ランドロス鉱山坑道東区攻略戦 7
ランドロス鉱山坑道東区攻略戦もいよいよ終盤戦ですね。
今回はラスボス前と言った感じのお話ですね。
では本編へGO!
ゴーレムに対して俺は魔術の土属性の攻撃をぶつけることにし、右手に集めていた魔力を土属性の術式へと変換してから岩の塊を無数に作り出しそれを放ち続ける。
金色ゴーレム三体は襲い掛かってくる岩の攻撃に当初はまるで意に介することなくすくっと立ち上がるのだが、それを見計らってから俺は土属性に防壁属性を融合させた。
防壁属性が付与されたことで岩そのものに頑丈さが付与され、勢いよくぶつかることで相手をひるませることができた。
そして、何個も何個もぶつかっていくとついに表面の岩が剥がれていき、その瞬間アンヌとディラブが駆け出していく。
金色のゴーレムの一体は襲い掛かっていくディラブに対して右腕を振り上げて力一杯振り下ろすが、その振り下ろす瞬間に動きが鈍足化していき、ディラブが振り回す斧の一撃をまともに受けてしまう。
しかし、やはり頑丈なのか更に岩を削り中から核を露出することしかできなかった。
そこでディラブへと振り下ろされた右拳を軽く避けつつ右拳を駆け上っていき、核を今度は縦に切り裂く。
核に斧の刃がぶつかり火花を散らしながら一気に振り下ろす。
その隣ではアンヌが力一杯レイピアを核が隠れているであろう真ん中へとレイピアを叩き込み、岩を弾き飛ばして一発で核を露出させる。
そのまま地面を再び蹴って核に向かって三発レイピアによる突進攻撃を叩き込んで核を破壊した。
二人は同時に核を破壊し同時に地面を蹴ってから残りの一体へと向かって駆け出していく。
俺は同時に使っていた土属性の術式を解除、そのまま土属性と防壁属性を術式融合させる。
「術式融合。固有術式展開。テラ・ノヴァ解放!」
前方に作り出した巨大な岩はまるで圧縮されていくように小さくなっていくのだが、それは小さい隕石のような形へと変わり果ててから金色のゴーレムの胸の部分に着弾する。
射出する直前にリアンが聖術で攻撃速度を上昇させていたので、着弾すると勢いよく初めて一瞬で装甲を崩し核を露出させる。
しかし、金色のゴーレムもそれで負けを認めるようなことはしない。
左腕で核を隠し振り下ろされる右腕による一撃をまずディラブが振り上げた一撃で弾き、今度はアンヌがレイピアによる一撃で右腕を粉砕してから地面を強めに蹴ったディラブが一撃を核に叩き込んだ。
核にヒビが入っていき最後に『ゴリン』という音と共に砕けて消えた。
「ふう。これで四階クリアだな。電源を入れてエレベーターで昇ろう」
「じゃのう。もう強敵は勘弁じゃな」
「強敵だったかな? 比較的楽だったけど? ほら…あの脳筋聖女とどんな物体もスパスパ切って破壊してくれるオーガがいるからさ」
「俺達の事か? 壊すのが俺達の役目だ」
「アンヌはどうしたんじゃ?」
ディラブが俺達に指でアンヌの居場所を指すと、再びレバーにぶら下がったアンヌを見つけてしまった。
錆びて動かないんだな。
俺はアンヌが握りしめているレバーを両手で力一杯降ろす。
「勝手なことをした。私だけでも大丈夫だった」
「あっそ…それは悪うござんした」
悪びれていないのは許してほしい。
と言うか別段悪いと思っているわけじゃないし、その照れながら言う返しもおおよそ見当がついた返事でもある。
素直じゃないうえ基本絶対に俺に対してだけはお礼を言わない女なので期待をしない。
ほんとなんで俺にだけなんだろうな…そのくせ俺達の間に絶対に恋愛感情が存在しないのだから不思議だ。
普通こういう関係なら心の奥には恋愛感情が生まれていくようなものなのだが、友人以上腐れ縁未満ぐらいの関係。
「これで外に出られるのう。しかし、あのノルヴァスと言う男はどうやって出たのかのう? この辺に来たという感じもせん」
「来たのなら何か痕跡が残っているはずだしな。という事は別の脱出手段が在ったのか?」
「結晶の類を持っていたのかな? 元教会関係者がバックにいるのなら持っているはずだけど…」
そこでディラブが「結晶?」と不思議そうな顔をしていたのを見たアンヌ、体に斜め掛けしていたウエストポーチから掌を大きく出た青い結晶体を見せた。
