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勇者の剣を求めて 5

勇者の剣を求めて五話目となります。

では本編へGO!

 止まる宿はこれまた和風な建物をしており、豪華というほどではないが細部で装飾に拘っており、柱や屋根や壁の所々に彫って作ったであろう芸術作品が見受けられる。

 夜の七時半にチェックインしつつ、俺達は「出来れば個室で」とお願いして部屋を別にして貰ってから各々部屋の中へと入っていく。

 ネリビットの方は初めての個室での就寝という事もあり入っていく瞬間だけはテンションがやけに高かった。

 メイビットの方は少し寂しそうな顔をしていたが、まあ最悪アンヌと同じ部屋にすることも検討したが、最後は彼女自身が「個室で良いです」と主張した。

 メイビットは協調性が強い代わりに自分の気持ちをあまり主張しないようで、今後は少し気を付けながら話を進めたほうが良いようだ。

 俺も部屋に入っていくと、畳のいい匂いが微かに鼻孔をくすぐり俺は深く深呼吸してから部屋に入る。

 お風呂にも入り、食事も終わっているので正直暇なのだがどうしたものかと考えていると、ふと俺は「またお風呂に入るか」と思い至りそのまま歩いて部屋から出ていく。

 この宿である旅館にも露天風呂があるらしく、俺は一人バスタオルを購入してから露天風呂へと入っていくのだった。

 ゆっくりと湯舟に身を浸してから大きく息を吐き出す。


「気持ちいいな。ディラブと一緒に入るとゆっくり出来る気がしないからな。あいつが騒がしくて…明日には勇者の剣か。俺達も入った方が良いんだろうな。流石に俺達に目的ももうすでにバレているだろうし…」


