勇者の剣を求めて 2
勇者の剣を求めて二話目となります!
では本編へGO!
バスに乗って隣町まで移動してからそのままお昼ご飯を軽く購入して別のバスに乗り継ぎ、そのままバスの中で軽めの昼食を取りつつ近くまではバスで移動する。
指定された中間地点で降りてからそのまま近くで聞きこんで目の前に見える火山へと向かって歩いていけばたどり着けると教えてもらった。
あの火山普通に煙が出ているんだが…噴火しないよな?
そんな心配をしながらとりあえず歩き出すと俺はアンヌに三度「不満を言うなよ」と指摘すると、両のほっぺを膨らませて「言わないわよ!」と叫ぶのだが、イマイチ信頼が無いのだが。
此処からなら歩いて移動しても日が暮れる前に辿り着けるそうだが、まあちょっと遠目のピクニックだと思えば楽か。
そんなことを考えていると、俺はふと後ろへと視線を向けつつメイビットが周囲をキョロキョロと見回しているのに気が付いた。
何か気になる事でも見つけたのか、それとも気配を感じ取ったのかと思い聞いてみることにした。
「どうしたんだ? 気になるものでも見つけたのか?」
「え? いいえ。その…普通活火山の近くなら木が生えている事自体珍しいことが多いのに、この辺りは深めの森林になっているなって。不思議だなって」
「そういえばそうだな。噴火を全くしないわけじゃないだろうに…小規模の噴火が起きているのか?」
俺は腕を組んで考えてみると、予想外の所から答えが飛んできた。
リアンがどや顔を見せながら俺の方へと顔を向けた。
「この活火山はマグマ溜まりが遥か深くに在っての。火山自体は大きく見えるんじゃが、溜まりが大きく出ていくルートが基本北にある外海へと向かって伸びておるのでまずあの山の頂上から噴火することは無いんじゃよ」
「へぇ…」
「その為にあの中は軽めのダンジョンとなっており、その中に特別な金属を加工する為の鍛冶場があるんじゃそうじゃ。鍛冶の里にある長老の許可が無ければ入ることは出来ないらしいぞ」
「そうなんですか。それでこの辺りには深い森があるんですね。でも、それぐらいの場所なら温泉とかありそうですね」
「あるぞ。その鍛冶の里は秘境の温泉地でも有名なんじゃよ。ある特殊な結界が張られていて里事態に立ち入り出来る者は少ないそうじゃ。まあ、オリハルコンを持っておるなら大丈夫だとは思うがな」
歴代の勇者の剣を製造した里の人達なら前任の勇者のお話を決めるかもしれないと正直テンションが上がっていくのだが、その中でそれ以外の事に意識を向けているのはアンヌである。
歩いて移動していることがどうにも気に入らないようだ。
俺は好きなんだけどな…旅をしている感が出ていて。
「ジャック兄ちゃんの故郷も元々は温泉地なんだよね?」
「そうだぞ。小さい頃から温泉は何度も浸かりに行ったな。辿り着いたらもう夜になるだろうし、しっかり温泉に入りたいな」
「好きよね~ジャックは温泉。私も嫌いじゃないけど。どうにも裸の付き合いって苦手」
「そこにリアンが参加することで更に苦手意識が増長したわけだな」
「ねえ…縛っていないと直ぐ入ってくるのよ。このエロいお爺ちゃんは。自分が女になったことで法的な問題をクリアしちゃったんだもん」
照れるリアンにディラブが後ろから「褒めていないぞ」と的確な突っ込みを向けるのだが、それは俺も同意したいのだ。
この爺は女になったことで法的な問題を解決して更に増長している気がする。
寝るときに縛っているアンヌの気持ちは少しわからないでもない。
「その内逮捕されるぞこのエロ爺。それはそうと…ここまで一本道なんだな。てっきり何処かへと曲がり角でもあるのかと思ったが」
「だが、整備はされていないようだな。人が通る為に最低限の分かり易い道を用意しているだけだ」
