傷だらけの体(2)
「…奥様、奥様。」
「う…ん?」
目を開けるとミサが目の前に立っていた。
「奥様、もう夜でございます。夕食が遅くなってしまいますのでご準備させて頂いても宜しいですか?」
「そうね…お願い。でも私あまり量を食べられないかもしれないの。ここ何日かご飯を食べてなくて…いきなり食べたらお腹を痛めてしまうから…。」
「…食べていないんですか?」
「え?うん4日くらい食べてないかもしれない。」
「…承知しました。それでは消化に良いものをお持ちいたします。」
「ありがとう。凄く助かる!」
「では、失礼致します。」
ミサは部屋を出た。
私はディミトリア家にいた時に3日に1回しかご飯を食べられなかったからそれが当たり前になってしまっていた。
(ただ…こういう事はあまり言わない方が良かったのかな…?)
「奥様…宜しいでしょうか?」
コンコンとノックしながらミサの声が聞こえる。
「どうぞ。早かったのね?」
「いえ…奥様。予定が変更になりまして…今から旦那様と一緒にお食事を摂ることになりました。」
「え!?い、一緒に!?どうしよう…私マナーとか分からないし。断ったり…」
「申し訳ありません。旦那様が是非にとお待ちになられております。」
ミサも少し戸惑っている。急な誘いだったんだろうけど何だか断れなさそうな雰囲気だ。
「えぇ??一緒に食事することは無いって言ってたのにどういう事〜?…分かった。今から行くわ。」
「ありがとうございます。少し御髪を整えさせて頂きます。」
「あ、ありがとうミサ。」
ミサは目を丸くする。
「奥様、メイドにはお礼を言ってはなりません。しっかりと格差を守らなければ。」
「そうか…この世界って格差社会なのよね。他の人にはするけど…ミサには無理かも。だって本当に感謝したい時にありがとうが言えないなんて人としてダメになってしまいそうだからミサだけには言ってもいい?」
ミサはセシリアを見つめながらフッと笑う。
「駄目です…がたまには目を瞑りますね。」
「フフッ…ミサ、私に優しくしてくれてありがとう。久しぶりに優しくしてもらえたから生きてて良かったって気持ちになるわ。」
「奥様…。さぁ、出来上がりました。部屋までご案内致しますね。」
「ありがとうミサ!」
「奥様!今からその言葉は言ってはなりませんよ。」
「あ…そうだった。頑張るわ!」
セシリアの放っておけない性格がミサには愛おしく感じて笑顔が溢れた。
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