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地下牢(1)

「セシリア、段差を気をつけて。」

「ありがとうございます、アーヴィン様。」

「奥様、やっぱり心配なので私が抱えていきましょうか?」

「え…」

ミサは私を抱えようとしているとソクラテスがミサの手を止める。


「待てミサ、ここは私がいるから大丈夫だ。奥様、私が先頭に立ちますのでもしよろけた時は思う存分私にぶつかって下さい。」

「え、ええ…」



ソクラテスはかなり近い距離でセシリアの前を歩く。


(というか、ソクラテスもミサも近すぎて逆にぶつかって転けそう…)


「おい…ソクラテスとミサも俺の前で気軽に触れようとするな。」


ミサとソクラテスはしぶしぶセシリアから離れた。


「あの…ミサとソクラテスもなんで来ているの?」


「それは奥様が心配だからです!」


2人は声を揃えて言った。


「で、でもアーヴィン様だっているし…ね?」

「奥様、私は少しでも離れてしまった罪悪感を拭うためにここにいます。どうか私も一緒に連れて行って下さい。」

「ミサ…分かったわ。」

「奥様、私は奥様の義姉が地下に収容されてから、彼女の担当をしておりましたのでここにおります。彼女は反省の色もありません。会うなど…本当はお勧めできないのですが…。」

「そうだったのね…。義姉のお世話をソクラテスがしてくれていたのね。ありがとうソクラテス。」

「いえ…当然なまでです。」


「ミサ、あいつ今照れてるよな。」

「ええ、あの表情一見無表情に見えるけど照れてますね。」

「ちょ、旦那様もミサも茶化さないで下さい!」


3人のやりとりを見てセシリアは笑う。


「やっぱり私、3人で仲良くしてる姿を見るのが好き。ここの人達は暖かいし優しい。本当に皆と出会えて良かった!」


「セシリア…」

「奥様…」


「セシリアはずっとここにいて貰うんだからな。もう何処にもいくなよ。」

「はい…居させてください。」


セシリアとアーヴィンは2人で見つめ合い微笑む。


「旦那様、奥様、此方の部屋にファネット嬢がいらっしゃいます。奥様、部屋の中には入れませんのでご容赦ください。」

「分かったわ。」


ソクラテスがコンコンとノックをして部屋を開けた。

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