合流(1)
馬を走らせセシリアを探している途中、雨が降ってきたがアーヴィンは気にも止めずに無我夢中で走っていた。
(ミサのメッセージはまだ無い…このまま真っ直ぐに行けば山だ。セシリアは山の中なのか…?)
山の手前で赤い布のような紐が木に巻き付けられているのを発見し、アーヴィンは馬を止めて降りた。
「これは…」
紐に文字が書かれている。
「このまま、真っ直ぐ、山の中…やはり山の中に行ったのか?」
アーヴィンはまた馬に乗り走らせた。
山の中に入る手前で馬車と1人の女性が立っているのを発見したアーヴィン。
「ミサ…?ミサか!?」
ミサの手には刃物があり、馬車の御者を睨みつけていた。御者は恐怖で腰を抜かし声も出ない程に震えていた。
「待て!ミサ!」
「………旦那様…こいつ殺していいですか?奥様を山の中に捨てて来たって…」
「ち、違うんだ…は、話を聞いてくれぇえ!」
御者はやっとの思いで声を出す。
「ミサ、やめろ。」
「………承知しました。」
御者はまだ腰が抜けて立たないが少しホッとしていた。
「お前、この馬車で何処に行こうとしている?」
「わわわ私はファネットお嬢様の命令で…セシリア様を山の中か隣町に捨ててこいと言われましたが…セシリア様が私を巻き込む訳にはいかないと…1人で進むから帰っていいと言われたんです…」
ミサは御者の顔に刃物を突きつけた。
「…だからお前は奥様を捨てて1人のうのうと帰ろうとしたのか。」
「ひぃぃ!と、とんでもない!!誰かにセシリア様を助けて欲しくて探しにいこうと思ったんです!だから貴方を見て止まろうとしたら襲い掛かかって来たんじゃないですか!」
「ミサ、もういい。…セシリアは今何処で馬車から降りたんだ?」
「は、はい…馬車で5分くらい走った場所だったと…一本道だったので分かると思います。」
「そうか。」
ミサは片手で御者を掴みあげた。
「ひぃぃ!ご、ごめんなさいごめんなさいぃ!」
「旦那様、こいつどうしますか?」
「セシリアが悲しむだろうから逃がしておけ。お前ディミトリア家の御者だろう?」
「は、はい仰るとおりです…。」
「ミサ、行くぞ。」
「承知しました。」
ミサはドサッと御者を乱暴に下ろし、アーヴィンと急いで山の中へ入った。
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