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アーヴィンの謝罪(2)

「アーヴィン様…お待たせしてしまって申し訳ありません…。」


セシリアが部屋に入るとアーヴィンは席を立ちセシリアの所へと駆け寄る。


「いや、気にしなくていい。俺が早く来すぎてしまっただけだ。その…なんだ…セシリアに謝らなければならない事があって…。」

「どうされましたか…?」

「セシリアが来た初日、酷いことを言ってしまったと改めて思ってしまって…その、顔を合わすこともないだとか、愛することも求める事もしないと…。」


セシリアはきょとんとしながらアーヴィンを見つめた。


「アーヴィン様は何も悪くありません。私何も傷付いてないですよ?ディミトリア家の人達の言葉がもっと酷かったので…あまり気にして無かったというか…寧ろ優しくして下さったと思っています。それに私もアーヴィン様を騙してましたし…。なので謝らないで下さい!」

「セシリア……君は本当に優しい人だな。」

「そうですか…?アーヴィン様がもっと優しいですよ!あの、せっかくのご飯が冷めてしまいますし、一緒に食べましょう!私少しだけお肉も食べられるようになったんです!」


セシリアはアーヴィンの手を引っ張って食卓へと戻る。

アーヴィンは引っ張られている手を見ながらセシリアの穏やかな性格にさらに惹かれていった。


「セシリア、君は元の世界へ戻りたいと言っていたな。その気持ちは今も変わらないのか?」

「そうですね…家族の元へ戻りたいです。でも…実際元の世界へ戻った時に私の居場所はあるのかなって思う事もあります。ディミトリア家にいた時は早く戻ってやるって思ってましたが…今はアーヴィン様もこの家の方達も皆良くしてくださるので正直悩んでいます。私と一緒に転移した子達は今どうしてるのかなって気になる事もありますけど…。」

「他の子達…?セシリアだけが転移したわけじゃなくて何人かいたのか…?」

「はい。私達はこの世界に来た時は顔見知りではなかったのですが少しの間孤児院で育てられて仲良くなり、その後それぞれ養子に入りました。その後皆は()()()()()を思い出して元の世界に戻ったって聞きました。」


アーヴィンの眉がピクンと動く。


「本当の名前…?」

「転移した時に私達は自分の名前を覚えていなくて…なのでセシリアという名前はディミトリア夫妻につけて貰いました。」

「どうやって名前を思い出したんだ!?」

「分からないです…。皆転移して2年ほどで元の世界に戻ったそうで詳しい事は何も…。」

「そうか…。」


セシリアが落ち込んだようにみえたアーヴィンはまたセシリアの口元にご飯を運ぶ。


「肉、食べられるようになったのを見せてくれるんだろ?」

「そうでした。」

フフッと笑いながらアーヴィンが差し出したフォークに乗っている肉を頬張る。


「美味しいですね!」

「ああ。セシリアはまだまだ細いからもっと食べろ。」

「ありがとうございます。」

「それに、セシリアはもうヴェリエール家の一員だ。寂しがる事なんてない。俺とも家族だからな。」


アーヴィンは少し不器用な物言いをしたが、元気付けてくれている事が伝わったセシリアはニコッと笑う。


「そうですね!私とアーヴィン様も家族ですね!」


満面な笑みでアーヴィンに笑いかけ、アーヴィンも優しく笑った。



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