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中央大陸へとようこそ 3

相克の教会編四話目となります。

今回は国の王との会話劇を中心に書かせてもらっております。

では本編へGO!

 三階建ての中世時代の遺構がずいぶん残るお城、石積みされた城壁に周りを囲むように張り巡らされた水路、城への一本道である架け橋は朝から夕方の間だけ掛かっている。

 ジャックは城塞前広場へと立つとかつてまだヒューマン族の勇者だと信じていたころを思い出してしまう。

 此処には邪神騒ぎに関わる問題が起きていたが、教会はあまり積極性は無く、ジャックはそんな教会のやり方や考え方がまるで気に食わずこの地を助けることにした。

 今にして思えば、あの頃からジャックは教会と言う組織がまるで好きにはなれなかったわけだが、ここの国はそういう意味でジャックは好きだったりする。

 教会の威光など存在しなくても国は成り立つという意思を強く示そうとしているという点では好きになれる。

 そして、ジャック一行は遂に城塞まで辿り着いたわけだが、流石に幾ら紹介状を持っているとはいっても、他種族がノコノコ入って行けばそれはそれで問題になる。

 何より個々の国は教会嫌いは中々なもので、アンヌは今でもいちを教会所属であるという点は違わない。

 だからまず、交流があるジャックとリアンが代表して門番と話をすることにし、門番がジャックとリアンだと認識できるかどうかは半信半疑だったわけだが、意外とあっさり分かったようで国王と取り次いでくれた。

 町長が事前に連絡をしてくれていたようで、スムーズに国王に話が出来ることになり、全員で三階にある謁見の間へと移動した。

 中には中央に三階までの階段以外に最近作られたエレベーターなどがあるらしいが、エレベーターは非常事態に使われるとのことで、ジャック達は階段で三階を目指す。

 謁見の間は大きく開けた空間に一番奥にある玉座への道にはレッドカーペットが敷かれており、シャンデリアや豪華なステンドグラスなどもありここが謁見の間であるという事を把握するには十分だった。


「久しぶりですな。リアン殿。ジャック様」


 貫禄のある小太りの口髭の生やした中年男性、青と金色で装飾された豪華な衣装に身を包み、立ち振る舞いから国王であるという事がはっきりと分かるのだが、同時にジャックやリアンに対してだけ異様に腰が低いというイメージを覚えた残りメンバー。

 それに対してリアンは「まあまあ」と手を振りながら近づいていく。


「一国の国王が旅人に対して腰を低くする者じゃないぞ。今や儂は一介の旅人じゃ。無論ジャックもな。まあ、ジャックは国を代表する立場じゃが」

「改めまして。ナーガ政府直轄十将軍三席将軍長を預かっていますジャックです。お久しぶりですね」

「お二人のお話は聞いておりました。私がその場に居ればあんな蛮行絶対に…」

「よいよい。儂等も変わり果てた時から追い出されることは分かり切っていた。ジャックものう。それより仲間を紹介したい」

「いえいえ。事前に仕入れております。オーガ族のディラブさん。ホビット族のネリビット君とメイビット君。ドラゴン族のファリーダさん。そして…教会所属のアンヌですね」


 アンヌ個人に対してだけ異様に警戒心を高める国王。

 ジャックとリアンはその理由が良く分かるので、無理もない話だったが、アンヌは丁寧に頭を下げる。


「ご招待まことにありがとうございます。今現在の私は教会とは何の繋がりもありません。何せここ一か月ほどずっと外の大陸に居りましたので」

「そのようだな。そして、この一か月で教会の状況は様変わりした。何を考えているのか分からない組織ではあったが、今では周辺国だけじゃない。教会加盟国ですら困惑しているほどだ」

「そこまでじゃったか」

「ええ。ジャック様達ですら近づくのは簡単だと思いますよ。先ほども言いましたが今や教会の権威による法律など形骸化しています。流石にこんな状況ですから流石に出歩いている他種族は居ませんけどね」

「そうじゃろうが、それは時間の問題じゃな。他の国家にも告げておいて欲しい。この一か月ジャック達と共に他種族の足並みを揃えた。今回の騒動次第では他種族が観光なりでやってくると」

「教会と戦うおつもりですか?」

「最悪はな。無論、そうならない方が良いとは思っておるよ? しかし、邪神騒ぎが今一度起きようとしておるのに、教会はまるで動く気配が無い。そうなれば各国家毎に連携して動くしかない。時代が変わろうとしておるのじゃろう」

