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シエルと社交界(2)

「シエル、体調は大丈夫なのか?」

「ええ!今日の為にバッチリ調整しましたわ!」

「少しでも具合が悪くなったら言ってくれ。」

「いつもありがとうお兄さま。」


シエルはアーヴィンの腕をギュッと握る。


「何度も言うが今回でパートナーは最後になる。」

「…分かってるわ。お兄さま……本当に結婚してしまったのね。やっぱり私じゃ駄目なのね…」

「シエル。君は私にとっても大事な妹の様な存在だ。しかしそれ以上の感情はない。期待に応えられなくてすまない。」

「もう…パーティーに参加する前からふらないで下さる?!私だって分かってます!それに今日は最後なんだからお兄さまとの時間を楽しみたいの!…楽しみたいんだけど……」


シエルとアーヴィンは久しぶりの社交界に少し腰が重くドアの前で立ち尽くしていた。


「はぁ…正直面倒だ…この扉の向こうは。」

「同じ気持ちですわお兄さま…。今回のパーティーの目的は半分以上が結婚相手を見つける為に開かれてますから…。女性たちの争いが恐ろしい…。特にお兄さま狙いの人が多くて私物凄い目で見られるんですよ!」

「私というより私のステータス目的だろう?」


(……お兄さまの外見で寄って来てるのに何故気付かないかなぁ)


「シエル、早く行って早めに帰ろう。体調も心配だから挨拶したら帰ろう。」

「ええ。そうしましょう!」


2人は気合を入れて中に入った。

中に入るとホールの中にいた女性達が騒つく。


「ヴェリエール侯爵様がいらしたわ!」

「今日も本当に美しいわね!」

「今日こそ一緒に踊ってもらいたいわ…」


女性達の目がギラついている姿を引き気味で見るシエル。


「うわ…早速お兄さまを狙ってますわよ。」

「はぁ…社交の場はだから面倒なんだ…」

「……でもお兄さま、女性は苦手なのにセシリア様は平気なのは何故ですの?」

「セシリアは……あそこにいる女性達とは違うんだ。貴族らしくなく純粋で聡明だ。それに…」

「それに?」

「食べる姿が可愛くて…まるで小リスの妖精のようなんだ。」

セシリアを想像するだけでニコニコと微笑み機嫌が良くなるアーヴィンを見て目を丸くするシエル。


「こ、小リスの妖精…?お兄さま何だか人が変わったようね…」


シエルが苦笑をしていると、「なんて素敵な笑顔なのかしら!」と騒つく女性達。


「お、お兄さま、あまり笑顔を見せると皆追いかけて来ちゃいますわよ!」


女性達はまるでハンターのような顔つきだ。


「……気を付ける。早く挨拶をして帰るぞ。」

「分かりましたわ。」


「ヴェリエール侯爵様!お待ち下さい。」


2人で並んで歩いていると、突然横から話しかけて来る人がいた。






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