ソクラテスの気持ち(3)
「ソクラテスどうした?」
いつもと違う雰囲気を感じたアーヴィンはソクラテスに話しかけた。
「いえ、何でもございません。それよりも愚妹が本当に失礼致しました。」
「いつものことだろう、私は特に気にしていない。それよりもシエルが体調が悪そうだ。今客間で休ませているから行ってやってくれ。」
「はい、ありがとうございます。」
礼をしてソクラテスは部屋へ向かおうとした。
「ソクラテス、セシリアは俺の妻だ。」
すれ違い様にアーヴィンは忠告をする。ソクラテスはピクンと反応をして立ち止まった。
「十分に分かっています。旦那様、契約上では奥様の名前が違っていた為提出しておりません。ですので婚姻関係ではありませんので早く書類での契約をされては如何でしょうか。」
2人の間に少しだけ沈黙が走る。
「……では私は愚妹の様子を見て参ります。」
ソクラテスはシエルがいる部屋へと向かった。
「ソクラテスも分かりやすいやつだ…」
アーヴィンはため息を吐き、執務室へと向かった。
◇
◇
◇
◇
「あっ!アーヴィン様、先にお部屋に入らせて頂いてました。」
部屋を開けると先にセシリアが来ていた。
「構わん。俺も遅くなってしまった。」
「いいえ、遅くなかったですよ!あ、この書類と…後この提案書なんですが…少し気になって…」
セシリアはアーヴィンの側へ行って書類を見せようとした。
そんなセシリアにアーヴィンは抱きつき、その勢いでセシリアは書類をパラパラと落としてしまう。
「ど、どうされましたか?」
アーヴィンはセシリアを更に強く抱きしめる。
「アーヴィン様…?」
「……」
何も言わずにただ抱きしめるだけのアーヴィンにセシリアは背中をポンポンと叩く。
「アーヴィン様、不安な事があったら抱え込まずに話せる所まででいいので話して下さいね。いつも私の心を救ってくださってありがとうございます。ヴェリエール家に来てから本当に毎日が楽しいです。」
「セシリア…」
「ですので…本当にシエル様のパートナーの事、気になさらないで下さいね!私は社交に出た事がないので分かりませんがきっとシエル様もアーヴィン様も素敵で似合うんだろうなって想像するとワクワクしてます!」
(アーヴィン様…どうしたのかしら。全然元気がないわ…)
セシリアは一生懸命に元気づけようと明るく喋る。
「セシリア…ソクラテスの事、どう思ってる?」
「へ?ソクラテスの事ですか?」
セシリアは急に思いもしない事を言われビックリしていた。




