51話 プロローグ
「がっ……!」
体が後ろに傾いていく中、俺は肺に残ったわずかばかりの空気が痛みとともに飛び出る。
何とか体勢を立て直そうとするも体は言うことを聞かない。死神がこちらに来いとでも言うように背後から地の底に引っ張られていく、そんな感覚。
右腕はすでに業火とでもいうような灼熱の炎によって塵と化しており、右腕の肘から先は消えていた。
体中を熱が支配しており、それが外部からのモノか痛みによって内部から発症したモノかはわからない。
ごぼごぼと口には血の泡が噴き出ており、見えてはいないが床はきっと汚れ切った血の湖ができていることだろう。
腹部には胎児が入ろうかというほどの裂け目ができており、そこから臓器と思われるグロテスクなモノが遠慮なくあふれ出ており、その姿がなおさら今の俺の姿を無様に表していることだろう。
意識が遠のいていく中、俺はここに至るまでの経緯をたどるべく記憶の海に溶けていった。
目の前では竜が醜悪な笑みを浮かべていた。
1.5章スタートです!
時系列としては羅黒がアステラと会う前で、羅黒が中三、琴音が中一です。
まだ羅黒は五体満足な状態で、両腕、両足しっかりあります。そこらへんも含めてよんでいた頂くとありがたいです!




