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大陸横断地下通路攻略 3

大陸横断地下通路攻略戦三話目となります。

このお話で大陸横断地下通路攻略は終了となりますね。

では本編へGO!

 このダンジョンは単純に出入りをするだけなら真っ直ぐに通路を進むだけなので迷いようがなく、丁度真ん中辺りが一番結晶に近づくアンヌと商人が身を乗り出してジッと結晶の方を見るのだが、まあ未だに動いている事が凄いと思う。

 ホビットのロストテクノロジーは凄いな…ナーガのロストテクノロジーって今は使えない魔術ばかりだし…凄味が無い。

 女神が作ったとされている今では再現不可能な術式とされているけど…どうなんだろうな。

 大図書館に寄贈されていて、五十年に一度中身を書き写すと言われているらしいんだよね。


 遠くに見える反対側の出入り口、完全に左右対称に作られているダンジョンなので複雑には作られていないようだ。

 広さもそこまでじゃないし、ここまで来ると安心感すらある。

 俺はそっと結晶の下の方を見てみると、大きなサハギンの個体を発見し、その大きいサハギンの周りを守るように金色のサハギンが徘徊している。


「個体から見てもあの一際大きくお腹が出ているのがクイーン種かもな」

「腹が大きいから間違いが無い。ていうか、あの大きさではおそらく中に卵を無数に持っておるな。なら今は警戒心が高い可能性が高いぞ」

「近づかない方が良さそうですね…ていうかこっち見ているけど」

「警戒を俺達に向けられたな。女王種と近衛種がやってくるぞ! 赤いオーク。期待してもいいんだよな?」

「ああ。赤いオークと呼ぶな。俺はディラブと言う名だ。女王種と言う個体は倒しても良いのか?」

「良い。と言うか殺してもどうせまた生まれてしまう。ダンジョンにおいてはトップの種が切り替わることはおかしなことではない。儂はこのホビットの商人を守って戦うから。クイーン種の迎撃はお前達に任せる」

「リアンは商人を守って、残りはクイーン種と近衛種の迎撃だ」

「クイーン種ってジャックの一撃で殺せないの?」

「出来ないことは無いが、この建物をぶっ壊すことをしたくない。確かに破壊力なら俺が一番だが、破壊力があるという事は一撃が大きいという事だ。周囲を考えないで戦えばこっちが困ったことになる」

