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継承の儀式場攻略戦 7

継承の儀式場攻略戦七話目となります。

これをもって継承の儀式場攻略戦は終わりです。

では本編へGO!

 ババルウ君が走って繰り出した渾身の一撃も正面から振り下ろされる大斧による縦の斬撃を防ぐことは出来ないが、それでも微かに攻撃の軌道を逸らすことは可能だった。

 それだけで十分で後ろに吹っ飛び肩を微かに斬られて血を流すが、それでもその程度のダメージで済みつつ次男を助けることには成功した。

 その一度の救出のチャンスだけで十分だったのだ。

 その間に俺達の援護を受けたディラブが部屋へと走っていきヴェルズリへと向かって切りかかっていく。

 ヴェルズリは後ろに大きく跳躍して回避、そのまま両足でしっかりと地面を踏ん張りながら大斧を力一杯振り下ろす。

 同時にディラブはその大斧めがけて自らが背負う斧を力一杯振り上げた。

 お互いに渾身の一撃を前にして少し下がってしまうが、その間にババルウ君は急いで次男を物陰に隠そうとしていく中、メロンと呼ばれていたドラゴン族はババルウ君目掛けて鋭い針を無数に飛ばすが、それをリアンが防壁を作って妨害する。

 メロンは舌打ちをしつつリアンの方を見るが、リアンはそんなメロンの体を下から上目掛けてしっかり品定めを行う。


「良い体をしておるな…儂好みじゃよ。正確以外は」

「あら…中身はお爺ちゃんのドラゴンかしから? 珍しくも無いけど」


 俺達の中にあるドラゴン族のイメージが崩れてしまった瞬間であり、出来ることなら神聖なイメージを残してほしかった。

 アンヌがこの状況で気にしているわけがなく、冷静にメロンの動きを見極めてから左側からレイピアを握りしめて突っ込んでいく。

 すると地面が大きく揺れてゴーレムがアンヌの前に現れる。

 アンヌは驚きながらも後ろに跳躍していき、俺は現れたゴーレムに向かって土属性の攻撃をゴーレムに向けて放ちつつ、メロンが駆け出そうとする場所へと回り込む。


「此処から先に行かせるわけにはいかないな」

「あら? 私は貴方が助けに行くんじゃないかって思ったんだけど?」

「ディラブは勝つ。俺が言う以上は絶対だ」

「過信は敗北を招くわよ。常に勝率を上げる戦い方を選んだら?」

「過信じゃ無いさ。確信だよ」


 俺は不敵な微笑をメロンに見せ、メロンは若干不機嫌そうな顔をしつつ舌打ちをすると、リアンが掛けた加速術式のままに突っ込んでくるアンヌ。

 ゴーレムを右足を吹っ飛ばして体制を大きく崩し、よろけた先にはメロンが居る。

 メロンは後ろに下がるしかない状況で俺から距離を取り、俺は目の前に倒れてきたゴーレムにそっと触れて複合術式をコピーして使う。


『ブラックホール』


 突然現れた重力による無制限吸収圧縮術式によってゴーレムはあっという間に吸収されてしまった。

 無論吸収されるというだけでこちらの体力なりが回復するわけじゃないが、この程度の規模のゴーレムなら簡単に排除できる。

 時を同じくしてディラブとヴェルズリの戦いは更に激しさを増しており、お互い呪術で威力の底上げを図っている分、武器の大きさというヴェルズリが一歩リードしているような気がする。