「中央大陸も変わって行く。変わることが出来る。何より今現在の教会が何を考えているのか分かりませんが、しかし、外で起きつつある邪神騒ぎを知らないわけが無い」

「邪神騒ぎ。何が在ったのですか?」


 ジャック達はオーク大陸とホビット大陸間で起きた問題を軽く説明した。

 国王は腕を組みながら黙って頷いていると少しだけ驚きながら口を開いた。


「そこまでの事態になっていたとは。分かりました。各国には私から使者をなりを送り直ぐに話し合いの場を持ちましょう」

「なら。儂の娘を通した方が良いかものう。その方が話が早い」

「ですな。ですが…やはり正面からの突破はお勧めできませんね。此処は問題視していませんが、どうやっても教会本部は別の国です。正面から行けばトラブルにはなるでしょう。どのみち教会と構えるのなら大差ないのかもしれませんが、ギリギリまであ抑える方が良いかと」

「そうじゃのう。やはり別ルートが必要か…しかしのう」

「ジャック様は迷いの森は怯えておいでですか?」

「勿論です。迷いの森で起きていた巨大なモンスター騒ぎが切っ掛けでこの国に来たんですから」

「実はあの時は話しませんでしたが、あの場所からでも教会本部がある町までは行けるのですよ」

「おや? そうじゃったのか?」

「ええ。ですが。元々ダンジョンとしても難易度は高くそのダンジョンとしての特異性から通る人間なんてここ数百年聞いたことがありません」


 ネリビットとメイビットの二人が首を傾げながらジャックに「特異性って?」と聞いてきた。


「その名の通り迷う事。迷わせる事。あの場所の霧そのものにはどんな存在にも方向を狂わせることが出来る。どんなに方向感覚が優れている人間でもな。正確な地図は作れない。無論コンパスみたいな物も一切役には立たない」

「? じゃあどうやって突破するのだ? ジャックは突破したのだろう? だからモンスターを対峙した」

「ああ。コツがあるんだ。あの霧はな」

「ええ。それをジャック様から教えて貰っていこう我が兵も助かっており、教会がダンマリを続けていこう何度か探りを入れていたのですが、最近になり再び例のモンスターが徘徊するように…」

「成程。行くついでに対峙しておきますよ。それと何か困りごとがあるなら今のうちに聞きますが?」

「いえいえ。皆さんはこの先も忙しい身」

「気にしないでください。此処で助けを聞かない人間に世界を救えるなんて思えない。それにこれは性分なんで」

「はは! 変わりませんね。種族が変わろうが貴方はやはり勇者だ。分かりました。幾らか困りごとがありましてな。他のダンジョンでの事もありますのでなるべく広範囲に移動しないで済むように配慮しておきます」

「はは…儂等の苦労を増やそうとするか…お前は」

「ムフー! ダンジョンでのモンスター退治! 俄然やる気が出来るな!」

「約一名戦闘狂がやる気を見せております」

「まあまあ。私達は勝手に厄介になっている身。これぐらいはしておきませんと」


 ジャックが代表して幾つかの依頼表を受け取ってそのままその場を後にした。

 このまま国王の前で雑談するのもどうかと思いジャック達は一旦城塞前広間で戻ってから依頼内容を確認する。


「採取系の依頼が二つ。討伐系が二つだな。懐かしい。こうやって国家間の小さいトラブルを良く解決していたな」

「そんなことをしているから物事が前へと進まないのよ? 寄り道作業を楽しまないでよ。わざわざ苦労を背負って立つわね」

「どうやらダンジョンは一つだけで良いように国王様からの配慮があるようですね」

「フム。ああ見えて物凄く配慮の出来る腰の低い男じゃからな。どうやらここから教会側とは反対側にある森林地帯にあるダンジョンじゃな。そこそこレベルの高いダンジョンじゃが、儂等なら良い相手が出来るじゃろう」

「なら。最初は俺と姉ちゃんに任せてよ! 見れば分かるし」

「なら。俺達は守りつつ討伐対象の撃破だな。ディラブとファリーダは気を付けろよ? 中央大陸のモンスターは状態異常系が多いから。毒とか麻痺とかな」

「了解だ。毒消し用や麻痺用の薬を色々仕入れておいた方が良いな」

「そういえば。アンタは一人で討伐するときどうしていたの?」

「? 俺は勇者だぞ? 効くわけないだろう」


 アンヌはスタスタと歩くジャックの後姿を見ながら「ズル」とだけ呟いた。

どうでしたか?

次回はダンジョン攻略を多少書きたいなと思っています。

では次は第四章相克の教会第五話でお会いしましょう!

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