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魔人と謳われた種族 2

ナーガ大陸への航路後半となりますね。このお話ではナーガという種族について詳しく書かれておりますので、正直ナーガは本編に関わる要素が後半戦なので、第一章からは早速別大陸に行くし…では本編です!

 ナーガ大陸は全部で五つの種族と五つの大都市、その大都市に囲まれるように存在している最大規模の都市であり首都で構築されている大陸。

 様々な村が自然の中で溶け込み、五つの種族が五つの大都市を管理しているのだが、その特徴は()()()()()()()()()()()()という点である。

 ジャックの兜は『ロウ族』特有のもので二本の角が特徴。

 他にもトサカのような飾りが付いている『ベルナ族』や前面が尖っている『ガナル族』、丸っこいデザインの『ナナ族』、後ろに翼のようなデザインがある『テルー族』などがある。

 それぞれの種族には二十歳の時に一族ごとに異なる場所に同じ刻印を刻む習慣があり、ロウ族は『胸』、ベルナ族は『お腹』、ガナル族は『背中』、ナナ族は『腰』でテルー族は『鳩尾』に刻印を刻む。

 その刻印こそがナーガ族の証であり、ナーガ族は同族同士で結婚するのが習慣、それ以外にも長寿な種族故三十で成人とし百歳までは大陸から基本出ない。

 ナーガは寿命がドラゴン族同様に『五百歳』であり、二百歳までは『若者』と呼ばれ、四百歳までは『中年』でありそこから先は『高齢者』と分けられる。


「それ以外にもナーガは種族ごとの名前を姓とするからの。お前さんなら『ジャック・ロウ』が名前になるわけじゃな」

「……変な名前じゃないからいいか」

「お主が嫌じゃないなら良い。じゃが…刻印の無いナーガ人か。嫌われないと良いな」

「その時はナーガからも追い出されるわけだ」

「それは無い。ナーガ人なら嫌うことはあっても追放は無いよ。あそこは同種族をどんな形であれ大事にする。それ故にナーガ人は代々同種族で問題ごとを起こしやすいのじゃ」


 ジャックは水を飲んでからコップをそっとテーブルの上に置いた。


「まあ、付いて直ぐに刻印を刻めだとかは言われるじゃろうな」

「…それで受け入れてくれるなら」

「お前さんは流されやすいのう…まあ良いか。仲良くできると良いのう」

「で? 爺さんはどうするつもりなんだ?」


 リアンは腕を組みながら自らの巨乳の重さを感じて幸福感を抱き、ジャックは「しまった」と思案する。

 ジャックは「このエロ爺に余計なことをしまったか?」と考え込んだ。


「まあ当分はお前さんの旅に同行するわい。どうせ追うんじゃろう? 黒幕」

「ああ。中央大陸にいるのならあらゆる方法を使っても入り込む! 出来ることは何でもする!」

「そういう行き当たりばったりなところは好きじゃよ」


 すると部屋にジャックとよく似た兜を来た大柄の筋骨隆々大男が入ってきた。


「ナーガ人じゃな」


 リアンの言う通りナーガ人が部屋に入ってきてジャックの元へと近づいていく。


「ジャックだな? 元勇者と言われている」

「はい。ジャックだ…です」

「敬語が苦手だとはっきり言っておいたらどうじゃ?」

「良い。そういうことで来たわけじゃない。我々ナーガは刻印を体に刻む。私は本国から来た刻印士だ」


 ジャックはリアンに「どういう意味?」と聞く。


「言ったじゃろ? ナーガは二十になれば男性は絶対に刻印を体に刻むんじゃよ。四枚の翼に丸をな。この男はそれを書きに来たわけじゃ」

「その通りだ。君は今日からナーガ人。どう言い訳しようとだ。念の為に向こうに到着次第検査するが、ここでもう刻印を書かせてもらうぞ」


 ジャックは「どうぞ」と言いながら上半身裸になる。

