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冷酷なアーヴィン(2)

セシルが部屋から出て行った後、ソクラテスが入って来た。


「旦那様、ファネット嬢は今までのご令嬢とは少し毛色が違った方のようですね。」

「そうだな…。喜んでサインしてくれたよ。」


ソクラテスは一瞬目を丸くした後ゲラゲラと笑う。


「喜んで!?そんなご令嬢いますか?普通は激怒して帰ってしまうのに!面白いご令嬢ですね。噂で聞いていたファネット嬢とは全く違いましたが…」


ソクラテスはチラッとアーヴィンを見る。


「そうだな、あの女性は本当にファネット嬢か?我儘で自己主義、気に入らないと手を上げると聞いていたが…」

「噂は当てにならない…という事でしょうか?」

「ソクラテス、ディミトリア家を調べてくれ。もし別人を送り込まれてきたのならば、それ相応に対処せねばならん。()()()ね。」

「承知しました。…あの女性少し気になることがありまして…この家に到着した時持ち物は救急箱1つだけでした。馬車から降りた時も服に血がついており、自分で治していた形跡も。彼女はもしかしたら無理矢理馬車に乗せられたのではないでしょうか?」

「…そうか。またディミトリア家について分かったら教えてくれ。」

「承知いたしました。」



セシリアは自分の部屋でくつろいでいた。


「凄い…もう新しい服が用意されてる!こんなに綺麗な服着てもいいのかしら。」

「奥様、湯浴みが整いましたので入られてください。」


メイドが声を掛けてきてくれた。


「あの…私は1人で入るので」

「駄目です!汚れが酷いですし、1人でなんて旦那様に叱られてしまいます!」

「貴方の名前は…?」

「私はミラと申します。旦那様にはファネット様のお世話をするようにと仰せつかっております。」

「じゃあ…ミラだけ湯浴みお願いしたいわ。他のメイドは呼ばないで欲しいの。」

「承知しました。仰せの通りに。」


私は服を脱いでお風呂に入った。


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