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本音(2)

ーーーー次の日ーーーーー



朝食を2人で取っているがいつもより元気がないセシリア。



「セシリア、昨日から少し元気がないが大丈夫か?もし体調が悪いなら仕事は休んでいいぞ。」

「いえ!大丈夫です!ごめんなさい…少し考え事をしていただけなのでお仕事はしっかりこなします!」

「……そうか。」



「ミサ、昨日の夜何かあったのか?」


どことなく雰囲気が悪い2人を見てソクラテスは隣にいるミサに小声で話しかけた。


「いや、特にない。というか私にも分からないんだ。奥様が昨日の夜泣いていて…旦那様にも私にも教えてくれないから困っている。」

「そうか…時間が解決してくれるのを待つか。」

「まぁ、旦那様がかなり気にされているから早く元気になってもらいたいが…」

「ああ、そうだな。旦那様も一緒に元気がなくなってきているのはしんどいな…」


ソクラテスはため息を吐いた。


その後、食事が終わって。


執務室でも2人の空気は変わらなかった。



「旦那様、タルバン公爵が応接室でお待ちです。」

「ああ、分かった。ソクラテスすまないが後はセシリアと2人で書類に目を通しておいてくれ。少し離れる。」

「承知いたしました。」


アーヴィンが部屋から出た後、ソクラテスはセシリアに近づいた。



「奥様、何かありましたか?」

「…え?」

「何となく元気がないような気がしたのですが。」

「え、分かっちゃう…?やっぱり良くないよね。早く気持ち入れ替えなきゃいけないんだけど…ねぇ、ソクラテスはミサと仲がいいよね?」

「そうですね…小さい頃から一緒ですから。」

「ミサはアーヴィン様とも昔から…?」

「ええ。私達3人は小さい頃から顔見知りですから…」

「そう……昔から知り合いなのね。」


セシリアはチクンと胸が痛み、少し悲しそうな表情を見せた。


「奥様…もしかしてミサと旦那様の仲が気になってるんでしょうか?」

「うん…実は少しね。」


ソクラテスはクスッと優しく微笑んだ。


「奥様、大丈夫ですよ。旦那様とミサはそう言った関係ではないので安心してください。小さい頃から2人を見てきている私が断言します。」

「そう…なの?……最初はミサとソクラテスが恋人なのかと思ってたけど、アーヴィン様とミサの距離が近かったから気になっちゃって…」

「私とミサが恋人ですか?!絶対にないですね。アレは同性の腐れ縁と思って接していますから。ミサが恋人だなんて恐ろしい…あんな強すぎる『あんさ…』」


ハッとしたソクラテスは口にしかけた言葉を手で塞ぎ紡いだ。


「あんさ…?って何?」

「いえ、何でもございません。とにかく、奥様が心配なさる関係ではないですのでご安心ください。」

「……ありがとう。ソクラテスは優しいね。アーヴィン様、ミサに対する態度が他の女性の方と違ってたから……モヤモヤしちゃって。私なんかがそんな感情抱いちゃいけないのに…。」


(でもそれだけではなくて。)


「私、この暖かくて優しい環境で過ごせて幸せで…数年後、アーヴィン様と離縁した後の事を考えたら…1人になるのがすごく寂しくなって…。この世界にも、元の世界にも私はどこにも居場所がないんじゃないかって。」


ソクラテスはセシリアの側へより、俯いたセシリアの頭を優しく撫でるソクラテス。


「大丈夫。奥様には1人じゃないですよ。」

「だけど…私はこの世界の人間ではないの!私だけが…1人取り残されているような気持ちになるの。ここを出た後…1人で強く生きていけるのか不安になる。…ごめんね、少し弱ってるみたい。早く気持ちを切り替えるから。」


引き攣りながらも無理矢理笑顔を作るセシリアをセシリアを抱きしめたくなるが、堪えた代わりにセシリアの手を握り真剣な顔で見つめた。


「では万が一奥様が離縁されたら私が奥様のおそばにいましょう。貴方を1人にはさせません。」


「ソクラテス……」


つい本音が出てしまったソクラテスは少し慌てながら手を離す。


「そ、そもそも、そんなに心配なさらなくても大丈夫です。旦那様は奥様を離すつもりはないですから。旦那様ともっとしっかり話し合ってみて下さい。」


「そう、なのかな?でもどんな言葉が返ってくるにしろ、アーヴィン様とちゃんと話さなきゃよね。ソクラテス、本当にありがとう。元気出たわ!」


セシリアはソクラテスに笑いかけていた時。


「何をしている。」


ドアを開けたアーヴィンが睨みながら2人を見ていた。




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