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中央大陸へとようこそ 4

相克の教会編第五話目となります。

今回は中央大陸編に入ってのバトルになります。

では本編へGO!

 ジャック達がやってきた国の首都から教会側のある東側の反対側である西側には大きな森林地帯と草原地帯が広がっており、その一角にそのダンジョンはある。

 森林公園の一番奥にそれっぽい入り口があり、入り口は大きい金属製の扉で塞がれており、ジャック達はあらかじめ借りておいた鍵を使って中へと入って行く。

 多少は霧が出ているが方向感覚が狂うものではなく、周囲に咲いている草木や花もそこまで魔力を秘めてはいない。


「この辺はそこまでは魔力が濃い感じはしないね?」

「それはそうだ。別段高難易度のダンジョンじゃ無いしな。此処から一般人でも来る人は来るぞ。奥に行けば少々モンスターも徘徊しているけどな。だけど…」

「流石にキングクラスがおるだけあるのう。入り口付近に既にモンスターが徘徊しておる。下級ダンジョンは本来モンスターの徘徊は少ない方なんじゃが…キングクラス二体が徘徊となるとそうもいかんか」

「だが、あれは雑魚だ。あれでは腕試しにもならん!」

「毒は気を付けてね? 植物タイプは神経系統の毒を使うから。麻痺して動きが鈍った隙に丸呑みってよくある話よ?」

「予めワクチンを売っていれば多少は持つはずだけど…あまり食らいすぎないでくださいね?」

「だとさ。ディラブ。一人で突進…」


 ジャックが指摘したときにはディラブは既に駆け出しており、植物型のモンスターが伸ばす触手を大斧で軽く切断してから胴体を真っ二つにしてしまう。

 ジャックは小声で「人の話を最後まで聞かん奴だ」と不満を漏らす。

 無論そんな話を聞いているディラブではない。


「何か言ったか?」

「別に…ていうか。そこまで強いモンスターじゃ無いんだから急いで倒す必要も無いだろうに」

「面倒だろう? 降りかかる火の粉は吹き飛ばす! それが俺」

「ディラブが全部やっつけてくれるんだから、役割分担しない? 私とお爺ちゃんはこの森を案内しながらメイビットとネリビットと一緒に創作対象物を探すわ。残りはキングクラス討伐よろしく」


 そういって四人でその場から消えて行くわけなのだが、ジャックは心の中で「回復要因が消えたな」と呟いた。

 ディラブは周りをキョロキョロと見回しながら次の敵を探し出そうとしており、ジャック達とファリーダはその後ろをついていくことにした。

 歩くこと三十分が経過し、すっかり奥へと進んでいったような気がしたが、未だにダンジョンに巣くっているキングクラスと出会えていない。

 もう既にディフェンダーが討伐したのではと推測し始めていた。


「ディフェンダーが討伐したか、それとも嘘をつかれたか?」

「討伐依頼ならともかく、回収依頼に関しては直接確認したんだぞ? それを嘘にしてどうするよ? そもそも俺達に嘘をつくメリットを考えろ」

「キングクラスですからこの辺りを徘徊しているか、それとも…」

「俺達がその真上にいるかだな」


 大きな地響きのような音と共に次第に揺れ始める事件、その後ジャック達の周囲から巨大な触手が伸びてきて取り囲んでしまう。

 ジャックは素早く大太刀と小太刀を取り出し触手を二本ほど切り裂いてから距離を取り、ディラブとファリーダも共にジャックと共に一旦距離を取る。

 すると、先ほどまでジャック達が居た場所の地面が大きく崩壊し下から口の生えた巨大な花が生えてきた。


「またテンプレートなモンスターが現れたな。巨大な食人植物と言ったところか? キングクラスと入ってもこの辺に徘徊しているタイプだからな。そこまで強くはなさそうだな」

「と言うよりは先ほどの奇襲と言い、本来は此処を通る商人の馬車などを襲うタイプなのでしょうね。馬などの家畜の方がターゲットなのだと思います」

「俺がやる! 手を出すなよ!?」


 大斧を振り回しながら一気に駆け出して行くディラブ、キングクラスのモンスターは巨大な触手をディラブ目掛けて伸ばしていくが、ディラブはそれを難なく避けて大斧で切り裂こうとした所で一旦攻撃行動を止めた。