 顔を火山の方へと向けてから大きく息を吐き出した。

 麓に入り口があるらしく、中へと一旦入りそのまま上へと昇っていき山頂近くに神殿があるらしいのだ。

 その神殿の中で勇者の剣製造をするのだそうだ。

 勇者の剣は作るまでどんな形になるのかが分からないうえ、もし作っても火口に放り込まれたら一巻の終わりである。

 熱いんだろうな~と考えて呆けていると露天風呂へと入ってくる人影を見つけた。

 鼻歌交じりに入ってくる背の低い女、それだけでもう誰かが俺には分かった。

 メイビットは流石に露天風呂だからと言って鼻歌交じりには入ってこないし、先ほど聞いた感じだと長風呂は「のぼせそう」と警戒していた。

 この場合俺の故郷の風呂をそれなりに気に入っていたアンヌしかいない。


「ジャック!? どうして?」

「はぁ…ここの露天風呂は混浴だと教えてもらったろ? それに俺は温泉好きだぞ」

「…そういえばそうだったかも。まあ良いわ。あんたが相手なら」

「裸を見られているもんな…!?」

「思い出すな!」

「思い出すなってな…お前が調子に乗った結果だろうが! 俺は何もしていないわ!」


 アンヌが右手の指先をそっと湯舟に付けて温度を確認、俺に「向こうを向きなさい」と目で指示を出し、俺が視線を外した過ぎに湯舟の中へと身を浸す。

 そのまま「フウ…」と気持ちよさそうな声を発する。


「明日はいよいよ勇者の剣製造ね。緊張する?」

「なんで? しないさ…どんな剣が完成するのか分からないのに…」

「師匠に剣を壊しました。二度もって言ったらどうなるかしら」


 俺は恐怖のあまりガタガタと震えてしまう。


「冗談よ。本当にするわけないでしょ。この後軽く夜風にあたりながらレイピアを見てみようかしら。さっきは食事中だって事で止めておいたから」

「なら温泉前に行けばいいだろうに」

「汗掻いたらその都度温泉に入るから良いんです!」

「リアンが入ってくるかもしれないぞ」

「その時はお爺ちゃんが此処で寝泊りをするだけよ。鳩尾を抑えながらね」


 鳩尾を殴られた後で呼吸困難に近い状況のまま夜を明かすことになる事だけは間違いが無いだろう。

 俺は心の中で「来るなよ…」と願っていると、女子更衣室から誰かが入ってくる音が聞こえてきた。

 ますます出にくい状況が出揃うなと思っていると、俺とアンヌは一瞬だけ女子更衣室の方へと顔を向けた。

 するとタオルで胸元から足先近くまでタオルを巻いているメイビットが入ってきたのだった。

 安堵の息を漏らす俺とアンヌ、疑問が顔をしているメイビットは最初こそ俺がいることに驚きが在ったが、ここが露天風呂だと直ぐに把握してからそのまま湯舟につかる。


「男性がいると驚いてしまいます」

「ねえ! 分かるなぁ…でもあのお爺ちゃんが居ないだけ私はマシだって思うかな。お爺ちゃんは男子と一緒に入っている間もあの調子だったの?」

「まさか。大人しいものだったよ。まるで何も考えないようにしてるようで」

「余計な情報を削除していたんですね。そこには見たい景色は無かったでしょうし」

「他のメンツは?」

「ディラブさんの部屋からはいびきが聞こえてきましたよ。リアンさんはネリビットがそのまま夜の街へと連れだしていきました」

「グッジョブよ! ネリビット!」


 本気で喜んでいるな…この女。


「まあ、ジャックお兄ちゃんが入っていくところみて直ぐに諦めていましたけど」

「じゃあ。その後私が入りに行ったんだね。危なかった…後少し早く行っていたら見られていたって事?」

「ですね。気持ちいですね。あの火山の頂上近くにあるんですよね? 勇者の剣を作るために作られた神殿が。何か特殊なギミックがあるんですかね?」

「どうだろうな。あくまでも剣製造の為の場所だしな…無いんじゃないか? 道中はめんどくさそうだが…」

「でも。途中まあではショートカットする道があるらしいわよ。モノレールが在るって聞いたから間違いないわ」

「モノレールなんてショートカットと言わないだろうに…でも歴史ある武器の一つを作る場所にモノレールって…風情も無いな」


 俺がケチをつけるとアンヌは「楽が出来るからいいじゃない」と元も子もないことを言い出した。


「何でも火山の熱エネルギーをそのまま製造に利用できるらしいんですよね。そのエネルギーを効率よく手に入れることが出来るのはあの火口近くらしいです」

「そういえばあの火山他に出入口あるのかな?」

「どうだろうな。正規ルートは一つだけな気がするが…」


 いざとなったら強行突破しかねない連中なので気を付けておいた方が良いだろう。

 やはり明日は俺達も道中を共にした方が良いだろうな。

 それに神殿にも少し興味があるしな。


「神殿と言えば…誰かさんが昔勝手に入って怒られた場所が在ったね?」

「はて? 記憶にありませんが?」

「? 何の話ですか?」

「まだ勇者だった時代にね。砂漠にある古い神殿に勝手に入ってその神殿を破壊した人がいるのよ。モンスターと戦ったって言い訳してね」

「何の話かまるで分かりませんな」

「そんなことがあったんですか?」

「ね? 実際はモンスターを楽に対すために神殿を支えていた柱を全部へし折ったの…そりゃあ壊れるじゃない? 止めておいた方が良いのにね。壊れたら怒られるって分かりそうなのに。歴史的建築物を容赦なく破壊するのよ。考古学者が涙を流していたのを覚えてる」


 あのモンスター厄介だったんだよな…楽に倒したいと考えた俺は決して間違っていないと自己主張する。


「じゃあ私そろそろ上がろうかな…メイビットも上がった方が良いよ。のぼせるし。それに、私達が早く上がらないとあそこの男性の粗末なものを見る羽目になるから」

「粗末なものというな。立派なものだろうに」

「そういう意味じゃないわよ。見せるなって言っているの」

「ワザと見せているみたいな言い方するな。早く出て行けよ!」


 俺の言葉に反応してアンヌとメイビットが風呂から女子更衣室へと消えていくのを見届けてから俺も男子更衣室へと入っていった。

どうでしたか?

しかし、いくら幼女体系とはいえ裸の女性が二人目の前に居て全く何も抱かないこの主人公はヤバいと思う一幕でした。

では次は双厄のホビット第二十七話でお会いしましょう!

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