セシリアの本音(2)
「セシリアが…転移者!?」
「はい…。私が転移者だからディミトリア家からも嫌われてました。やっぱり気持ち悪いですよね…異世界の人間なんて。」
(やっぱり異世界者は嫌われ者だよね…。私だってきっと反対の立場だったら近寄るのも凄く怖いもの…)
セシリアは後退りしてアーヴィンから離れようとした。
離れていこうとするセシリアの手をガシッと掴むアーヴィン。
「セシリア、元の世界へ戻りたいのか?この世界には残りたくないと…?この世界にだって良い人も美味しい食べ物も沢山ある。もっとこの世界の良さを知って欲しい。」
「アーヴィン様…私の事が気持ち悪くないんですか?」
「気持ち悪い?何が気持ち悪いんだ?異世界だってこの世界だって同じ人間には変わらないだろう?気持ち悪いなんて思う人の気持ちが分からない。」
「良かった…そんな風に言ってもらえるなんて思わなかった…」
セシリアはアーヴィンの言葉に救われ、目に涙が溜まる。
「私は…アーヴィン様に会えて良かったです。本当に…こんなに優しい人がいるなんて…」
アーヴィンはセシリアを抱きしめる。
「セシリア…。もうそんなに自分を否定するな。貴方はもっと自信を持つべきだ。」
「アーヴィン様…。ありがとうございます。私3年間頑張ります!もし元の世界に戻れなくても3年後には庶民として生活出来るように!」
「ああ。…3年後……?」
「はい!契約結婚ですので3年後には離縁されるんですよね?なので…元の世界に戻れなくてもこの世界を好きになって馴染めるように頑張りますね!」
満面な笑みでアーヴィンに話すセシリア。
「奥様、日傘をお持ちしました。」
「ミサ!ありがとう。アーヴィン様お仕事頑張って下さい!私はこれで失礼します。」
「あ、ああ…」
アーヴィンはボー然と立っているとミサが近寄ってきた。
「旦那様、先ず奥様に謝らないとダメですよ。ちゃんと話し合って下さい。」
小声でボソッと言った後にミサはすぐにセシリアの元に戻っていった。
途中から後ろに控えて見ていたソクラテスも近寄る。
「旦那様、そろそろお戻りに…。」
「ああ…。」
「旦那様、奥様とはどうなりたいのですか?仲良くしたいならミサの言う通りしっかり話し合って下さい。」
「そうだな…セシリアは俺がいないと生きていけない位に甘やかして、俺から離れられなくなって元の世界にも帰りたくなくなるくらいに沢山話し合わないと。」
アーヴィンは部屋に向かって戻って行った。
「……旦那様…重すぎません…?」
ソクラテスはアーヴィンに聞こえないくらいの小声でボソッと呟き後をついて歩いた。




