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オーガについて

次のダンジョン戦の小休止回と言った感じの話ですね。

では本編へGO!

 俺達も俺達の事情を話す必要があると感じた俺が代表して詳細を話すことにし、歩いて山道を進んでいきながら軽くではあるが説明していく。

 左隣が崖になっている道を進んでいるので正直左側を見てしまうと少し怖い上、右側は断崖絶壁状態で落石が少し怖かったりする。

 石が転がったりしてくる度ビクンとビックリしながらも今までの経緯を軽く話していき、中央大陸で起きていた事から始まり今このオーク大陸で起きている案件を。

 ディラブは俺の話を黙って聞いていると最後に「そうか…」とだけ話し出した。


「貴方が邪断の勇者だったか…」

「オーガが知っているとは思いもしなかったな…何処で知ったんだ?」

「有名だから。五種族で君を知らない人間を探す方が難しいというぐらいには君は有名人だ。外の大陸にも噂が流れている程度にはな。最もまさかナーガ人とは思いもしなかったが」

「まさか外にまで邪断の名前が伝わっているとは思いもしなかったよ…それ好きじゃないんだよな」

「我儘。良いじゃない。別に悪い名前じゃないと思う。少なくとも噓つき勇者よりマシでしょ?」

「何故『邪断』の名前を嫌がる? 儂も別に可笑しい名前じゃ無いと思うが?」


 まあ…正直まともな感性の持ち主がつけたとは思えないんだよね…人を笑いものにする気満々だろうに。

 この勇者に期待をしていないという感じで名づけられたと覚えている。

 あの背の低いヒューマン族だったと覚えているが、その時の顔もニヤケ面だったのでそういう印象を抱いていた。


「ニヤケ面で名付けた名前がまともだとは思えないだろう? 馬鹿にしてやろうという意図が読み取れる。どうせ失敗すると言うな」

「…性格が悪い人物が名付けた名前にしては浸透しているところを見る限り本人としては正直不本意だったんじゃないか? ましてやそれで邪神討伐が成功したのだ。余計にな」

「なら噓つき勇者って名付け親も?」

「そのヒューマン族の可能性が高いの」


 アンヌが渋い顔をしながら「これだからヒューマン族は」と吐き捨てるのだが、ヒューマン族がヒューマン族を嫌うものじゃないと思う。

 人それぞれとは思えないかな?


「ヒューマン族か…俺は見たことが無い」

「? そこにいるだろう? この背の低い女。これヒューマン族だぞ」


 ディラブが驚きの顔と共に振り返り心底驚きを見せたが、もしかしてホビット族だと思われたのだろうか?

 分からないでもないよな…パッと見はヒューマン族ではなくホビットだもんな。

 だが、ホビットとヒューマン族には決定的な違いがあるという事を最近知った。


「ホビットは耳が尖がっておるからな…じゃから儂はあの商人が怪しいと思っているんじゃよな…」

「ああ。フードで頭部を隠していたがどうにも耳が尖がっているようには思えなかった。あいつ…ヒューマン族かもしれないぞ。それに戦えないという割には身のこなし方には慣れがある」

「うん。嘘はついているよね…私達に本当の事を話していないうえ、ナーガ大陸に居たというのも気になる。脱獄騒ぎの時点で居たのなら…」


 あの脱獄事件自体は結局外部犯が居るという事しか分からなかったわけだが、あの商人が外部犯の可能性があるのだ。

 あの商人も俺の正体に気が付いたかもしれないのでここは早めに行動した方が良いだろう。

 時間が掛かるのだろうかと聞いてみるとディラブは予想外な言葉で返す。


「もう着く。と言うより目の前にある…」

「「「?」」」


 目の前にあるのはただの道、それ以上もそれ以下も無い。

 三人で疑問顔をしているとあっという間に霧が周りを包んでいくのだが、驚きと共に俺達は混乱していく。

 ディラブは「俺から離れすぎないように」と言いながら歩く速度を落とさない。

 次第に晴れていく霧の向こう側には窪地に階段状の田んぼと十字に伸びる道と水路と中心には木で作られた家が集まっている集落と大きな溜池。

 坂を下っていく過程で俺はふと水路や下の溜池をしっかりと見るのだが、水かさが低いのだ。

 桟橋が一本掛かってその端に一台のボートが置かれているのだが、そのボートが桟橋から見て大分下にある。

 池の周りにある水痕から更に下に水面があるのだから間違いなく水の量が少ない証拠だ。

 土で固めてある道を進んでいき真ん中にたどり着くと、家の中や道路の端っこで隠れているオーガが俺達興味津々で見ている。


「まあ、珍しいよな…隠れ里なら余計にか」

「それはそうだな。こんな辺境の村に客人すら珍しいのにその上他種族なら余計だ。お前たちが初めてだろう」


 それはそうか…まあ田舎って感じの村だな。

 水が水路を通じて周りの田んぼを巡っているからだろう、意外と草木で多いイメージだ。

 さっきまで枯れている道を進んでいたのでイメージに反する。


「この村は水が豊富でな、あの谷間には水が無いから外と中のイメージが違う。先ずは村長に会ってもらう。俺も何が起きているのか知りたい」


 そう言ってきた道から見て池を挟んだ反対側に大きな屋敷が建っている。

 三階建ての大きな屋敷、大きな玄関から入っていくと靴を脱いで先へと歩いていき、十二畳ほどの畳が敷き詰められている場所まで案内されると、これまた体格の良い髭を蓄えた赤い肌に折れた角を生やしているオーガに出迎えられた。