「なら俺が何とかしよう。近衛種は任せる」


 クイーン種を迎撃できる場所まで誘導するしかないわけだが、ここは細すぎて迎撃には向いていない。

 俺が周りを見ているとアンヌが身を乗り出して真下を見始める。


「下にちょっとした広場があるからそこで戦おう! すみませんけど下まで降りてください! ここだと近衛種がやってきてもかばいきれないので」

「わ、分かりました」


 急いで階段を降りていきそのまま広場の中心まで移動して待っていると、下から水飛沫を上げながらクイーン種が『ドスン』という音を立てて俺達の目の前に降りてきた。

 大きさだけでも七百メートルはありそうな巨体だが、大きすぎるお腹を揺らしながらなので間違いなく卵を抱えている。

 その周りを護衛するように金色の近衛種が周りを囲み始めていくのだが、一体一体の動きが機敏なうえ構えにも隙が無い。


「まずは近衛種とそれ以外とを分ける必要があるわけだけど…どうする?」

「エロ爺。任せるわ」

「頼むからリアンと呼んでくれんか? エロ爺を儂の仮称として使うんじゃない」


 などと言いながらリアンは両手をしっかりと握りしめてから祈るようにしていると、両手を開いてサハギン達の方へと向かって眩い光が彼らを襲う。

 近衛種が眩い光から視界を守るためにと片手で視界を塞ぐわけだが、その間に俺は重力の魔術で敵の動きを一気に封じる。


「アンヌ。俺が身を封じている間に近衛種を何とかしてくれ。この重力の魔術どうにもクイーン種には効きが悪いみたいだ。まるで応えている気がしない。アンヌ」

「はいはい」


 自己加速を掛けつつ一気に走り出していくのだが、小柄であるが故に攻撃に身を乗せることが出来ない為に攻撃範囲がどうしても縮んでしまう。

 しかし、その分加速や精密性が上昇するので細かく動き回って敵をかく乱する分には一番向いている。

 今のアンヌではクイーン種を撃破することまでは出来ないはずなのだ。

 無論時間を掛ければ可能だが、今はさっさと撃破して先に進んでしまいたい。

 ディラブが大きな斧を背負って身を震わせるのだが、真剣にクイーン種だけを見つめており、力一杯飛んでいくとそのまま斧を振りかぶる。

 クイーン種は重力の魔術をまるで効いていないようで、口を大きく開いて水を弾丸のようにして放った。

 拡散弾を思わせるような数が広範囲に、そしてディラブへと襲い掛かっていくが、攻撃がまるで当たらない。

 それもそうだろう。

 この場においてディラブにだけは攻撃が届かない様に呪術で制限がかけられている。

 これこそが呪術の最大の特徴であり、呪術に無策で挑んでいくことは無謀と称されているほど強いのだ。

 最も制限を掛ける人数が増えれば増えるほど制限が緩く甘くなっていくので、そこはケースバイケースだろう。


 ホビットの商人は何が起きているのかまるで分からないまま口を開けて呆けており、ディラブはそのまま斧をサハギンのクイーン種の脳天めがけて振り下ろした。

 脳天に直撃して紫色の血を周囲に撒き散らしながらそのまま勢いに身を任せた一撃がクイーン種を半分にしてしまう。

 生き残っていた近衛種は戸惑い始めたのを見て俺は重力の魔術を解除、するとあっという間に逃げ出していく。


「良いの?」

「良い。此処で魔物を全滅させろというのならそうするが、あくまでもここを無傷で通ることが目的だ。今は先を急ごう」

「そうじゃな。それに、たとえ今全滅させてもその内湧くしの…放置が一番じゃよ」


 呪術を見せてもらえたというのは収穫だったが、やはり呪術のレベルが高いな…オークは呪術に秀でているとは言うが、あのレベルは知らなかった。

 ただのオーク族じゃないな。

 噂のオーガなのか?

 しかし、気になる事が別にあるのでここでは発言しないが、意外と辺りを引いたかもしれない。

 さて、ここまでで半分だ…残り半分スライムのキング種が居ないことを信じるのみ!

 いてほしくない…あれは普通に疲れる。

 硬いとか戦い方に癖がある程度なら良いのだ。

 スライムのキング種は普通に戦っていてはただ増えていくだけ、核が複数個ある上に核を切っても体を半分にしては核が増殖するだけ。

 スライムは切るな、スライムは刺せは常識である。


 俺達は元の通路に戻っていき再び先へと向かって歩き出していく、結晶がすっかり後ろになっていくが、スライム達は物陰から飛び出していくつもりが無いようだ。

 駆除しても良いのだが、刺激しすぎて面倒がやってきても困るので今回は無視しよう。


「しかし、単純な構造のダンジョンで助かった。ここ、昔はあくまでもあの結晶を動かすために作った場所なんだろうな」

「じゃな。その結晶がモンスターを生み出してしまいダンジョンと化した。じゃからモンスター達はあの結晶を守っているのじゃろうな」

「あの結晶破壊しちゃ駄目なの?」

「駄目。あれが破壊されるとこのダンジョンが崩壊する。上にも影響がある事だし、ここはまだ通路としての使い道がある」

「あるかな? モンスターが徘徊している場所を歩いて移動したいとは思わないけどなぁ…」

「……………」


 ディラブは再び黙り込んでいるのだが、やはり俺の方へと視線何度か向けている。

 まあ、俺にも用事が出来たのでここを出てから話をする場を設けたいな。

 そのためにもあのホビットの商人が邪魔だ。

 俺はリアンの方を何度か見て意図が伝わらないかと試みる。


「所で、商人殿はこの後どうするつもりで?」

「私はこのまま近くの集落まで移動して真っ直ぐにホビット大陸へと向かうつもりです」

「そうですか。私達はこのあたりの調査をするので同行できるのはここを脱出するまでですね。まあ、ダンジョンに近づかない限り大丈夫だとは思いますがね」

「ええ。流石にこれ以上同行するわけにもいきませんね。オーク殿は?」

「………俺もダンジョンを出たら別行動だ。あくまでも約束もオーク大陸に到着するまでだからな」


 後少しで出入口という所でディラブの発言が飛び出した。

 約束か…そうだろうな。

 契約は呪いだからな。

 

どうでしたか?

ダンジョンの空気を大体理解していただけたらと思います。

ディラブのパーティーの本格加入は直ぐですのでお楽しみに。

では次は赤鬼のオーガ第六話でお会いしましょう!

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