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勇者の剣を求めて

勇者の剣を求めての一話目となります。

いよいよホビット大陸後半戦突入です!

では本編へGO!

 そのまま加工祭を後に俺達は街を出ていくことにし、当初の目的地であった鍛冶の里へと足を向けることになったわけだが。

 止まっている列車に乗って移動するのは流石に無理があるという事になり、そのまま一旦歩いて隣町まで移動し、そこから最寄りの駅まで移動しようという話となったわけだが、案の定そこでブーコラと文句を垂れたのはアンヌである。

 しかし、こればかりは仕方がないことだと言い聞かせてから俺達は出発することになったわけだが、隣の街まで歩いて五時間は掛かるという話を聞いてアンヌは「他に移動手段は無いの?」と言い出した。

 しかし、移動手段と言ってもこの街へと来るための方法が全て封殺されている為使えるわけが無い。


「じゃあ。このまま五時間かけて移動して歩いて隣町まで行くの!?」

「それしか無いと言っておるじゃろうに…何故そこまで歩くことを嫌がるんじゃ?」

「五時間か…ジャック兄ちゃんの魔法で何とか出来ないの?」

「そうよ! 移動手段の魔法があるじゃない!」

「魔術と言え。それも考えたんだがな。今トラブルが起きて国が調査している町から時間を消耗したくないという理由でコソコソ出ていく人間が魔術を使って逃げたら…」

「目立つという話では無いですね。取り調べで数日消耗したらその分敵が私達の目的に気が付いて事前に策を用意する可能性があります」

「じゃな。此処は大人しく進む方が良い。多少時間が掛かっても取り調べなどで足止めされるよりマシじゃ」


 アンヌが「ええ」と嫌そうな顔をするが、ネリビットは納得したようで「なるほど」と言いながら歩き出す。

 最後に嫌々みたいな顔をしながら歩き出すわけだが、こいつはどうしてこうも長時間歩くことを毎回毎回嫌がるのだろうか。

 歩きながら雑談でもすれば多少は楽になるかもしれないと思い話を振る内容を考える。


「今回のヴェルズリは異様に強かったな…前の時より強く感じたな」

「ムムム。俺もこんなものではない!」

「張り合うでない。今回のあ奴の強さは冷静に発ち震えているが故じゃな。前回は遊びでやってきていたようじゃし…」

「あれがあの男本来の強さというわけか? ノルヴァス程ではないが相当の強さを感じたな。呪術の使い方が上手い」

「そうじゃのう。それこそジャックがオリハルコンを持っていなかったら重傷者を出して居ったな。誰とは言わんが…」


 リアンがニヤニヤしながらディラブを見て、ディラブはそんなリアンの言葉に「グヌヌ」と悔しそうにしていた。

 まあ、俺が介入していなかったら真面目にあの町に数日は留まる羽目になっていたので、バレてもあそこは介入して正解だった。


「呪いって何なんですかね? 呪術とは違うものなんですよね?」

「呪術は元はあくまでも魔力を使った地形やフィールドに作用させる能力で、使われたら結構厄介なんだよな。解除できるのもオーガだけだし」

「ジャックなら問答無用で解除できそうな気がするけどな」

「お前達は俺をなんだと思っているんだ? まあいい。呪いはそういう説明できる何かじゃない。説明できない人の負の感情面を使ったものが呪いだ。コントロールできるわけが無く、歴代のこの世の中を混迷へと叩き落した奴らの大半は呪いを使っていたと言われている」

「呪いを使えないのはこの世でただ一種族だけじゃよ。ナーガのみ。ナーガだけは呪いを使う事が出来ない」


 ナーガは出来ないんだよな。

 まあ、使おうと思ったことも無いから良いけどね。


「ナーガだけが使えないのはなんで?」

「魔力を満遍なく扱う事が出来るナーガは他の種族とは違い体内に魔力を作る器官がある。これが呪いという効果そのものを阻害するらしい」

「それだけナーガが異様という話じゃよ。まあ、呪いなんて扱えなければ困るという事も無いどころか、本来であれば使わない方が良いものじゃからな」

「呪いを使えば帰ってくる。呪いが流行らなかった理由はデメリットのデカさだ。ある程度知識を齧った人間であれば解呪が出来てしまううえ、解呪されれば呪いは呪いを掛けた人間へと帰っていく」

「あの村の人達がそれで全滅したようにのう…? あれは集落ではないか?」


 アンヌがリアンの言葉に一瞬で元気になるが、集落というには流石に家の数が少ない気がする。

 全部で五軒だろうか?

