愛の重み(1)
「ねぇ、セシリア…また何処かに1人で行こうとしてる?1人は危ないから俺も一緒にって言ったでしょ…?」
セシリアはアーヴィン様に壁ドンされている。
「え…いや、アーヴィン様、私着替えに行くだけなんですけど…。」
着替えようとしているだけのセシリアにアーヴィンは抱きつきながら吐露する。
「またセシリアが1人でこの家を出ようとしてるなら…俺はセシリアを抱えてこの窓から飛び降りちゃうよ。」
ゾッとするセシリア。
「ま、待って下さい。もうどこにも居なくならないですって…ただ着替えを…」
「そう良かった…また消えてしまうのかと思って焦ったよ。もう何処にも行かないでね。」
ギュッと更に力を強めて抱きしめるアーヴィンの顔は何処か不気味さもある笑顔だった。
「あ、あはは…」
(アーヴィン様、急に重くなってる…あんなに冷たかった人が…ギャップの温度差で風邪ひきそう。)
セシリアは引き攣った笑顔で笑う。
「そういえば…アーヴィン様が『俺』って言ってるの初めて聞きました。」
「あ…焦っていたからつい。」
アーヴィンは少し顔を赤らめる。
「可愛い…」
セシリアは目をキラキラさせて見ていた。
「男性に可愛いはダメだろ。」
腕で顔を隠しすアーヴィンを見てキュンとしてしまうセシリア。
「ふふっ私は『俺』呼びも魅力的で好きです。」
「そうなのか?じゃぁセシリアといる時は素の自分でいるとしよう。セシリアも、俺がいない時もなるべく男性には近寄らないでね。俺、何するか分からないから…」
「ははは…分かりました…」
(怖…なるべくソクラテスや護衛騎士達には近寄らない方が無難ね…)
「私、ミサと着替えてきても良いですか?」
「ミサ?俺が着替えを手伝おう。」
「それは嫌です!」
バッサリと答えるとアーヴィンは少し悲しそうにしていた。
「流石に恥ずかしいから…。でもアーヴィン様が嫌とかじゃないですから!ね?」
アーヴィンは少し元気になりミサを呼んだ。
「ミサ、今日中にこの部屋にセシリアの物を運べるか。」
「はい旦那様。仰せのままに。」
「あ、私も手伝うわ!」
「いえ、奥様は旦那様と朝食を食べていて下さい。その間に終わらせておきますので。」
(え!?服もアーヴィン様が買ってくれたものが結構な量だったと思うけれど…)
「さぁ、私たちは朝食を取りに行こう。」
「は、はい!」
アーヴィンとセシリアはホールに向かった。




