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変わる心(2)

「奥様、旦那様は大丈夫でしたか?」


ミサはセシリアがアーヴィンの部屋から出て早々、心配そうに聞いてきた。


「ミサ、心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ。アーヴィン様はとても優しい方なのね。」


ミサはビックリした顔をしていた。


「優しい…旦那様がですか…?」

「え?えぇ。傷が酷く無いか確かめたり…パン粥を食べさせてくれたり。私…そんなに子供っぽいかしら?アーヴィン様と9歳も離れていたらそう見えるわよね…。」


更にミサは目を丸くする。


「パン粥を…食べさせてくれた…?」

「やっぱり変…だよね?アーヴィン様は私に対して子供のように接していたんだわ。私子供じゃないのに…。」


ミサはクスッと笑ってセシリアを見る。


「奥様、きっとそれは子供扱いしてる訳ではないと思いますよ。」

「そうかしら?」

「旦那様は少々表現が不器用なので突拍子もない事をするかもしれませんが、きっと奥様を心配しての事だと思います。」

「そうなのね。心配か…誰かに心配されるって本当に久しぶりだからなんかくすぐったい。」


えへへと笑ってミサを見ると、ミサも笑顔を返した。


「奥様、明日のご予定は特にありませんので家の中とお庭のご案内をさせていただきますね。」

「ありがとう。お庭…とても楽しみ!」

「それでは、私はこれで失礼いたします。また明日の朝に参りますね。」

「ありがとうミサ。おやすみなさい」

「奥様、良い夢を。」


かなり疲れていたのか、セシリアはすぐに眠ってしまった。


「不思議な子…メイドにありがとうなんて…。貴方は本当に誰?」


ミサは小さい声でポツリと呟き部屋を出た後、その足でそのままソクラテスの所へと向かった。


ちょうど廊下を歩いているとソクラテスが前から歩いて来た。


「ソクラテス。丁度良かったわ、貴方に話したい事が……ソクラテスどうしたの?」


ソクラテスはぼーっとしていてなかなか目が合わなかった。


「ソクラテス!」


ミサがソクラテスの肩を叩く。


「あ、ああミサ。旦那様が…」

「旦那様がどうかしたのか!?」


ミサはアーヴィンの身に何か起こったのではないかと警戒する。


「旦那様が…変。」

「……は?」


ソクラテスの言葉が分からずにミサは眉をひそめた。


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