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狂った物語 7

狂った物語七話目となります。

ついに厄災のホビット戦終結です!

では本編へGO!

 ジャック達の目の前にいる約際のホビットは右手を前に突き出し、右腕を変質させると無数の鋭い棘に変異させて一気に飛ばす。

 ジャックはネリビットとメイビットを抱えて素早く移動し、他のメンツも自力で逃げていくわけだが、それを追う様に厄災のホビットは真下に一つの薬品を落とした。

 濃い緑色の薬品は地面に染みわたるとあっという間に地面から毒々しい色をした巨大な蕾を咲かせる。

 あれが厄介だと理解したメイビットはカバンからバズーカ砲を取り出して開きそうになっている蕾へと攻撃した。

 着弾すると同時に蕾を燃え上がらせるが、厄災のホビットは続けざまに複数の青色の薬品の入ったビーカーを投げつける。

 ジャック達の間へと上手く着弾しモクモクと青色の煙が上がると、青色のオオカミがジャック達へと襲い掛かってきた。

 ジャックは大太刀を抜き出しそのまま走り出して一体を切りつけつつ敵の目を自分へとひきつける。

 その隙にネリビットとメイビットは素早くその場から移動するが、厄災のホビットはそんな二人へと容赦なく棘を飛ばして攻撃してくる。

 ジュアリーが厄災のホビットの背後へと回り込んでそのまま切りかかるが、切りかかった厄災のホビットの体は消えてなくなってしまう。

 冷静に周囲を見回すドドナはポケットから小さい爆弾のような物を右斜め前へと投げつけると、巨大な破裂音と共に大きなクレーターが出来上がり、その際に生じる衝撃で厄災のホビットが吹っ飛んでいく。

 厄災のホビットは転がりながら体勢を整え直すが、そんな厄災のホビットへと向かって大斧を振り回したヴェルズリが切りかかる。

 重すぎる一撃は地面を激しく削るが、またしても同じようにあっという間に消えていく。


「鬱陶しい! コソコソと!」

「あのマントだよ! 着ているマントの効果で攻撃をギリギリで回避しているんだよ。正確には回避したという事にしているんだ」

「そういう事みたいっスね。攻略法を見つけないと攻撃が当たらないっスね」

「闇雲に追わない方が良いです。先ずは攻略法を探らないと」

「なら先にマントだけでもなんとかするべきね…ジャック。何かいい方法はある?」


 ジャックは現れたオオカミを全滅させてから再び現れた厄災のホビットの方をジッと睨みつける。

 受けた攻撃を受けなかったことにするという厄介な能力、一度発動した場合発動した本人の体は多少のズレがある。

 ジャックにはその程度は直ぐに分かった。

 問題なのはその能力を発動するのにノーリスクはあり得ないだろうという事だ。

 錬金術がいくら万能に近いとはいえ、基本は便利な能力にリスクは付き物である。

 敵が今の所攻撃した方法は『棘を飛ばす』『オオカミを出現させる』『巨大な植物を作り出す』の三つである。

 だが、錬金術を使った道具を使って戦っている以上は手札は他にもあると見ていた。

 錬金術の最大の特徴は手札の多さである。

 能力で縛られない分だけ多種多様な攻撃手段を有しており、それだけでメリットになるわけだが、厄災のホビットはその上呪いを恐れない。

 強力な能力に生じるであろうデメリットを何らかの形で相殺できるのだろう。

 しかし、相殺できる範疇にも限界はあるはずとジャックは考えた。

 無尽蔵に呪いを相殺し続ける体質を持っているのならそもそもジャック達を恐れたりはしない。


「厄災のホビットは呪いそのものを相殺できるだけの体質を身に着けたんだとは思う。だが、その回数のようなものに限界がある」

「何故そう思うっスか?」

「奴が攻撃した手段にオオカミを出現させる薬品や植物を作り出すクスリは多分ただの錬金術による品物だろう。だが、腕から棘を作り出す能力や攻撃を無力化する能力は明らかに錬金術で出来る範疇を超えている。なのに本人が何一つデメリットが現れていない以上はそれを相殺できるんだろう。だが、それを無尽蔵に出来るなら最初っから強力な呪いで攻撃すればいいだけだ。それをしない」