 ファリーダは不思議そうな顔をしていると、ジャックが「正解だ」とだけ答えた。


「どういう意味ですか?」

「そのまんまなんだけど。多分あの触手に限らずあいつの血液は毒で出来ているはずだ。出なければ見え見えの分かり易い触手による攻撃なんてキングクラスが仕掛けないだろう。ましてや最初に奇襲までした奴だ。絶対にからめ手を持っている。伸ばしたままの触手なんて「攻撃してください」って言っているようなものだしな。その後も特に攻撃をしなかった。奴は切られても困らない触手を伸ばしているんだろう」

「成程です」

「ディラブはそれを直感で悟った。まあ、厄介と言うほどでもないさ。何せ結局でやっつけるのなら出血した毒が体内に巡るほど呼吸する前に叩き切ればいいだけだ」


 ディラブは大きく息を吸い込んでから呼吸を止めそのまま走り出していく。

 大斧を振り回しながら全部の触手による攻撃を紙一重で回避していき、眼前まで迫った所でディラブはキングクラスのモンスターの胴体を完全に真っ二つにしてしまった。

 そのままその場から急いで離脱していき、ジャックは魔力で周囲に広がりつつある毒事燃やしてしまう。


「念の為にファリーダ。聖術で周囲の空気の浄化を頼む」

「了解です。ディラブさんは大丈夫ですか?」

「余裕! この調子でもう一体もやるぞ」

「それも良いが、次はまた別タイプだぞ。今度は…あれだ」


 ジャックが指さす方向にいるのは周囲を凍り付けている巨大な馬型のモンスターであった。

 周囲に漂う氷の炎とでも呼ぶべきそれはフワフワと漂いながら浮かんでおり、ジャックは内心驚いていた。


「あれもこの辺りで見かけられるモンスターなのですか? 森のイメージからは遠ざかるばかりですけど」

「いや…俺は樹氷などで目撃されるタイプのキングクラスだ。戦闘能力なら中央大陸で発見されるキングタイプでもトップクラスだろう」

「中々に強そうだ! 燃えてきた!」

「気を付けろよ? あの周囲を漂っている氷…触れると冷たいじゃすまないぞ」

「弱点を突いたほうが良さそうですね。氷の弱点は炎系統ですか」

「ああ。俺の魔術で攻撃するのが良いんだが…」

「俺が戦う! ジャックとファリーダはサポート!!」

「だよな? 炎の魔術でサポートするから、ファリーダは聖術で奴の攻撃を錯乱させてくれ」


 ディラブが人の話を聞く前に駆け出して行き、ジャックは炎型の槍を数発キングクラスのモンスター目掛けて飛ばしく。

 しかし、流石は馬型のモンスターである攻撃を難なく避け、むしろジャック目掛けて氷の銃弾を発射する。

 ジャックはその攻撃をしっかりと確認しつつ避けてから炎の壁を周囲に作り出してディラブの攻撃のサポートに入った。

 その間にファリーダは周囲の霧にモンスターだけに反応するタイプの幻術を混ぜ始めた。

 霧がモンスターの視界と方向感覚を奪い始め、ジャックが放つ炎の槍の攻撃を辛うじて避けた時、ディラブに死角に入り込まれてしまったモンスター。

 しかし、流石のキング種である。

 しっかりとカウンターを仕掛けるため、鬣が巨大な氷の槍へと変わり果て攻撃を仕掛けるが、攻撃が当たらない。

 当たっているように見えて感覚はまるで無く、ディラブの大斧がモンスターの胴体を真っ二つにしてしまった。

 霧に掛けていた幻術は解け、ディラブはモンスターの眼前に姿を現したのだった。

どうでしたか?

次回は中央大陸で起きている異変に少し踏み込んでいきます。

では次は第四章相克の教会第六話でお会いしましょう!

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