「バスが通れないというよりは道の整備をしていないのと、単純に里事態のセキュリティ対策なんだろうな」
「はい。里に誰もが入れるわけじゃない証拠ですね。この道も里の人達が外界と接点を持つための道でしょうし」
「こういう道を本来最高司祭も通るんだろうから。ある程度はモンスターが出ない様に用心しているんだろうな。実際何とかこの道を歩いているような痕跡が所々残っているし」
「あの火山がダンジョンならモンスターがやってくる可能性があるんじゃないのか?」
「どうじゃろうな。ダンジョンとしては基本小規模であまりモンスターが居ないと聞く。ディフェンダーの駆除も必要ないレベルなんじゃろうな」
若干残念そうなディラブなのだが、こいつは鍛冶の里へどんな期待を抱いていたのだろう。
まあ、突っ込んでも仕方がないことなので敢えて何も言わない。
「温泉か…俺達は入ったこと無いよな? 姉ちゃん」
「そうだね。あの村から出たこと自体無いもんね。少し楽しみだなぁ」
「男女別よね?」
「知らんがな。俺に聞くな。でも。男女が同じでも別でもアンヌにとっては同じことじゃ無いか?」
「なんでよ?」
「だってさ…そこのエロ爺は一緒に入るんだぞ」
アンヌが心底嫌そうな顔をするわけだが、こればかりは我慢してもらうしかないのだ。
個室で入る場合は縛ればいいが、露天風呂なんかの温泉ではそれが出来ない。
こうなると一緒に入るしかない。
「楽しみじゃのう~」
「楽しそうだな。このエロ爺は」
歩くこと一時間もすれば大き目のつり橋が見えてきたわけだが、足元には深めの谷間に緩やかに流れる渓流が見えてきた。
周囲は紅葉に染まる深い木々が美しく見え、同時につり橋の向こう側から何やら匂いが漂ってくる。
俺からすれば良く嗅いでいた匂い。
「何か匂わないか?」
「硫黄の似合いだな。温泉が近くにある証拠だ。どうやらこの先に鍛冶の里があるようだ」
「紅葉がキレイですね。時期が良かった」
メイビットがうっとりしながら周囲の木々へと視線を向けつつつり橋へと足を踏み出していく。
俺も同じようにつり橋を渡りだす。
「結構しっかりした造りだが、やはり手作りだな」
「ねえ。これ落ちないよね? 結構揺れない?」
「つり橋ってこんなものだぞ。吊ってあるんだからそりゃあ揺れるだろう」
俺の突っ込みにアンヌは「そんなもの?」と不安そうに足元に意識を向けていた。
まあ、落ちそうなんて確かに誰もが抱くつり橋を渡る上での不安要素なのだが、しっかり作っているのなら普通落ちることは無い。
渡り終えると更に続く一本道、その先から漂ってくる硫黄の匂いが強くなると同時にはっきり視界に集落のような集まりが見えてきた。
和風な建築物が目立つ街並み、太陽はすっかり沈みこもうとしており、時刻は夕刻を迎えるとき、俺達は鍛冶の里へと辿り着いた。
入ると同時に多くの集落の人達が集まってくるわけだが、俺達は何かしたのかと少し不安になる。
「お待ちしておりました。勇者ジャック様。オリハルコンはお持ちいただけましたかな?」
「はい。此処に」
俺は魔法のポーチからオリハルコンを取り出してそのまま初老の男性へと手渡す。
「確かに。私がこの里の長老となります。確かにジャック様専用の勇者の剣を製造させていただきます」
「よろしくお願いします」
「今日の所はお休みください。宿を用意してありますので」
「あの…温泉って男女別ですか?」
「いいえ。露天風呂しか無く、男女混浴です」
アンヌが物凄く絶望的な表情を浮かべ、同時にリアンが勝ち誇った顔をしていた。
どうでしたか?
いよいよ勇者の剣製造のお話となりますね。
では次は双厄のホビット第二十四話でお会いしましょう!




