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勘違い(1)

「セシリア、もうこの部屋からは俺の許可なしでは出ないようにね。」


部屋へと連れ戻されたセシリアは早々にアーヴィンから笑顔で告げられた。


(さっきまで怒ってたのに笑顔で言われたら逆に怖い…それでもちゃんと誤解を解かないと!)


「アーヴィン様、私の話を聞いて欲しいんです。」


セシリアはアーヴィンの腕を引っ張りソファに一緒に座る。


「実は私…言い難いんですけど…い、嫌だったんです。」

「嫌…?」

「はい…」

「何が嫌だったんだ?」

「ミサとアーヴィン様が他の方よりも仲良くて…親密な気がしたんです。」

「ミサと俺が…?」

「はい…。それに私はいずれ離縁する身です。アーヴィン様達が優しくして下さってる今がとても幸せで…この温かい環境に慣れてしまって、1人になった時に孤独になるのが怖くなって…それに元の世界に戻れたとしても今更私の居場所なんてないのかもしれない。何処にいても私の居場所はなく独り…。だけどそんな事アーヴィン様に言えなくて。変な態度をとってしまってごめんなさい。」

「ソクラテスとその事を話していたのか?ミサの事や不安な事も。」


セシリアはコクンと頷いた。


「何故俺に言えなかった。ソクラテスが好きだからか?」

「違っ…そうじゃないんです!そうじゃない……だって…嫉妬してたなんて恥ずかしくて言えない…じゃないですか。」

「嫉妬…?セシリアが俺に…?」


アーヴィンがセシリアを見ると真っ赤になっている顔を隠していた。

その姿が可愛すぎてアーヴィンも顔を真っ赤になる。

アーヴィンはそんな顔を見られたくなくて隠すように横を向いた。


(え…アーヴィン様に顔を逸らされた…?そうよね…私が嫉妬なんてしたら迷惑よね…)


セシリアはアーヴィンの態度にショックを受けた。


「私なんかがアーヴィン様に嫉妬なんて烏滸がましいし。ごめんなさい…ちゃんと契約上の関係だって分かってますから。こんな気持ちにならないように…」

「待て!」


アーヴィンはセシリアの肩を掴んだ。


「セシリアは…俺の事が…その…好き、と言うことか?」



「え…?私が…」


(私が…アーヴィン様を…?好きになってはいけない人だからそんなこと考えたことなかった…でも…アーヴィン様は私が偽ってこの家に来た事も咎めなかった。優しく介抱してくれた。それにディミトリア家では酷い扱いだった事も承知の上で黙ってこの温かい居場所をくれた…一緒にいると凄く楽しくてドキドキして…そうか、私…)


セシリアは自分の気持ちに気付いた。



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