだが……下手をすれば“アバター”のロスト()()()()()()……かも知れんぜ?」


「そりゃあ何か? リアルの俺に危害を加えるって脅しか? アンタを寄越したのが何者か知らんが、天下のFOL社のシステムにクラッキングかまして40億オーバーのプレイヤーの中から俺を見つけると?」


「……いや……そんな手間は掛けられないだろうな。だが……」


 瞬間……男の手が懐から取り出した拳銃を()()()()()()()


「君は強いな。序列七位も自分の身は守れるだろう。だが……このゲームは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「やめろ!!! お前等またっ!」


 ミューが即座にフローへ向かう射線を遮った。フローは……突然自分に向けられた銃に若干青ざめてる……


 (ふーん、相手の弱い所を脅しの材料にする……か。典型的な反社(ヤクザ)の手口だな。ミューが俺達との会話で楽しそうにしてる理由も……多分コイツらのせいか)


「なるほど……なぁ、あんたに一つ質問。俺達をここで皆殺しにしても所詮アバターが死ぬだけだろ? 俺達が別のアバターでまた闘技場に現れたらどうすんだ?」


「……また“ゲームに肌が合わず離れるユーザー”が出るんだろうな。まあ、俺には関係ないさ」


 なるほど……悪質だ。多分……運営に通報しても無駄だな。奴等こそアバターを変えるだけか……

 

「さあ……そろそろお喋りは終わりだ。今後君が闘技場に現れないなら何も問題はない。もし答えがさっきと同じなら……これから君や君の関係者のアバターは()()()()()()()()()()()だろうな……返答は?」


「あんたの話を聞いて……もう一度考え直してみたよ」


 俺の答えに……驚いたのは男の方だった。


「そいつは……ちょっと意外だな。もう闘技場に未練はねぇって事か?」


「確かに闘技場にはそれ程未練はねえよ……でも考えてたのは別の事さ……」


 俺は警戒を解かないミューの前に一歩出る。それを見たミューが……


「……私との約束?」


「……それは本当に興味ねぇ」


「……ガーン……」


 ― ガチンッ ―


「おいおい……じゃあどういう意味だ?」


 俺とミューの掛け合いに苛ついたのか……男は銃の撃鉄(ハンマー)を起こして声を低くする。


「なに……レイドまでそれ程時間がねぇのに……()()()()()って事さ」


「……何を??」


 俺は、無言でクナイを取り出した。残りは四本……


「簡単な事さ。お前等の()()()……根こそぎ“ゲームに肌が合わなく”してやるよ」


もしも……もしも気に入ってもらえたなら!!


いいねやブクマ、感想、レビュー……勿論☆の評価も!! 


何でも反応頂けたら嬉しいです!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)


あと……現在幾つかの作品を連載中です!


宜しければ覗いてやって下さいm(_ _)m


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