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災いを求める者 7

災いを求める者七話目となります。

今回は厄災のホビットサイドのお話となります!

では本編へGO!

 フードを深く被っているホビットの男は最後の魔道タバコを売りさばくとそのままそそくさとその場から後にする。

 店の撤収作業もしないままにその場から去って行くが、そんな男をコッソリと追いかける三人のホビットの若者がいた。

 若くガラの悪い男三人、いかにもなヤンキーという風貌な若者三人は首都の旧市街地では割と有名な半グレと呼ばれている者達だ。


 半グレ…組織には参加せずに集団で暴力行為に身を投じ、暴力行為や違法行為で生計を立てる者達の総称であり、彼等もまたこの辺りでは有名な半グレ達である。

 フードを深く被っているホビットの男性一人に対し、鉄パイプや拳銃などを持って逃げ道を絶つように立ち塞がる三人の半グレ集団。


「随分儲けたみたいじゃねえかよ。おっさん。俺達金欠でさぁ~金くれねぇ?」

「そうそう。今日稼いだ金額全部くれよぉ!」

「怖くて声も出ないってか? ゲヒャゲヒャ!」


 しかし、フードの中に隠れている口元が薄っすらと微笑に変わり、男は素早く袖から一本の薬品の入った瓶を取り出してそれを地面に向かって落とす。

 割れた瓶からは青色の煙が黙々と上り、フードの男はニヤリと笑いながら煙を吸ってしまった半グレ集団を見下ろしていた。

 リーダー各であろう金髪の男がフードの男に対し怯えに似た視線を送りながら助けを乞おうとするが、フードの男はそれ以外の二人に興味があるようで見ようとすらしない。

 先に倒れ今にも死にそうになっている他の半グレに近づいていき、新たに取り出した赤い薬品を注入してしまう。

 すると、今にも死にそうになっていた二人の半グレの苦しみ方が尋常ではなくなり、次第に小さいホビットの体からオークすら凌ぐほどの巨体へと変貌していき、化け物のような人相へと変わり果てた。

 まさしく化け物であり、筋骨隆々の図体とイカれた目つきは化け物と表現してもまるでおかしくない。


「な、なにを…俺の…仲間に?」

「ククク…彼方は集団で掛かってくるのに私は一人では流石に秘境だろう? 舞台と駒ぐらいは私の好きにさせて貰わないとな…」

「…部隊? 駒?」

「どのみち明日になればお前達のような半グレ風情はさっさと死ぬのが定め。ならせめて私の復讐の駒になってもらうぞ。ほんの少しでも生き残れるんだ」

「や、止めて…」


 フードを被った男はニヤニヤしながら赤い薬品を打ち込んだ。


 フードを被った男は変貌した三人の男を小さい手のひらサイズのカプセルの中へと収納し、近くの細道の先にある突き当りにある鉄製の扉へと辿り着いた。

 扉には『旧水道管理区画三番地』と書かれており、扉の先は地下へと続く階段が姿を現し、そのまま下へと降りていき古い水道があったであろう古い建築物へと辿り着く。

 曲がりくねった道を進んでいき、曲がり角にある同じような鉄の扉を開くとそこは水道がかつて流れていた古い建物とは思えないほど小綺麗な研究室のような場所だった。

 ホビット大陸では近年導入された魔道を使ったネットワーク機能を搭載した機器、通称『パソコン』と呼ばれる道具が一台置かれており、その画面にはとある場所の見取り図が描かれている。


「……ククク。漸くの想いで待ちわびた日だ。精々大きな花を咲かせてもらおう。駒も揃えた。後は舞台だ…ドデカい舞台でなければな。パレードなんて目じゃない大きな…」


 フードの男は近くにある大き目の箱から次々と自らの魔法のポーチの中へと入れていき、最後に近くに立てかけた別のマントを着ている服の上から羽織る。

 すると男の体がドンドン透けていきあっという間に姿を消してしまった。

 男はそのまま部屋を出ていき、最後には何か小さい小箱を扉に仕掛けてから端末を取り出して調べ始める。


「此処から歩いて一時間か…こればかりは仕方ない。今日中に準備をしておかないとな」


 男の言う通り一時間ほどかけて南の方を目指して歩いていくと、上へと向かって伸びている階段を音をなるべく立てないように上っていき、鉄の扉をそっと開ける。

 下には芝生、周囲には見慣れない草木で出来た壁が四方に、しかし、その中に一本の道が見えていた。

 男は誰も居ないことを改めて確認してから出てきてそのまま扉を閉める。

 すっか夜も更けてきており未明に差し掛かろうとしている時間、男は草木の壁で作られた迷路を抜けていくと、あっという間に出口へと辿り着けた。

 開けた場所、入り組んだような建築物は洋風に作られており、建物は全部で四つほど存在している。

 四つの建物は屋根の色がそれぞれ違い『赤』『青』『緑』『紫』と分けられており、その全ての建物は三階建てだった。


「アハハ。やっと辿り着いた。明日行われる双星のホビットを讃えるお祭りの本命…やはり夜中でも見張りがいるみたいだな」


 流石にこの透明になっているマントでも不用意に近づいていけばバレる可能性があるだろうと察した男は警備をしている男にバレない様に赤い建物の裏へと回り込む。

 無論裏口から入るなんて分かり易い行動をとるつもりは無く、排水管を使って上へと昇っていき二階の窓から中へと入っていく。

 薄暗い部屋には明日公開される双星のホビットがかつて国の為にと作った逸品が監視システムと共に飾られていた。


「これに触れたらアウトというわけだ…まあいい。こんなガラクタ興味は無いしな。目標は最上階か? 一階は無いだろうな」


 木製の扉に耳を当てて廊下の音を探り当てると、誰も居ないという事を確信しつつ扉をそっと開ける。

 監視カメラの場所も事前に把握しており、この部屋の前なら監視カメラが無いと確認していた。


「曲がり角と階段の近くには監視カメラがあるが、他は無かったからな。あの扉に近く入り易い場所は此処しかない。流石に一階の窓には鍵が掛かっているからな」


 男は音を立てず痕跡を残さない様に階段を上っていき、三階へと辿り着くと、見取り図にあった大きな部屋の前へと辿り着いた。

 両開きの木製のドアをそっと開き中へと入っていくと、監視カメラに囲まれた芸術品を発見した。

 無論監視カメラに囲まれている品物を盗もうとは思っておらず、その代わり部屋の壁に見えないペンで書いていく。

 見えないので何を書いているのか書いている本人にも見えていないが、彼は長年の勘を頼りに幾何学の模様を書き記していく。

 三十分ほど掛けて書き出してから息を『フウ』と吐き出してからそっと青い屋根の建物の方を見る。


「後三つか…これは意外と重労働だな」

どうでしたか?

次回は再びジャックサイドのお話に変わります!

では次は双厄のホビット第三十八話でお会いしましょう!

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