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ランドロス湿地帯攻略戦 3

やっぱりこの元勇者パーティー好きだなと思いながら書いています。

言いたいことを言って、怒ったり笑ったりしながら旅をしているこのメンバーが好きです。

では本編へGO!

 湿地帯を真面目に突破すれば十時間は掛かる計算であり、それ故にあまり時間を割くことが出来ないのだが、実は話を聞いているうちに結構時間が経過しており、遠回りするルートが使えなくなってしまったのだ。

 こうなっては少々危険だが真っ直ぐに直進するルートを使うしかないわけだが、足元が暗い中で進むので結構危なかったりする。

 ババルウ君という王子が果たしてちゃんと歩けるかどうか不安だったが、どうやらその辺は心配しないで良いようだ。

 肉体自体はちゃんと鍛えているのか、泥だらけの服からはっきりと分かる筋肉だが、それでも俺やディラブと比べると細いイメージ。

 だが、アンヌのように細く筋肉なんて無いように見えても、瞬発的に力を引き出すことだってできるが、そういう筋肉は見ればわかる。

 ババルウ君は残念なことにそんな筋肉をしているわけではなく、あくまでも鍛え足りないというイメージだ。


 ババルウ君と接触した場所から歩くこと五分で早速サハギン種が襲ってきたわけだが、出てきた瞬間に俺はアンヌの方をジッと見つめ、アンヌは足元の感触を確かめながら力一杯蹴る。

 地面が抉れるような威力で蹴りだされたアンヌの体、突進するその力で現れたサハギン種の一体の肉体を粉々に変えた。

 吹っ飛んでいく肉体から血飛沫と肉片が周りに散っていくと、その姿を見てババルウ君はまたしても引く。

 そんなアンヌの行動を見て引いたのはババルウ君だけではなく、サハギン種もまた引いてしまっており、ディラブは斧を取り出して回転切りを二体まとめて切りつけようとするが、サハギン種はそれをジャンプで回避しようとする。

 俺は右手の人差し指と中指を立てて魔力を少し放出しつつ重力属性の術式を作り出してサハギン種のジャンプを阻止する。

 少しからが浮いただけでまるで反応が無いまま、サハギン種の胴体が真ん中から真っ二つにされてしまう。

 跳ねる泥を鬱陶しそうに払うリアンと俺、ババルウ君はそれより飛び出た血と肉片が気になるようだ。

 その為一歩後ろに引いた所で後ろから肉食系の魚種のモンスターである『ベルーナ』が襲い掛かってきた。


「危ない!」

「動くな」


 ディラブはババルウ君に対してそんな言葉を投げかけ、その言葉通り彼は目をつむりこそしたが、ピクリとも動かないままでいてくれた。

 俺はババルウ君の体を防壁属性の魔術で身を守らせ、その防壁に牙による攻撃が阻まれてしまう。

 そして、空中で身を翻し沼に戻ろうとするベルーナに対し、リアンは聖術で身を強くさせて空気を圧縮した状態でまるで砲撃のようにして放つ。

 放たれた空気はベルーナに着弾しそのまま吹っ飛ばす。


「だ、大丈夫ですか? もう…」

「ああ。もう大丈夫じゃよ。危なかったのう。あまり沼に近づかん方が良いの。お前さん実力は無いが、才能と言う一点で言えばこのメンツに引けを取らん。モンスターからすれば得体のしれない君が一番危険じゃ」

