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シエルと社交界(1)

ーーー社交界当日ーーー


「旦那様、そろそろ出発の時間です。」

「ああ、分かった。」


セシリアはアーヴィンの正装姿に見惚れていた。


「アーヴィン様…本当に素敵です!」

「ありがとう。本当はセシリアと行きたいのだが…」


アーヴィンはセシリアを抱きしめる。


「次、社交界がある時は綺麗に着飾って一緒に行こう俺の愛しい奥さん?そうしたら俺も嫌いな社交界が楽しい時間になる。」


「ちょっとお兄さま!!今日は私をエスコートしてくれるのでしょう?早く行きましょうよ。」

「…ああ。じゃぁ行ってくる。」

「はい!お気を付けて行ってらっしゃいませ!」


シエルはセシリアを睨みつける。


「どうやってお兄さまを籠絡させたのか分からないけれどいい気にならないでよね!」


フンッと怒りながら馬車に乗るシエルとあまり気乗りしなさそうなアーヴィンを見送るセシリア。


「籠絡…って」


苦笑いをしながらポツリとと呟くセシリア。


「奥様、愚妹が失言を…。大変失礼いたしました。」

「ん?ソクラテス謝らないで。私怒ってないし、寧ろシエル様の事好きよ?」

「は…?あんなに悪態ついている我儘な妹をですか…?」

「ええ。だってとても可愛くて綺麗だし、体が弱くても家族に疎まれてもあんなに希望を持って生きてるなんてカッコ良すぎでしょ!?本当は友達になりたいんだけど…無理そうね。」

「奥様…」


セシリアはソクラテスにニコッと笑いかける。


(奥様の方が心が広くて魅力があるなんて本当は思ってもいないだろう)


「ソクラテス顔に出てる。ニヤニヤして見つめて気持ち悪い。」


ソクラテスのすぐ後ろでミサは呟く。


「うわっ…ミサビックリさせるな。」

「奥様への気持ちは分かる。私だってそうだ。だけど顔に出すな、旦那様に気付かれるぞ。」

「……もう遅いかもな…」

「は?気付かれたのか?お前何やってるんだよ…。」


呆れるミサ。


「大丈夫だ。俺はこれ以上何を求める事もない。内に閉まってただこの感情が消えていくのを待つだけだ。」

「ソクラテス…。」 


「ミサ、ソクラテス?中に入らないの〜?」


セシリアはドアの前で2人を待っていた。


「奥様!今参りますので中に入ってお待ちください!」

「そう?分かったわ。先に戻ってるわね!」



「…ソクラテス、お前も後悔しない人生をおくれ。私からはそれしか言えない。ただ、旦那様と奥様を第一に考えるのは良いんだが自分を蔑ろにするな。」

「ありがとう…ミサ。」



2人は屋敷中へと入っていった。


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