「これが結晶。中に魔力を注入して術式を外の結晶に書き込むことで魔力が無くても術式を簡単に使えるようにしているの。とはいっても攻撃用には役に立たないから基本転移とかの移動系式を刻んであるだけだけど」
「俺が邪神城から脱出できたのも事前にノアの村に登録しておいた結晶のお陰だな」
「持っておっても不思議では無かろう? 教会関係者が渡した可能性は十分にある。なら今頃出口を出て外じゃな」
「フム。ヒューマン族は面白いものを作るな。オーガは歩く」
「原始的だことで。嫌いじゃないけど。女性に課すことじゃないな」
俺達は来た道を真っ直ぐ戻っていき漸くの思い出エレベーターの前までやってきた。
そこで大き目のため息を吐き出して今度こそエレベーターに乗り込み俺は上のボタンを押してからエレベーターを動かす。
ゆっくりと揺れながらも上に進んでいく中で俺は改めて周りを見る余裕が生まれた。
広く発掘された空間に所々に灯が残されている所を見ると本当に最近までは稼働していたようだ。
「しかし。ゴーレムとゴブリンはまだ分かるが、まさかワームまで湧いているとはのう。何処かから入り込んだんじゃろうか?」
「どういう意味だ? 洞窟系でワームは良くいるだろう?」
「このダンジョンはつい最近まで採掘の手が及んでいた。自然発生するのにもオークの原型であるゴブリンや洞窟系などで自然発生する可能性が最も高いゴーレムはともかく、基本邪魔でしかないワームが湧いて繁殖するのは少しおかしいだろうって話だ」
「あのノルヴァスという男が持ち込んだのかな? でも。何のために?」
確かに何のためにと思った所でノルヴァスではなくあのオークが事前に作ったという可能性を考慮した。
しかし、ならワームの親玉があのクイーン種では少々割に合わない気がする。
そう思ってノルヴァスのセリフを思い出して最悪の可能性が脳裏を過ったその時、見えてきた最上階、出口の光をバックにして立っているノルヴァスを見つけた。
逆光で顔ははっきりせずあくまでもシルエットだけだが、それでも分かるぐらいきっと悪い笑顔をしているのだろう。
「やあ…早かったというほどでもないか。だが、苦戦もせずここに辿り着いたね。わざわざ電力を落としてから下に降りたんだけどな」
「やはりあれはお前さんじゃったか」
「面倒なことをする」
「あのオークと商人を生かす理由が私には無いからね。どのみちここで殺すつもりだったんだがね」
その言葉と同時に俺は上を見てから「全員下がれ!」と叫び指示を出す。
全員が後ろに下がって距離を取ると、目の前に広がっているドーム状の空間のど真ん中に四つ足方向の分厚い装甲を身に宿している一つ目の昆虫型モンスター。
その大きさは横幅だけで百メートル以上はあるだろう。
しっかりとした四肢で地に足をつけてこちらをしっかりと見ているのだが、明らかにノルヴァスの方を敵視していない。
「お前。やはりモンスターを操ることが出来るのか?」
「最初は此処であの馬鹿どもをおびき出して作ったモンスターとこいつを争わせて作戦を台無しにしてやろうと思ったんだがな。勝った方で適当な街に放つ。大混乱だ」
「そんなことの為にか?」
「リアン元国王。私からすればこんなくだらないものを作ってクーデターを行い、あまつさえ失敗する可能性がある作戦だと見抜けない間抜けの戦いなんて付き合っていられん」
「でも。貴方でしょ? つけあがらせたのは」
「ああ。貴様以外いるまい。貴様があの二人をその気にさせた」
「ハハハ! 作戦はきっと成功すると信じる馬鹿を唆して、最後には裏切りと失敗で失望させる。最高の表情が見られただろうな! まあ。私の目的は達したわけだしな」
ノルヴァスは転移結晶を取り出して転がし始める。
「面倒だよね。事前に登録しておいた場所しか移動できないからね。だが、安易に転移できる便利な術だよ。フフフ。では頑張って」
ノルヴァスは転移の光と共にその場から消えていきそのまま何処かへと消えていった。
目の前にいる化け物を残して。
どうでしたか?
次回はランドロス鉱山坑道東区攻略戦のラスボスとなりますね。
では次は赤鬼のオーガ第十五話でお会いしましょう!