 ナーガの男はジャックの胸に丸と四枚の翼を描き始め、ジャックは痛みではなく痒みを感じてしまう。

 抵抗こそしないが、それでもジャックは体を捻って抵抗しそうになる気持ちを抑える。


「これでいい。これで君もナーガ人だ。君は見た所『ロウ族』だろう。なら、私と同じ『ロウ』の姓を付けるんだ」

「ジャック・ロウ」

「それが君の新たな名前だ。ではよろしく頼むぞ。同胞よ。ようこそ…ナーガへ」


 男がドアを開けて外へとジャック達を案内するとそこには広大な大陸がはっきりと見え、ジャックより背の高い男の横を通っていく。

 圧倒的なほどの自然が目に入り、高い山と森がいくつにも広がっているこの広大な大陸に以外にもビルディングが立っている。


「我らナーガは決して近代文明を否定していない。使えるものは使うのがナーガだ。あそこはナナ族の首都である『ロンド・ナナ』だ」

「あそこが…」

「儂もあそこだけは来たことがあるんじゃよ…中には入ったことは滅多にないがな?」

「国家元首がお待ちです。お二人にはまず身体検査を受け体の状態を確認させていただきます。教会側よりお二人は『ナーガ』と『ドラゴン』への変貌を確認しておりますが。念の為です」

「分かっておるよ。抵抗せん。その代わり…終わったら女子が沢山おるバーにでも案内してくれんか?」


 男性が「分かりました」と感情を全く載せないままの声で言う通りにしている姿を見てジャックは感心してしまった。

 明らかな異種族間のセクハラ発言はオールスルー。


「ナーガは性への興味関心が殆どないじゃよ。じゃからバーぐらいしか無いんじゃよな…もっと性への興味関心を持てばいいのに。お前さんもナーガになってから興味関心が薄いじゃろ? 儂の胸を見てもまるで興奮しておらんし」

「そういえば…流石に爺さんほどじゃないけど。年頃の男性としては…」

「それがナーガだ。ショックか?」

「いいえ。むしろ嬉しいぐらいです。あのエロ爺を見ていると…むしろ!!」


 男性は俺の発言に「よく言ったぞ」と褒め称えた。


「我らナーガの男性は肉体と魔力を鍛えて外敵から国と一族と家族を守ることが第一なのだ。君も子供を産めば分かる」

「という事はお前さんは…」

「ええ。出産済みです。痛いぞ」

「うぅ……俺が経験するのか。痛いんですか?」

「痛い。スイカがお尻から出ていくような痛みだ」

「よく女性が聞く出産に対するコメントじゃよな?」

「爺さん…爺さんも出産するだぜ」


 ジャックの言葉にリアンが絶句した瞬間であり、この瞬間リアンとジャックは同じ苦しみを共有できる存在でもあることが証明された。


「その通りです。リアン殿も出産する体なのです。その辺も調べればわかるはずですが」

「まあ……それを差し引いてもこの体に未練は無いわい!」

「大した根性だな。流石エロ爺…ナーガ人になった俺には出来ない芸当だよ。その伝統芸をこれからも続けてくれ。犯罪者になったら即縁を切るから」

「一線はわきまえるわい。流石にナーガ人達を怒らせたら命は無いからな」

「分かっているのなら良いのです。人の奥さんに手を出したら国中の男達から引きずり回され、四肢を引き千切られるでしょう」


 リアンの表情が更に暗くなっていき「肝に銘じよう」と呟く。


「さて…お二人は降りる準備を」

「? 結局俺の大剣はどこに? 運び込まれているはずだよね?」


 リアンも男性も「知らない」というので、ジャックは仕方がなさそうに近くにいる船乗りに「大剣はどこ?」と尋ねた。

どうでしたか?

次回ではナーガ大陸に到着してからが掛かれると思いますのでよろしくお願いします!

では次の十三話目でお会いしましょう!

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