山の中(2)
「はぁ…はぁ…ちょっと休憩…」
日も暮れ始め、だんだんと暗くなってきていた。
暫く歩いていたセシリアは頭の傷の痛みと足の痛みで立ち止まった。
(このまま下に降りられなかったら私死んじゃうんだろうな…出来る所までは頑張らなきゃだけど…そろそろ限界かも…)
「この本…もう暗くて読めないけど何の本かしら…。」
セシリアは本を開こうとした。
その時、ゴロゴロゴロと遠くの空から雷の音が聞こえた。
「え…雨!?どうしよう濡れないように何処かに雨宿りしなきゃ…。」
セシリアは本を抱えて歩き始めた。見る限り小屋等は無く、木々が生い茂っているだけだった。
「どうしよう…雨が降るまでまだ少しだけ時間がありそうだけど、どこにも雨宿り出来る場所がない…」
セシリアは辺りをキョロキョロしながら探していると次第に雨が降って来てしまったので1番大きな木の下に座って一旦雨宿りする事にした。
(少し慣れてるけど…ここならまだマシかも…)
「ハァ…私って本当に散々だわ。異世界な飛ばされるし、飛ばされた先では酷い仕打ちにあうし、やっと幸せになれると思ったらこうなるし…私この後どうすればいいんだろう…。」
セシリアの頰には涙が溢れていた。
「もう!!私が何したっていうのよ!神様の馬鹿ーー!!」
(本当にこの人生最低…!この後死んだら散々文句言ってやるんだから!)
大声で叫びながら泣いていたセシリアは痛みと疲れで少し眠ってしまった。
◇
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ーーーーヴェリエール家ーーーー
「ソクラテス、ミサが何処を探しているのか分かったか?」
「はい。馬車の跡を追って東の方向へ向かったと思われます。」
「東か。そうなると、あの山に向かって走れば合流出来るかもしれないな。」
「はい。恐らく奥様を乗せた馬車は実家には戻っていないのでは…途中赤い紐がある場合はミサからのメッセージが残されていると思います。」
「分かった。ソクラテス、一緒に来てもらおうと思っていたが予定変更だ。セシリアの義姉の様子を見て置いてくれ。俺とミサで探しに行ってくる。」
「承知しました。」
「じゃあ頼んだ。」
アーヴィンは急いで東の山へ向かって走り出した。
(セシリア…何処だ…無事でいてくれ…元の世界に戻らないでくれ!)




