消えたセシリア(2)
馬車が小さく消えていくまでファネットは見送った。
「はぁ…清々したわ!やっとアーヴィン様も侯爵夫人も私のものになるのね!!」
ファネットは軽い足取りで歩いていると前からミサが歩いてきた。
「奥様が心配でお迎えにあがりましたが…奥様は…セシリア様はどこにいらっしゃるんですか?」
「あら…貴方は…あの生意気なメイドね?今日から私が侯爵夫人になるのよ。セシリアなんてどうでもいいのよ!」
「セシリア様は何処にいかれたのかと聞いているんです。」
ミサの形相に恐怖を感じとるファネットは一瞬怯む。
「な、なによ!本当に生意気なメイドね!セシリアなら馬車でここから逃げたわよ。元の世界に戻りたいっていうから馬車に乗って貰ったわ!代わりに私に侯爵夫人を務めて欲しいって……」
「本当にセシリア様が仰られたんですか…?」
更に怖い表情になるミサ。
「え、ええ…そうだって何回言わせるのよ。」
「どちらに行かれたんですか?ご実家に帰られたと言う事ですか?」
「知らないわよ!私を置いて先に馬車に乗って行ってしまったから家にでも帰ったんじゃないの?!」
「そうですか…ではファネット様、旦那様がお帰りになるまで部屋で待っていて下さい。」
ミサはまた家へと戻って行く。
「な、何よあのメイド…無愛想すぎるし生意気だわ。後でアーヴィン様に言ってクビにしてやる…」
ファネットはミサの後を追い、家の中に入った。
◇
◇
◇
◇
「ちょっと、いつまで待たせるのよ!もう2時間も待ってるわよ!?あの生意気メイド呼んでちょうだい!」
ファネットは応接室で1人で待たされていたがとうとう痺れを切らして部屋から出て近くにいたメイドに怒っていた。
「も、申し訳ありません…メイド長からはもうすぐ旦那様が帰られると話されておりました。も、もう少しお待ちください。」
「フン……ったく使えないやつらね!」
ファネットが部屋に戻ろうとすると玄関のドアが開く音がした。
「遅くなった。……セシリアは何処だ?部屋にいるのか?」
「旦那様お帰りなさいませ。そ、その…奥様は…」
「ミサもいないようだが…?」
(アーヴィン様の声だわ!!やっとアーヴィン様に会える!)
ファネットは急いで玄関に向かった。
「アーヴィン様…!!」
アーヴィンは声のする方へ顔を向け、一瞬で表情を歪ませる。
「何で貴方がここにいるんですか?ファネット伯爵令嬢…」
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