「成程ね…要するに回数や上限が設けられていて、一度に負担の大きい呪いを使うと流石に相殺するのに時間が掛かると?」

「はい。だからリスクの低い呪いを使って攻撃や回避して様子見をしているんです。でも、だからと言って無差別に攻撃したらどんな反撃手段が来るか分かりません」

「俺も姉ちゃんと同じ意見! あいつは多分俺達へのカウンターのタイミングを待っているんだよ」


 厄災のホビットは姿を現して黄色い薬品を取り出して真上へと投げつける、出来上がったのは雷雲であり、周囲へと向かって複数の電撃を繰り出し始める。

 ジャックはネリビットとメイビットへと走り出していき、飛んでいく雷撃を小太刀で反射する。


「ネリビットとメイビット。良く聞け。この勝負勝つにはお前達の双星のホビットとしての能力を覚醒させるしかない」

「でも! 俺達…どうすればいいか分からないよ」

「…うん」

「双星のホビットは二人で一つだ。お前達が知恵を共に引き出すんだ。お互いを信頼し、お互いをたたえ合う。それがお前達には出来る。出来ている。俺は…俺達はお前達を信じている。俺の仲間には誰一人「役立たずなんて居ない」と」

「何をしゃべろうと無駄だ! 貴様がいくらその小僧たちを守り抜こうが、そんな幼い双星のホビットが覚醒するわけが無い! 代々双星のホビットはどんなに頑張っても二十代での覚醒だ!」

「やって見なければ分からんさ。それに…出来ないと決めつけて殻に閉じこもるのは何もできない人間のやる事さ。出来る人間は「出来ない」なんて言わない!」


 ジャックは起き上がり大太刀と小太刀を握りしめてはっきりと睨みつけつつ言う。

 するとジャックの両腕の勇者の刻印が激しい発光を見せた。

 ネリビットとメイビットはお互いを見て、そして手と手を結び合う。

 ジャックは知っている。

 ネリビットとメイビットはもう覚醒の寸前まで来ているのだと、それはジャック達と出会ったからではない、厄災のホビットが呪いを掛けようとしたために防衛本能からの覚醒である。

 村人全員から呪いを掛けられて死んでいないのが良い証拠であり、二人は呪いに対する耐性を作り出したのだ。

 双星のホビットとしての二人の能力は錬金術を使った錬成の奇跡である。

 不可能を可能にすることが出来る二人、お互いの道具を確認し合いそれを混ぜ合わせていく、そうして出来た一つの大剣をジュアリーへと渡す。


「ジュアリーさん。これを使ってください!」

「あいつのあのマントを超える唯一の方法だよ!」


 ジュアリーは黙って頷き、ドドナとヴェルズリがお互いに目配せを送るとヴェルズリが駆け出していく。

 ヴェルズリはやってくる雷の攻撃を敢えて受け止め、ドドナはそんなヴェルズリへと向かって薬を打ち込んだ。

 受ける火傷の痕はあっという間に治っていき、治った所から再び火傷を負っていく。

 しかし、攻撃を受けながらヴェルズリはにやりと笑いそのまま大斧を振り回して力一杯地面へと叩きつけると、地面を真っ二つにしてしまいかねない攻撃が厄災のホビットへと襲い掛かる。

 厄災のホビット自体はマントの効果で逃げられるが、雷雲まで逃げられるわけじゃない。

 雷雲を纏めて吹っ飛ばすことに成功したヴェルズリはニヤリと笑いながら「トドメは任せるぞ」と大斧を背負う。

 ジャックは出現場所へと向かって駆け出していき、現れた所を横なぎに切りかかる。

 短時間に連続使用は避けようとしたのだろう。

 攻撃をしゃがみ込んで回避しそのままジャックから離れるように大きく駆け出していくが、その行く先に音も無く回り込んだジュアリー。

 マントで攻撃そのものを無かったことにしようとするが、攻撃事態が厄災のホビットを攻撃することは無かった。

 だが、マントはその場で真っ二つにされてしまい、驚いて体の動きが止まるその最中、ジャックの大太刀が厄災のホビットの首を斬り飛ばした。

どうでしたか?

残り三話で双厄のホビット編も終わりとなります!

では次は双厄のホビット第四十八話でお会いしましょう!

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