「この村に客人とは! 私はこの村で村長をさせてもらっていますハランと申します!」

「若いですね…元気がいい」


 鼓膜が痛いというのがこの人の第一印象なのだが、常に叫び声が大きい。


「村長。客人が困るから音量を下げてくれ」

「それはすまんな! 何せ客人なんて一体何百年ぶりか!?」


 分かっていない。


「それは言い過ぎだ。精々何十年だ」

「そうだったか!?」

「…要件を済ませよう。早めにな。内容を教えてくれ」

「ああ! もう知っただろうがこの村の水量が減っている! その原因が何かは分からないが、地下を走っている地下水をくみ上げるシステム操作盤はきちんと動いているのは確認済みだ!」


 一回一回叫ぶから鼓膜が破れそう。

 アンヌは耳を塞ぎながら聞いており、リアンも気持ちが悪いのか口元を抑えて堪えていた。


「その上子供達が坑道内で見たという奇妙な卵、場所としてはシステムのある場所の上なんだ! 関係があると見る方が良いが問い合わせてもまるで返答が無い!」

「それは…」


 おかしいのではなかろうか?

 オークはオーガの家畜として作られたのなら言う事に従わないというのは。


「入りたいが俺も歳だ! もう戦闘は難しい!」

「まあ…もう二百歳だし…」


 衝撃の事実に打ち震える俺達三名、この大きな声に大きな体で二百歳!?


「なるほど。実力がある若者は皆武者修行で出かけていて居ない、だから俺か」

「ああ! お前なら急いで戻ってくるからな! まさか客人と共に戻ってくるとはな! それもナーガ十将軍と一緒とは!!」

「ご存じでしたか。私は十将軍長のジャック・ロウと申します。この度はとある事件解決の為オーク大陸の調査をしております。もしかしたら、皆さんが陥っている事件にも関係しているかもしれませんので、調査の許可を…」

「許可する!! むしろこちらから頼むところだ!! ハッハッハ!! 何だったらその後もこいつを連れて行ってやってくれ!」

「? よろしいので?」

「無論! こいつはオーガの中でも指折りの実力者なのだが、イマイチ自分の実力に自陣が無くてな! 邪断の元勇者と一緒に行動すれば実力に対する自信も付くというものだ!」


 フム…寡黙なイメージがあり強そうではあるが、確かに発言にはあまり覇気がなかったな。

 なるほど喋って自身の無さがバレたくないのか。

 しかし、この村長さんの言う通り彼はかなりの実力者だろう。

 最も他のオーガを知らないので何とも言えないし比較できないが、それでも強い方だろうと推測できる。


「それで!? 何がこの地での最終的な目的なのかな!?」

「オーガ政府に接触しナーガ政府との話し合いの場を設けたいのです」

「難しいな!! 実に難しい!」

「とおっしゃいますと?」

「簡単な話だ! 首都に行けてもまず取り合わない! ましてや他種族なら絶対だ!」


 それは…確かに難しい話だな。

 取り付く島もないという感じなのか。


「全くないわけじゃないが! それならますますこいつの力が必要になる! そういう事ならこいつを君達に預けよう! それが良い!!」


 話が終了したようで豪快な笑い声と共に部屋から出ていき、俺達はそのまま屋敷から出ていくとすっかり夕刻を迎えようと空は黄金色に変わりつつある。


「すまんな。ああいう人なんだ」

「それは良いが…どういう意味か教えてもらってもいいか?」

「首都では定期的に武術大会が行われる。二人一組ののな。それに優勝すれば話ぐらい聞いてくれるさ。交渉の席を設けるのに条件を出されるかもしれないが」

「はは…面倒じゃな」

「二人一組。それも武術大会ね…それって聖術の使用は?」

「駄目だ。呪術も魔術も禁止。腕っ節だけだ」


 これでリアンとアンヌの参加は駄目になったわけだ。


「なら俺とディラブで参加するしかないな。出来れば次回参加に合わせて行動したい。どうする? 宿に泊まって明日朝一番で向かうか、今から行って確認するだけ確認するか…」

「ダンジョンじゃないの?」

「システム操作盤のある場所はダンジョンじゃない。卵のある場所はダンジョンの端っこだが」

「なら行って確認だけするか? 操作盤を弄って終わるならそれに越したことは無かろう?」


 まあ、だけど…嫌な予感がするんだよな。

 カバンの中に入れてある野宿セットが役に立つかもしれないと念の為にと確認しておく。


「で? その場所は?」

「村はずれにある洞窟から行けるぞ。早速行こう」


 歩いて三十分程に人が三人分ほど通れそうなほどの横幅の洞窟が下へと向かって続いているのだが、足元は舗装されているのでこけそうになることはまずない。

 上にも明かりがついており意外と中は明るく照らされていて、下に降りて行っても薄暗くなることは無い。

 どうやらメンテナンスはきちんとされているようだ。


「ここはディフェンダーが管理しているので灯から道まで一通り見てくれている。安心してくれ」

「モンスターの気配も無いね」


 降りていき足元に水が溜まり始めていくと今度は真っ直ぐに進んでいき、大きな空間に出る。

 上には大きく開いた穴と下には装飾が施された足場と何かの装置、四つに分けてある道。

どうでしたか?

次はいよいよダンジョン攻略に入ります! 次は若干長い話になると思いますので!

では次は赤鬼のオーガ第八話でお会いしましょう!

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