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いなくなったセシリア(1)

メイドが走って逃げている後を追いかけるセシリア。


メイドの足が早くなかなか追いつけなかったが、ようやく裏口の扉までたどり着いた。


(よし!扉は鍵がかかっているはずだからおいつける!)


「盗みは駄目です!返してください!」

セシリアは大きい声で言うとメイドはニヤッと笑い

裏口の扉の鍵をポケットから取り出して鍵を開けた。


「ま、待って!!」


扉から出て走って逃げていくメイドをセシリアも追いかける。


屋敷の外は木が多く見失いそうになる。それでも一生懸命走るセシリア。


(もう少しで追いつける!!)


メイドがセシリアを見ようと後ろをチラッと振り返った瞬間、メイドは急斜面になっている横道に足を奪われ転げ落ちそうになる。


「待って危ない!!」


セシリアはメイドの手を掴んだが一緒に転んで落ちてしまった。




「う……っ痛……」

セシリアは顔を上げるとさっきまで自分がいた場所からはそこまで遠くなく、地面も土だった為そこまで怪我をしていない事に安心した。


横を見ると逃げていたメイドが気を失って倒れている。


「大丈夫?私の声聞こえる?」


肩を叩いて返答を待ったが返事がない。

セシリアはメイドの顔に耳を近づけ呼吸を確かめる。


「良かった息はしてる…。」


安心して立とうとすると足首が痛くて立ち上がれなかった。


「痛…っ。これ、捻挫してる…?助けを呼ぼうと思ったけど…無理そう。メイドさん起きるまで待ってるしかないのかな… 」


屋敷の外に出てしまっていて崖の下にいると人を呼ぶ事もできない。

セシリアは不安になったが少しだけ待ってみることにした。



ーーーーーヴェリエール屋敷内ーーーーー


メイドに呼ばれたミサは事情を聞いた後すぐにアーヴィンの所へ行き報告をしていた。


「旦那様、申し訳ありません…。メイドの1人が貴金属を持ち逃げし行方をくらましているとの事で見つかっておりません。外に出た可能性もあるので少し時間を頂きたいのですが…。」


「分かった。セシリアは部屋に戻っているか?」

「私と一緒に庭にいましたが、すぐに部屋に戻ると仰っていました。」

「そうか、また仕事を頼みたい。探しにいく前にセシリアに伝えてくれるか?」

「承知しました。」





ミサはセシリアの部屋に行きノックしたが返事がない。

(寝てる…?)


「奥様…?部屋に入らせていただきます。」


ミサは部屋に入ったが、セシリアは部屋には居なかった。


(庭園かしら…)


ミサは庭園に行きセシリアを探したが庭園にもセシリアは居なかった。

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