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シエル(3)

シエルがアーヴィンを連れてホールから出て行き、少し気まずい空気になる。


「…奥様、少しこちらでお待ちいただけますか?」

「え?分かったわ。」


ミサもホールから出て行き、ソクラテスとセシリア2人になった。


「奥様、妹が本当に申し訳ありません…。我儘で傲慢な態度なのは我が家が甘やかしすぎてしまったせいです。」

「気にしないで。お願いされてる時のアーヴィン様もソクラテスも何か事情がありそうな表情で困ってそうだったので。」

「そうですね…実は妹はああ見えて体が弱く、そのせいで家では使い物にならないと冷酷な扱いをされているんです。」

「そんな…」

「そんなシエルに唯一腫れ物扱いもせず、普通に接してくれたのが旦那様でした。シエルは本当の兄の私よりも旦那様を兄として慕ってて…家では窮屈そうですがここにいる時は心から楽しそうに笑っているシエルを見ると私達もシエルに甘くなってしまうんです。本当に申し訳ありません。」


ソクラテスはセシリアに頭を下げた。


「顔を上げて下さいソクラテス。そんなに気まずそうにしないで。私は大丈夫だから!」

「ですが…」

「シエルさんてすっごく美人だよね!私凄い好きかも…」


セシリアは目をキラキラと輝かせて熱弁し始めた。


「綺麗なブロンドヘアーに透き通った肌…!目もおっきくて青色の瞳で、もう最っっ高に可愛いよね。あれは同じ女性でも惹かれるわ。」


「は…はぁ」


返ってきた言葉が予想外すぎてソクラテスは何も言葉が出ない。


「よく見るとソクラテス、貴方とシエルさんは似てるわね。ソクラテスもとても綺麗でカッコいいのね!」


セシリアはソクラテスに笑いかけると照れている事を隠すようにセシリアの肩をグイッと押す。


「奥様、距離が近すぎます。」

「あ…ごめんなさい。つい夢中になって。まぁ…私はアーヴィン様とは契約結婚だし、数年もしたらここから出なきゃいけないし。パートナーの事は本当に気にしていないから大丈夫よ!」


「奥様…」

(契約結婚ではなく旦那様は奥様の事が…)


ソクラテスはセシリアに言おうとしていたが何故だか言えず、そのまま言葉を仕舞い込んだ。


「何?」

「いえ…なんでもありません。ミサ遅いですね。」

「そうねぇ…もう部屋から出ていいかしら?」


セシリアはドアノブに手をかけようとしていたが、ソクラテスはセシリアの手を握った。


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