 あれは集落ではない気がするが、まあ乗り物があるかもしれないので立ち寄ってみようという話になった。

 辿り着いてから周りの人達に聞き込みをしてみると、ここは各町への中継地点と使われている場所らしく、俺達は鍛冶の里への生き方を聞いてみると、ここから出ているバスに乗って最寄りの街まで行けるらしく、そこから歩いて半日の距離らしい。

 歩いて移動する以外に向かう方法が無いという話になったとたんアンヌが物凄く嫌な顔をしていた。

 俺は「出来る限り近くまで移動する方法はありますか?」と聞いてみると、近くまでならバスでの移動手段が在ったと思うと言われた。


「そこからは先は流石に歩くしかなさそうじゃな。諦めよ」


 俺達はバスの時間まで待たせてもらい、やってきたバスに乗ってそのまま最寄りの町まで移動する。

 右隣に見える鬱蒼と生い茂る深い樹海や左側に見える大きな渓谷に流れる清流を見ながら他愛のない雑談をしていることにした。


「ホビット大陸は色々と小さいのかと思っていたが、他の種族を意識している為か基本普通サイズだな」

「というよりはさ。きっと商売っけが多い人が多いから基本他種族に合わせているんじゃない? どこぞのオーガみたいに武者修行だって移動して回る人もいるし」

「そうじゃろうの。ドラゴン族はあまり見んが…」

「ナーガでもけっこ見るって聞くな。でも。あまりドラゴン族は他の大陸で見るとは聞かないよ。ねえ? 姉ちゃん」

「え? う、うん。というよりは気難しい性格をしていて、基本他種族を見下すからあまり仲良くしない人が多いとは聞いたことがあるよ。良くは知らないけど…」

「ドラゴン大陸は苦戦しそうだな。その前に勇者の剣だが」

「それを作らないと困るの?」

「困る。ノルヴァスに対抗できない。正直に言えば基本勇者の剣を持っている勇者と戦うのなら勇者の剣を作るべきだ。武器があるかないかで戦力差は大きく出るし、生半可な武器ではむしろ足手纏いだ」

「武器は大事な項目だからね。私もそろそろ武器を新調したいから鍛冶の里で聞いてみようかな~」

「それが良いと思うよ。生半可な人に作ってもらうより、プロに頼むのが一番だし。素材なら私達で用意できるから言ってね」


 メイビットが笑顔をアンヌに向ける。


「大変じゃのう…儂等には今現在特に苦労するところは無いから無縁の悩みじゃな」

「偶には悩みを抱いたほうが良いんじゃないのか? エロい事ばかり頭で考えるんじゃなく」

「このあたりの魔物狩りはディフェンダーが狩っているのか? オーク大陸では時折街はずれに見かけることがあったが」

「それはオーガがおかしいだけだ。これが普通だぞ。武者修行にあちらこちらを練り歩く種族と他の種族を一緒にするな」

「というよりはホビットは商人が多いからその分魔物からの襲撃に敏感なんだよ。きっと。持ち歩く素材や道具の中には魔物を誘き寄せることが可能な道具もあるし。神経質になっているんだよ」

「儂等には無縁の悩みじゃな」

「それしか言わないわね。このエロお爺ちゃんは。そういえばディフェンダーが使う魔物寄せのお香が在るって聞いたけど。ジャックは見たことあるの?」

「ああ。一回だけな。火を焚いて三十分ほどで匂いによって魔物が集まってくるんだ。量を間違えるととんでもない量の魔物を誘き寄せることになるからおすすめしないけど」

「俺達オーガからすれば良い特訓になると思うが…ぜひ貸してほしい」

「使うときは俺達のいない場所でお願いするぞ」

「巻き込まないでね」

「邪魔だからさ」

「そうじゃな」

「お願いしますね」


 皆から笑顔を向けられるディラブはその瞬間にひるむ。

どうでしたか?

いよいよ勇者の剣製造のお話となります!

では次は双厄のホビット第二十三話でお会いしましょう!

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