愛の重み(2)
朝食が並べられているホールに着くとアーヴィンは不満そうな顔をした。
「どうされましたか?アーヴィン様。」
「……遠い。」
「え?」
「セシリアが遠い。」
(えぇ…確かに昨日よりは遠いけど…これは普通なんじゃ…?)
「そ、そうですか?」
「セシリア、やはり私の隣に来てくれ。そっちには男性シェフが多いからな。」
シェフ達は朝食の一口目を食べた後にすぐ部屋から出る事になっているがそれまでは皆、壁側に立って待機している。
チラッとミサを見るとミサの顔はドン引きしていた。
ソクラテスは腕でミサをつつき『表情管理どうにかしろ』と小声で言っているのが見えた。
ソクラテスは私と目が合うなり、アーヴィンの隣にどうぞと言わんばかりに視線を送ってくる。
(あはは…もうこれは行くしか無いわね…)
セシリアはアーヴィンの隣に座った。
ニコッと笑うとアーヴィンは優しく微笑み返した。
シェフ達はアーヴィンが微笑む姿を目を丸くしながら見ているとアーヴィンは無表情でシェフ達を見る。
「今回も問題ない。下がれ。」
アーヴィンは一口食べるといつもの口調でシェフを帰した。
「は、はい。失礼致します。」
シェフ達はアーヴィンの笑顔を見た事で動揺を隠せずにホールから出た。
アーヴィンはセシリアにニコリと満面な笑みで笑う。
その笑顔でセシリアは察した。
(あ、またするのね…あーんを…)
「セシリア、ホラこのパンは柔らかくて焼きたてだ。食べてみて。」
アーヴィンはパンをちぎり私の口元まで運ぶ。
セシリアは少し困りながら口を開けパンを食べたその時、ドアが勢いよく開いた。
その音に驚き、セシリアは咳き込んでしまう。
「お兄さま〜!シエルが参りましたわ〜!!」
勢いよくドアを開けたのは金色の長い髪に綺麗なブルーの瞳の女の人だった。
(お兄さま?この女性はアーヴィン様の妹さん…?)
「セシリア、大丈夫か?ビックリして喉に詰まったんじゃないか?」
私を心配するアーヴィン様は目の前にいる女性に見向きもしない。
「お兄さま!!私を無視するなんて酷いです!」
女の子はアーヴィンの体にベッタリと抱きつく。
「シエルか…。勝手に入るなと何度も言ってるだろ?」
「なんでですの?シエルとお兄さまの仲ですのに…」
アーヴィンの頰をツンツンとつつくがシエルはアーヴィンに指を払われる。
「ところで…この方はどなたですの?」
シエルは冷たい視線でセシリアを見た。




