麗華の引越しと大晦日
和馬と光秀は馬バスにカノンを乗せ天翔牧場を目指すことにした。
当初の予定ではトレセンで休養して明日天翔牧場へ帰るつもりで
いたがカノンが早く帰りたいと和馬におねだりしたため
急遽青函フェリーの予約を変更して帰郷することにした。
佐々木厩舎の方々には中山へ向かう前に挨拶を済ませているため
問題はないが、麗華は俺たちと別行動で帰郷するとのこと
まんまと騙してくれたものだ。
引退することは紫苑も麗華のご両親もみなさんご存じのようだが
サプライズプレゼントのつもりなのか
和馬を驚かせることにしたらしい
それと本来なら和馬も大型免許を所持してるので光秀さんと
交代で馬バスを運転することになっていたが
カノンが和馬と離れるのを嫌がるため休憩を多めに取り無理がないように
光秀さんの運転で帰ることにした
和馬は光秀さんへ特別手当を給付することを伝えると
扶養家族が増えたので助かりますと喜んでいたが
浅井あやのさん【旧姓綾部あやの】も天翔牧場の事務員として
働いていただいているので当然給料も支払っているが
そんなにうちの給料少ないのだろうか?
あやのさんからもDRAのお給料より多いですと喜んでいたが
あれは嘘なのだろうか?
馬バスの中でくつろぐカノンが和馬に質問をした
「ねえ、お父さん 私も来年から種付けするのかな?」
「いや、来年は1年間休養して種付けは次の年からだよ
カノンは好きな相手でもいるのかな いるのなら
お父さんに紹介してくれるかな?」
少し機嫌が悪くなる和馬
「嫌だな~ お父さん カノンの好きな異性は
お父さんだけだよ ほんとなら お父さんに
種付けしてもらいたいけど 無理だから
誰でもいいよ ドリームでもサンダーさんでも」
涙ぐむ 和馬はカノンに抱き着くがカノンは嫌がることはなく
されるがままの状態
「お父さん カノンのように優しい娘がいて
幸せだよ お父さんもカノンのこと大好きだよ
そうか まあ 慌てることもないから
来年一年考えることにしようね」
「これからわ お母さんと二人でお父さんを支えるからね
お父さんは毎日馬房へお泊りに来てね 待っているから」
なんと優しい娘なんでしょうか
和馬がまた引きこもりしそうですね
和馬たちが牧場へ無事に戻り 大晦日の前日
1台の大型トラックが牧場へ到着した
トラックの側面には馬が荷車を引いているイラストが描かれ
会社名は馬さんマークの引越し便と言うらしい
トラックの後ろには、外国製の黒塗り高級車が停車し助手席から
執事さんが出てきて後部ドアを開けると中から一人の女性が現れ
「和馬 今日からよろしくね」
和馬の妻である麗華が車から降りてきた。
「麗華、このトラックはなんだ?」
「え、紫苑 和馬に何も伝えてないの?
今日からここに住むから引越しの荷物よ」
ちょうどそこへ厩舎から紫苑が出てきた
「あれ、麗華 もう着いたの?」
「紫苑 もう 着いたのじゃないの
あんた 和馬に伝えていないの私が今日ここへくること」
てへぺろ する紫苑
「ごめん 忘れてた」
そこへ救世主の琴音さん登場
「部屋は空けてあるから 荷物入れてもらってもいいわよ」
その言葉を聞いた作業者の人たちは手慣れた手つきで
荷物を運びこんでいく
「和馬 ごめんね 文句なら紫苑にいってね」
「まあ、しょうがないな 麗華も俺に連絡すればよかったんじゃないのか」
麗華はいきさつを説明することにした。
「それじゃあ すべて 紫苑の仕業か」
「紫苑を許してあげてね どうせ宣戦布告の腹いせだから
私に意地悪したいだけなのよ まるで子供よね
和馬も愛想が尽きたでしょ 別れたら」
「ちょっと 麗華 何を言うのよ 和馬と私は
別れないわよ 和馬は私の旦那様なんだから
ねえ、和馬」
紫苑は和馬の腕に胸を押し付け抱き着くが
「紫苑 胸が小さいあんたでは役不足よ
和馬は私の大きな胸が好きなんだから」
麗華は和馬の空いている反対の腕に抱き着く
まるで子供の喧嘩に和馬は苦笑い
「二人とも今日から同じ屋根の下で住むんだろ
仲がいいのはいいけどあまり羽目を外さないようにな」
和馬には喧嘩したふりをしても無駄なようです。
「やっぱ 和馬をだますのは無理ね」
麗華が紫苑に対し
「あんたの演技が下手なだけよ」
「なんだと」
年末 天翔牧場に住人が増えた。
大晦日 居間で宴会を始める 和馬と紫苑と麗華の3人
浅井さん夫婦の3人も別の部屋で仲良く食事中です。
「それじゃあ、 乾杯するか?」
とりあえず ビールなので 3人がジョッキを手に持ち
紫苑が和馬に問う
「ねえ、和馬 何を祝うの?」
「そうだな カノンとドリームの頑張りと麗華がここに住むことかな」
「ありがと 和馬 嬉しいわ」
「まあ、 いいか」
紫苑が和馬のセリフを奪い乾杯の音頭
「それじゃあ、 乾杯~」
「あ、俺のセリフが まあいいか 乾杯~」
3人でジョッキをぶつけあい
ビールを飲み干す
各々 テーブルの食事に手を付ける
暫くすると紫苑と麗華は和馬に聞こえないようにふちで内緒話をはじめ
気になった和馬が
「おい、俺に黙って内緒話か? 聞かせろよ」
「え~恥ずかしいけど すぐにわかるからいいかな」
「夜にね 和馬と二人きりになる順番を決めていたのよ」
「そんなの 別に決めなくてもいいだろ」
紫苑と麗華は
「それじゃあ 和馬はもう馬房で寝泊まりしないの?」
「もちろんするぞ カノンとも約束してるからな」
「ほらね だから公平になるように相談してるのよ」
「7日間として2回は確実なんだけど1日余るのよ
まあ、その日は和馬が決めればいいわ」
「それでね、和馬今日なんだけど 誰にする?」
【紫苑】わたし、【麗華 】それともわたしよね
「すまんな 先客があって今日はカノンと二人で寝るよ
朝は二人で散歩へいくしな」
「あ~やっぱり カノンとなんだ まあしょがない
カノン頑張ったから 今日は譲るか」
夕食後 和馬は馬房へ行くとカノンと二人で横になるが
当然 そこへ シオンとシルクがお邪魔することになり
けっきょくは、いつもどうり皆で仲良く眠りました。
カノンも最初は文句もいっていたが最後は諦めた。
来年もいい年でありますように
新しい年は何があるのでしょうか?