 しかし、細かい動きで敵の攻撃をずらしながらの戦法に苛立っているようだが、俺にはそれ以上にディラブが何かの核心に至ろうとしているように思えた。

 派手な一撃ではなく細かく一見すると先ほどの攻撃よりは威力が落ちているような気がするが、それでも先ほどから鳴らしている一撃の音で非常にデカい。


「なんなんだ!? 貴様は! 所詮赤鬼のオーガの子孫だろうが!! そんなボロボロの斧でどうしてそんな一撃が出せる!?」


 赤いオーラでも纏っているかのような佇まいなのだが、同時に感じる畏怖するような威圧感は決して間違いではないだろう。

 まるで赤い鬼だ。

 背中から何か紋章のようなモノが浮かび上がっていく、その姿こそきっと女神の時代に女神を支えたと言われている赤鬼のオーガなのだろう。


「赤鬼の…オーガ!! その姿こそが…呪術の頂点か!? だがどれだけ呪術を強くしても武器が追い付かなければ意味は無い!」


 ヴェルズリの言う通りでディラブの武器は数回の攻撃で既に武器そのものがボロボロになりつつある。

 一体あと何回耐えられるかどうか、正直心許ない感じがするがディラブは焦った様子を見せない。

 メロンは一瞬だけ渋い顔をしつつ俺達の方を見る。

 こっちはこっちで焦った様子をまるで見せないのだが、まだまだ余力を幾つか残している気がする。

 お互いに睨みつけ合い距離を取り合うのだが、そんな中動いたのはディラブであり纏った最大威力の攻撃力を斧を握りしめる。

 斧が悲鳴を上げているように思えるけれど、あれでは斧自体はあと一回ぐらいしか持たないだろう。

 という事はディラブは次の一撃でおしまいにするつもりなのだろう。

 ヴェルズリは避けるつもりでいるのか身構えるだけで武器を構えすらないないなか、俺はディラブを中心に何かが歪む気配を敏感に感じ取った。

 ディラブが動いた途端メロンの表情が険しいものに変わり、俺もディラブの目的が漸く分かりメロンに邪魔を指せない様に立ち塞がる。


「避けなさい! 馬鹿! 呪術でそこまでの威力の底上げを図っているなら、もうその男の呪術の力は貴方を超えているのよ!」


 そこでヴェルズリもディラブの行動を読んだのか斧を構えようとするが、その行動の際にディラブの呪術はヴェルズリの行動を抑制する。

 動きが鈍くなる中ディラブは地面にクレーターが出来るレベルで抉り、そのまま地面を強く蹴ってから力一杯斧を振り下ろした。

 ギリギリで体に掛かていた呪術を解除したが、それでももう攻撃を回避するだけの余裕はない。

 斧で攻撃を防ごうと試みるが、そんな大斧で防ぎきれると思えるほど攻撃の威力は決して甘くは無い。

 振り下ろされた一撃であっさりと大斧は折れてしまい、同時にディラブの斧もボロボロの状態でかろうじてその形を維持しているだけだった。

 ヴェルズリの体には大きな斜め傷が出来、血を大量に流しているのだがその姿が痛々しい。

 メロンが「あらあら…油断するから」と何処か楽しそうにしているのだが、そんな際だった。

 俺達も、彼女達すらも予想だにしない人物が宝玉を手にして逃げ出していった。

 長男が宝玉を手に入れるとダッシュで来た道を戻っていく。


「それは駄目じゃない?」


 そういって無数の針を長男の方へと向けて放とうとするが、それをリアンと俺が妨害する。

 ヴェルズリは大きく息を何度も吐き出しては吸い込みながらも「まだだ…」と歯を食いしばりながらも睨みつける。


「いえ…止めておきましょう。逃げられた以上はもう此処にいる理由は無いわ。早く撤退しないとオーガの親衛隊がやってきかねないし。私達が道中暴れ回っていたせいでモンスターの総数も減っているし」

「まだだ! 負けたままで逃げられるか!」

「じゃあ勝手にして。このままここで死んで負け犬のままで終わりたいというのなら。止めないから」

「クソ…! ディラブと言ったな!? 覚えたぞ! その名前と顔! 何時か殺してやる!!!」


 傷口を抑えながらメロンと共に去って行くが、どうやら別に逃げ出す方法を用意しているようだ。

 まあ検討が付くけど。


「すみません。皆さん…手伝ってもらったのに…」

「良いの。皆無事なんだから。それにあんな方法で勝って持って帰った所であのお父さんが許してくれるとはあまり思えないけど?」

「そうじゃぞ。君はそんなモノよりも一つの命を守り切ったんじゃ。誇りなさい」


 リアンとアンヌはババルウ君を励ましているのだが、俺はそっちは実はアイデアがあるので放置、問題は先ほどから全く動かず俺達の方を見ようとしないディラブである。

 武器はもう使い物にならないだろう。

 なんか…もうそのまま壊れてしまいそうだ。


「ディラブ…」

「悪い使い方をした。俺の実力不足だ。武器の事を考えなかった」

「その代わり命を守りぬいた。その戦い方じゃないと守り切れなかった。違うか?」

「…そうかな?」

「そうだ。俺はその武器は最後に立派にやり遂げたんだと思うぞ。守り抜くという役目を…さ」

「そうだと…良いな」


 最後にディラブが握りしめていた斧がまるで砂になったように崩壊していく。

 流石にアンヌやリアンも何か思うところがあるようで黙り込み、ババルウ君も何か声を掛けようとしていても何も言葉が出てこない。

 俺はディラブの肩に手を置いてから「皆…帰ろう」と言いながら歩き出す。


「そうだな。帰ろう…終わった」

どうでしたか?

意外な人物が宝玉を持っていき、ディラブにとっては少し残念な結末になりましたが、まあ次の進むのには必要な事かなっと思います。

次回で継承式のお話は一旦終わりです。

では次は赤鬼のオーガ第四十三話でお会いしましょう!

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