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中央大陸への帰還

相克の教会編第一話目となります。

いよいよ中央大陸編に入ります。

では本編へGO!

 船で揺られる事半日が過ぎジャック一行は中央大陸の南の端にある港町『レグーン』へと辿り着いた。

 閑散としている港町ではあるが、それなりの人が港には集まっており中には漁業で、中には輸出入などの仕事に明け暮れていた。

 ジャック達は簡単な荷物を持って船に居り、周りをざっと眺めると、ディラブとネリビットとメイビットが興味津々であたりを見回していた。


「なんか…物静かだね? なんていうか…もっと激しい街並みなのかと思ったよ」


 ネリビットのいう事も分からないでもない。

 前々から聞いた中央大陸のイメージとしてはかなり物足りないじめーじを抱くのだろうが、ジャックやリアンからすればここは港町の中でも閑散としているので物足りないイメージを抱いてもおかしいことじゃ無い。


「此処は港町でも閑散としているからな。大きな都市に行くと人も多いぞ。まあ、こんな町だからこそ俺達が降りても特に問題じゃ無いという事さ。教会の一件が片付くまでは大人しくが一番だ」

「そうじゃな。とりあえずこのまま一旦宿で荷物を預けるか」

「良いのでしょうか? 他種族が宿に泊ったら五月蠅いのでは?」


 ファリーダの一言にアンヌが顔の表情だけで「え? 野宿?」と訴えてきたが、ジャックとリアンは首を横にして答える。


「大丈夫じゃよ。此処のモノは其処まで他所の種族を断らん。むしろジャックがおるなら受け入れてくれるわい?」

「え? なんで?」

「此処はジャックが邪神との戦いの際に一番最初に救った場所だから。当時この街の近海では邪神が作った海神が暴れていて、ジャックがそれをワンパンで倒したのよ」

「え? 拳で?」

「剣で。流石に拳では殴っていない。だが、それ以来結構好まれているのは事実だが、どうやらあれから復興するのに時間が掛かったせいで、まだ人は戻っていないんだな」

「そのようじゃな。先に町長の元に行くか? そっちの方が良いかもしれんな。融通してもらいたい」


 リアンの提案でジャック一行は街の中心地にある町長宅へと向かった。

 街は大きな一本道に小さい道が迷宮の様に作られており、わき道に一本入ると道に迷う人は多い。


「だからわき道に入るなよ? 迷ったら探すのも困る」

「これって…この大きな通りを最初に作ったんですよね?」

「そうだよ。あの向こうに見える二つの山の谷間に街道があり、そこから港までの一本道に小さい家がまばらに出来、そのまま一つの町へと変わっていったと聞いた」

「へえ…じゃあ、ここは昔は結構有名な港町って感じだったんですね?」

「メイビットの言う通りでさ。ここは異国の珍しい品物も届くし、何だったらホビット族だったら時折見かけるぐらいだ」

「それで俺達が歩いていても誰も気にしないのか?」

「そういう事じゃ。気楽でいいじゃろう? じゃが、この先はそうもいかんからバレんように動くぞ。まあ、教会本部のある島まではそう遠くは無いがな」

「歩いて移動するのよね? どのルート? 樹海ルート? それとも山岳ルート? 街道ルートは通らないわよね?」

「そんなに沢山の道があるの? 中央大陸って?」

「自然豊かで様々な環境が揃っている。それが中央大陸の特徴だと聞きました」

「ファリーダの言う通りだ。で、アンヌの疑問だが。旧道を通ろうと思う」


 アンヌとリアンとジャック以外が「旧道?」と声に出しながら疑問顔を作り、アンヌは「ああ…あの道」と納得した。


「皆に説明すると元々この町が出来た際に出来た街道以外に海岸沿いに作られた旧道もあったんだよ。今は使われていないけど。それより安全な新道が出来たからさ。そっちは人通りが居ないし、教会本部まで真直ぐ行ける。数日かかるがな」

「でもさ。あそこってダンジョンを経過しなかった? 確か…鍾乳洞だったけ? アルノス鍾乳洞」

「じゃからじゃよ。教会の人間が本部で大人しくしていないなら、一般人を避けたら安全じゃろ? このメンツでダンジョンには遅れを取らんよ。あのダンジョンは難易度は低いしな」

「ねえ、ディラブの兄ちゃんが滅茶苦茶つまらなさそうな顔をしているんだけど」

「お前なぁ…遊びじゃないんだぞ?」

「なら。今回の一件が終わったら例の祭りを!!」

「分かった。分かった」


 そうこうしている間に町長宅の前へと辿り着いた。

 二階建てのこじんまりとした一軒家、少なくとも町長が住んでいる家だとは思えなかったが、ジャックがノックをすると奥から老人の掠れた声が聞こえてきた。

 ドアが開かれ奥からは白髪と白髭を蓄えた六十代の老人が出迎えてくれる。

 老人は少しだけ間が開くと、直ぐにジャックだと分かり喜んで中へと入れてくれた。

 それぞれソファに座りジャックとリアンが代表して現状の説明をすると、老人は状況に納得してくれた。


「成程。そのようなことが。しかし、酷い話ですな。私達で良ければ幾らでも相談に乗りますよ。ただ…そういう話なら少々タイミングが悪かったですね」

「? どういう意味です?」

「それがですな勇者殿。その旧道は今封鎖しているんです?」


 全員が驚きと共に前のめりになる。


「と言うのも先日から少々狂暴化している魔物が蔓延てしまい、教会に討伐を依頼しても動かないですし…」

「? ディフェンダーは?」

「教会指定の魔物なのです。霊属性の…」

「ああ。中央大陸では霊属性のモンスターは教会の討伐案件だったか? 俺達が討伐するから投資てくれないか?」

「それを決めるのは国のトップでして…私が嘆願書を書くことは出来ますが、返事が来るまで時間が掛かります。強行突破するという手もありますが…」

「後々面倒じゃのう。困った。教会本部に行くのに他に道はあるか?」

「この国の首都を経由すればそれが一番簡単ですね。一度首都に行きメルメル森林を超えてメルメル大公園を超える方法ですね。あれなら二日でたどり着けますよ。幸いあのルートなら関所などもありませんし、皆さんがバレる必要はないかと。ディフェンダーと国王に願い出れば皆さんの事も融通してもらえるかと。国王は前に国を救ってもらった勇者殿の事で憤慨しておられたので」

「この国は教会反対派だったわね」

「私は友好的に感じる国なんじゃよなぁ。じゃが、儂らまで一緒とは流石に困るのでは?」

「この国のなかでは困りませんよ。首都まででしたら何度か行かれた種族も居ますよ。主にホビットですが」

「言ってから困ればいいんじゃねぇ? ねえ? 姉ちゃん」

「うん。私もそれでいいと思う。一度行ってみよう。待っているよりマシだよ。何だったら国王様から一度話を聞いてみて、もし困っていることがあったら解決しようよ。助け合いって大事だし」

「そうじゃな。儂とジャックの名前を出せば会ってくれるじゃろう」


 町長は奥から一枚の紙きれを取り出しスラスラと書き始め、その紙をクルクルと丸めてジャックに渡した。


「私の嘆願書です。念の為ですが、これで確実に会ってくれるかと。念の為に明さんの状況も簡単に説明書いておきました。明日の朝一番に列車で行かれるのが良いかと」

「え? 列車使っても良いの?」


 それは本当に良い笑顔だった。

どうでしたか?

まだまだゆったりパートが続きますのでよろしくお願いいたします。

では次は第四章相克の教会二話目でお会いしましょう!

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