兄妹(2)
「女性は逞しいな。」
「あら、お兄様だって素敵なお相手を見つけて結婚して欲しいですわ!」
「そうだね…まだ俺はそういう気分じゃないが。」
「気分じゃなくてまだ諦めてないのね…。」
シエルが心配そうに見つめるとソクラテスはニコッと笑った。
「私は自分の気持ちをシエルの様に前に出すことは出来ないからゆっくり消化していこうと思うよ。」
「お兄様……。よし!次からはお兄様さまが社交界で私のパートナーとして一緒に来てくださる?お兄様は私に付き合う事でいっぱいっぱいになって忙しくなるわよ!」
励ましてくれていると感じたソクラテスは少し微笑む。
「可愛い妹の為ならなんだってするよ。」
「いいましたわね!社交界沢山行って素敵な男性も探すんだから!」
「はいはい。」
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ーーーーヴェリエール家ーーーー
「あ、あのぅ……アーヴィン様?そろそろ…」
「まだ、もうちょっとだ。」
「で、でももう…ミサも他の人も見てるから話して下さいー!!」
セシリアは顔を真っ赤にして怒り離れた。
アーヴィンは家に帰ってからずっと「セシリア不足だ。」と言って後ろから抱きついた状態で心の充電をしていた。
「…まだだと言ったのに…。」
アーヴィンはしょんぼりした犬の様になっている。
(くっ…アーヴィン様の頭に犬の耳が付いているように見える…可愛い…)
「ずるい…そんな顔されたら断れないじゃないですか…。」
「じゃあもう少し…」
ミサが大きく咳払いをする。
「旦那様、そろそろ湯浴みをしていただきたいので後でやって貰えますか。」
淡々と喋るミサ。
「ミサ、最近私に冷たくないか?」
「分かりましたか?いつもの旦那様からのギャップで若干引いてます。」
(え。そんな本人の前でハッキリ言ってしまったら不敬になるのでは…大丈夫ミサ…?)
セシリアは心配しながらチラッとアーヴィンを見たが、アーヴィンはハッキリと言うミサに声を出して笑っていた。
「やっぱりミサは面白い、ハッキリと言ってくれる所が昔から気に入ってる。だが慣れてくれ変える気はないから。」
(昔…?昔って長い付き合いなのかしら…ミサの事気に入ってるってことは好きって事…?)
セシリアは胸がチクンと痛んだ。
「…承知しました。心の中で止めておきます。奥様、旦那様がお戻りになるまでこちらでお待ち下さい。本日はソクラテスの代わりも務めておりますので少し抜けさせて頂きます。」
「え、ええ、分かったわ。」
セシリアはアーヴィンとミサ2人で部屋を出ていく姿を見てモヤモヤとしてしまった。




