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中央大陸へとようこそ 2

相克の教会編第三話目となります。

中央大陸での人々の暮らしを垣間見れればと思います。

では本編へGO!

 ジャック達が言っていたように中央大陸では他の種族は基本出歩くこと自体が禁止されており、もしそんな場面を目撃した場合問答無用で強制送還と言う処置になるわけだが、このジャック達が訪れている国は教会の条約に加盟していない非加盟国家であり、そんな国が教会が本部を置く首都の直ぐ近くにある。

 それ故に本来は正規の国境は相当なレベルの警戒がなされており、戦時中なのではと想像させるレベルなのだが、町長曰く「現在は全く見張りも居ない」とのことで、その真意を国王から直接聞いてみることにしたジャック。

 だが、国王ですらそれを知っているかどうかは分からないとのことで、下手をすれば全てが教会側の嘘で実際に国境へと行けば相当の戦力が待ち構えているかもしれないという悪い予想すら存在する。

 失敗が出来ないという状況でジャック達は必要以上に警戒しようという話になり、その日は早めに就寝し翌日ジャック達は駅から列車で首都へと向かって移動することにした。

 翌朝を迎えてジャック達は近くの喫茶店で軽めの朝食を取り、その足で急いで駅へと向かった。

 朝一番という事もあり、首都へと向かう人だかりに紛れるようにジャック達は急いで切符を買い、そのまま人混みに飲み込まれるように少々丸いデザインの列車へと乗り込んでいく。


「はぁ…なんでこんなに人が多いの?」

「首都へと向かう列車なんてこんなもんだぞ。朝早くは仕事に行く人、学校に向かう人でごった返すから」


 ジャックの言葉にアンヌとリアンが頷くのを見てネリビットがうんざりするような顔をする。

 実際多くの人に紛れ込むようにぎゅうぎゅう詰めになっている姿はなっている側からすれば少々いい気分じゃない。

 押し詰められることに成れないメイビットが少々疲れた顔をしていると、一人のお婆さんが「こっちにどうぞ」と開いている席を案内してくれた。

 メイビットは少々申し訳なさそうな顔をしていたが、それでもここで断るのも悪いだろうとジャックが「座らせてもらえ」と言うとそのままお礼を言いながら座り込む。

 お婆さんと話しながらにこやかに列車は進んでいく。


「首都まで三十分ですか? 他の停車駅は?」

「無いわね。この列車は首都の中央駅行きで他の停車駅は無し。首都の中には地下鉄があってそれで各区画を回るの」

「バスとかは?」

「在るぞ。地下鉄で全区画をカバーは出来んしな。儂等は中央駅で一旦降りてそのまま環状線に乗り換えじゃな。右回りで三つ行けば国王の住んでいる城前に辿り着く。そこからは歩いて移動じゃな。しかし、いくらこの国が教会の条約に加盟していないとはいえ、基本やはり他種族は珍しい。他種族が首都まで行くケースは中々無い。それは分かっておくれ。儂等はそれでも珍しいんじゃ」

「そのくせ一部のナーガとドラゴン族は何故か慣れているしな…」

「気にするな。どうせこの他種族間でパーティーを組んでいると変な目では見られる」

「まあ…基本的には中々あることじゃ無いですしね。でも、今後はそういう人達が増えるんじゃないかと」

「ファリーダの言う通りよ。気にしないでいればいいのよ。どうせジャックなんて気にしていないんだもん」

「それをアンヌから言われると少々業腹だな。しかし、アンヌやディラブの言う通り。気にしない事だな。どうせ爺がその辺で変なことをする」

「何故儂?」

「「「心当たりが無いと?」」」

「あります」

「「「でしょ?」」」


 圧を掛ける一同に根負けするリアンを無視してお婆さんとメイビットが話し込んでいた。


「ホビット族かい? 首都だと珍しいかもねぇ。何かお仕事なのかい?」

「はい。でも、上手くいくか分からなくて」

「上手くいかないと思っていると上手くいかないものだよ。病は気から。気持ちで負けちゃいけないよ?」


 お婆さんからの言葉に励まされながらメイビットが笑顔で「はい」と答えている姿をはた目に見ていると少しずつ確かに首都が見えてきた。

 列車は車道などの上をビルを掻い潜るように伸びている鉄道を走っていき、ネリビットは窓に張り付きながら興味津々に目を爛々に輝かせていると、そんな姿が微笑ましいのか多くの人がクスクスと笑っている姿をメイビットが恥ずかしそうにしていた。

 その内速度が落ちていき、中央駅のホームに降り立つ一同だったが、ネリビットは「やっと息が出来る」と言わんばかりに息を洩らす。

 メイビットはお婆さんとお別れをしてそのままジャック達へと近づいてきた。


「もう! 恥ずかしかった! ネリビットはどうして大人しく出来ないの?」

「え? なんでだよ? 興味あるものを見ていただけだぜ?」

「周りの目が見えなかった? 皆クスクス笑っていたから」

「え? マジで?」

「まあ、子供だからな。気にするな。それより環状線に移動しよう。さっきより人混みが増えるけど」


 ジャックの捨て台詞にアンヌとリアン以外が絶句する。

 彼等には「あれ以上」と言うのがどうしても想像できなかったのだ。

 駅のホームからエスカレーターで上へと昇り、案内電光掲示板に従って環状線へのエスカレーターを下る。

 その過程すらディラブやファリーダからすれば迷宮で、正直に言えば一人で乗りこなせる気がしなかった。


「なんで同じ駅のホーム内を行き来するだけで迷路を歩かなくてはいけないんだ? 右に行ったり左に行ったり」

「こんなのマシな方だぞ。もっと大きい国の首都の中央駅になると、同じ駅の中に様々な路線があり、それを行き来するだけで上下左右彼方此方に行く必要性がある。中には入ったら出られない迷宮なんて例えられるぐらいだ」

「ぬうぅ…住める気がしない。よくもこんなヒューマン族は普通に生活できるな?」

「この辺は近代的な方だからね。中世時代の遺構が残っている場所は此処まで複雑じゃないとは聞くよ?」

「そうじゃな。儂の故郷なんかはそんな感じじゃしな。この国は古くから文明を取り入れるのが早く順応も早い。この中央駅もここ五年でデカくなったと聞いたしのう」

「まだまだ拡張中だったけ? 二年前に聞いた時はそんなことを言っていた居た気がするけど?」

「だったはずだが。流石に周囲の目が凄いな」

「他種族が仲良さそうに話しながら駅のホームにいると目立ちますよね? 私とリアン様は角が目立ちますし、ジャック様は兜のような頭部が、ディラブ様は赤い肌に一本角がどうしても…」

「ファリーダとリアンは良いだろう? 帽子を被ればどうにでもなる。俺はどうにもならない」

「肌が赤いって結構誤魔化し聞かないレベルの変化だもんね?」


 中には興味津々な顔をしてジャック達を見ている人もいる。

 そんな人達と共に待っていると目の前に八両編成の列車がやってきて、そのまま中にぎゅうぎゅう詰めにされるネリビット達を乗せたまま王城方面へと移動するのだった。

どうでしたか?

次回は国王との話し合いをメインに描くつもりです。

同時にジャックが中央大陸での活動も少しだけ垣間見れればなとも思っています。

では次は第四章相克の教会第四話でお会いしましょう!

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