ソクラテスの気持ち(2)
反対側の壁側にミサが気配を隠して立っていることも知らずにポツリと独り言をいうソクラテス。
ミサはその言葉を聞いても表情一つ変えずに何かを考えているようだった。
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「ミサ〜?ミサ、どこ行ったの〜?おかしいなぁ…部屋で待ってようかな…」
セシリアはミサを呼び続ける。
「奥様。」
「うわぁっ…びっくりした…いつからいたの?」
ミサはセシリアのすぐ後ろで呼びかけに答えた。
「奥様が私の名前を呼んで探し始めた時からずっと後ろにいました。」
「え!?早く言ってよ〜。ミサが遅かったから迷子になってるか、何か困り事でもあるのかなって思って心配して探してたんだよ?」
「迷子…?」
ミサはキョトンとした顔をした後フフッと声に出して笑った。
「奥様、流石に迷う程の無能でしたら奥様付きのメイドにはなれないですよ。でも心配して下さってありがとうございます。」
ミサの笑顔にときめくセシリア。
「ミサ…!可愛い大好き!!」
セシリアはミサに抱きつく。
「お、奥様…!」
少し動揺するミサ。
「おい、ミサ何羨ましい事してるんだ。」
ミサとセシリアの後ろから拗ねた表情のアーヴィンが立っていた。
「旦那様、大変失礼しました。」
「セシリア…私にはないのか?」
「ない…とは?」
セシリアはキョトンとした顔をする。
「ほら、ミサのような…」
アーヴィンは両手を広げてハグ待ちしていた。
理解していないセシリアにミサが耳打ちする。
「奥様、旦那様は抱きしめて好きと言って欲しいみたいですよ。」
(え!?恥ずかしくて出来ない…とは言えない雰囲気だわ。きっとこれも仲の良い夫婦を演じる為に必要なのね…!)
アーヴィンはワクワクしながら待っている表情を見てセシリアは断れずに勢いよくアーヴィンの胸に飛び込んだ。
「アーヴィン様大好きです!」
アーヴィンは想像以上に嬉しくなり幸せに浸る。
「セシリア…」
「旦那様、お取り込み中申し訳ないのですが、その続きはまた後でお願いします。ちょっと気持ち悪…いえ、この後、奥様の着替えが御座いますので。」
「今、気持ち悪いって言った?」
「いえ、まさか。」
ミサは食い気味で答える。
「アーヴィン様、シエル様はお帰りになられたのですか?」
「シエルは少し体調が良くないそうだ。少し客間で休んでもらっている。」
「そうなんですね…大丈夫なのでしょうか…心配です。」
「セシリアは優しいんだな。でもその心配はないよ、いつもの事だから少し休むと良くなる。」
「良かったです。じゃあ、私は一旦着替えて参りますので、またあとで執務室へ行かせていただきますね。」
「ああ、待ってる。」
アーヴィンは執務室へと向かっていると廊下にソクラテスがいた。