「同感だな。さっきのベルーナは群衆で動く場合もある。沼に下手に近づけばさっきのように襲われる」

「俺の近くに居れば防壁属性の魔術で何とかなるから、気にしなくていい。問題はキング種クラスを相手にして俺は彼をかばいながら戦う必要があるという一点だ」

「ぼ、僕の事は気にしないでください。護身術ぐらい!」

「その護身術はあくまでも目の前から襲ってくる場合に備えてだ。三百八十度全方位に対しては機能しないだろう?」


 俺の言葉に対して黙り込むババルウ君にたいし、アンヌは何を気にしているのか先ほどから会話に入らないまま足元を気にしながらこっちに近づいてくる。

 靴を気にしているように思え、同時にアンヌの靴に泥が跳ねているのが分かった。

 おいおい…まさか。


「先ほど走った時に靴に泥が跳ねて汚れたと気にしているわけじゃないよな?」

「べ、別に…良いでしょ? お気に入りだったから…」

「はぁ…これだから女子は」

「ディラブが気にしなさすぎなの! ジャックも!」

「俺は何も喋っていないだろうに」

「あ、僕良い物持っていますよ。えっと…」


 ババルウ君は良い物があると良い持っていた魔法のポーチからハンカチを取り出してアンヌに手渡す。

 彼は「使ってみてください」と笑顔で言い、アンヌは戸惑いながらも自分の口に付いた泥を拭く。

 すると、磨いた場所がまるで新品のように綺麗になり、泥が付いて汚いはずのハンカチもみるみる内に綺麗になっていく。


「これ…?」

「ホビットが作ったクリーンハンカチだそうです。拭いた場所から完全に汚れを取り除き、取り除いた汚れを魔素…一般的に言う魔力に変えて空気中に変換するそうです。お父さんが取引しているホビットの商人が購入したそうです」

「良いな…私早くホビット大陸行きたいなぁ…」

「我慢しろ。それを貸してもらえ」

「あげますよ。幾つか購入しましたし。お父さんからも「女性には優しくしろ」って

教わりました」

「あら素敵! そこにいる元女性とヒューマン族に成りすましていたナーガ族と金に疎いオーガ族とは天と地の違い!」

「??? どういう意味ですか?」


 俺は気にしないでくれとしか言えなかったわけだが、ババルウ君は結局追及はしなかったわけだが、それ以上に「良いもの貰った」とテンションが高いアンヌがそのハンカチで彼の服を綺麗にしてしまった。

 今思えばそんなハンカチがあるのなら自分の服を拭けばいいのにと思う。


「良いんです。男の服なんてすぐ汚れますし、家に帰れば着替えがあるので気にしないでください」

「良いの。私が試したいだけだから。ほんと凄い! あっという間に綺麗になる。これ、何で出来ているのかな?」

「さあ? でも錬金術で出来ていると聞きましたよ」


 錬金術か…ヒューマン族でも良く使われる手法だからなぁ…特に珍しい技術ではないが、ホビットならそれぐらい作るよな。

 ヒューマン族の錬金術はあくまでもレシピ通りにしか作れないけど、ホビットはオリジナルの製品を作ることが出来るから。


「ホビット大陸に行くまで我慢しろ。良いな? 今はそのハンカチで我慢するんだ。貰ったんだろう?」

「はぁい。まあいいや。ホビット大陸っていろんな商品とかあるんでしょ? 錬金術師の友人とか作れるかな?」

「緊張感が無い奴だな。まあ、女を追いかけているエロ女よりマシだが」

「あの…儂の名前をエロ女で呼ばんでくれんかの? 勘違いされたら困るんじゃが?」

「今更でしょ? 勘違いされたくないなら首都でナンパは止めてね」

「? どういう意味でしょうか?」

「気にせんでいい。頼む…詳しく聞かんでくれ」


 俺達は再び歩き出そうと足を一歩前に踏み出した時、俺達の鼓膜を振動させるような大きな咆哮が聞こえてきた。

 全員が足を止めてからその咆哮が聞こえてきた方向をジッと見つめる中、俺達の脳裏に嫌な予感が過る。

 と言うのも、キング種が咆哮を上げるときは二種類ある。

 追い詰められている時、もう一つは勝ったと確信した時だ。

 俺達にはあの咆哮が勝ちを確信したときのように思えた。

どうでしたか?

次回はゴブリンのキング種との勝負となります。

では次は赤鬼のオーガ第二十六話でお会いしましょう!

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