3歳馬最強への挑戦が始まる
カノンとドリームがトレセンの厩舎へ戻り
サクラ賞と五月賞トライアル出走のため調教をしているころ
和馬はシオンと産駒を馬運車へ乗せ伊藤牧場へ向かっていた。
「和馬 どうしたの複雑そうな顔をしてこの子も
和馬を見て困惑しているわよ」
シオンの隣には今年生まれた可愛いい仔馬が和馬を眺めている
「お父さん どこか痛いの?」
和馬は今まで尾花栗毛の毛色が一番魅力的に感じていたが
今年生まれた産駒を見てこの毛色いいと素直に思った。
プラチナシルバーの毛色で太陽に照らされると
キラキラと輝く明るい銀色という珍しい
葦毛になるらしい 肌色が黒なので白毛ではないとのこと
和馬は仔馬を優しく撫でると
「心配しないでね シルク お父さん 大丈夫だから」
「シオンじつわな 今年の産駒が
尾花栗毛の牝馬じゃなければ ブラックの種付けは
今年は取りやめるつもりだったんだけど
この仔馬を見ちゃうとね 」
シオンも和馬が困惑顔していた理由がわかった。
シオンにしてみれば ブラックとの種付けは
嫌ではないが、ブラックじゃないとダメだという
恋愛感情はない
ブラックほんと可哀そうな馬だな 一途な片思いです
「和馬がシルクを気に入る理由私にも理解できるわ
ほんと綺麗な毛色よね 私も見たことないわ」
お父さんとお母さんに見られて少し照れてるシルク
シルクから見たらお父さんは和馬でお母さんはシオンなので
当然 伊藤牧場でブラックを見ても
「だれ、あの知らない黒色のオジサン シルクのことじ~と
見てるけどなんだか キモイ 」
仔馬から見たら黒毛の馬は怖いのかもしれないが
我が子にキモイと言われ哀れなブラック
「おお、流石我が産駒 見事な毛色だな 素晴らしい
だが 和馬よ 尾花栗毛の牝馬ではないな
今年も俺が種付けしてもいいのか?」
ブラックは昨年の約束を覚えている
種付けするときは細心の注意を払い
尾花栗毛の馬が生まれるようにと馬の神様にも
毎日祈っていた。
ほんと 馬の神様 申し訳ございません
「まあな、不本意だけどな 俺も鬼ではない
今回はあの見事な毛色に免じて許してやる
だから今回も励めよ ブラック」
シオンに種付けが出来るとわかりルンルン気分のブラックは
スキップしながら種付けに向かった。
そこへ伊藤牧場の最高責任者が和馬のところへ
「しかし、あの気性難のブラックをあそこまで懐柔できるなんて
和馬君ほんと厩務員向きだね是非うちに来て欲しい
それと産駒を是非譲ってほしいものだね」
これはお世辞でもない本心です
「ああ、どうも おじさん お世話になってます
ブラックの気性難も随分マシになってますよ
あと数年で穏やかになるでしょうね
それと産駒は、1頭はセレクトセールに上場しますので
そちらでお買い求めください」
「残念ですね 今年は1頭だけですか? 昨年はなんとか
1頭競り落とせましたけど今年もライバルと激しい
戦いがありそうですね」
シオンの産駒は牝馬なので牧場で育てます
シルフィの産駒は今年も牡馬なのでセレクトセールに上場します
ミステリーグレイは、産駒とともにイギリスへ渡英します。
「もう少し 待ってもらえば繋養する 繁殖牝馬も
増えますから それまで我慢してください
そうなれば 庭先取引でお譲りします」
「それまで我慢ですか? 生産牧場としてはしょうがないですね」
シオンの種付けも無事に終わり 牧場へ帰ってきた。
和馬は明日にはトレセンへ行くことになる
それと現役騎手である麗華はここに住んでいないので
同居するのは騎手を引退してからになる
麗華のお父さんは、結婚祝いに新居をプレゼントしようと
したらしいが、麗華がやんわりと断った。
琴音さん
「いいかい 紫苑 第一夫人の座を射止めるには
先手を取り跡取りを作るのよ 麗華さんに負けてはダメよ
お父さんとお母さんの老後のこともあるからね」
紫苑は
「相良家の跡継ぎじゃなく 老後の心配なの?
大丈夫だよ 和馬は鬼でも薄情でもないから
死ぬまでここで暮らしていけるからね
でも勝負では麗華に負けるつもりはないわ」
琴音さん
「でもね 噂だと山崎重工の力を使い天翔牧場の横へ
豪華な住宅を建設して和馬さんと二人で住む話も
あるそうよ」
「そんなわけないでしょ 住むなら私も入れて3人で住むわよ
3人で夫婦なんだから」
翌日 和馬はヘリで千歳へ向かい美浦のトレセンへ向かった。
今年の初戦は、カノンとドリームは、GⅡ重賞レースに挑む
そしてサクラと五月のG1レースへ挑戦して3冠を目指す
ブラックの扱いがあまりよくないですが和馬はそれでも評価しています
まあ、シオンが嫌がれば直ぐに相手を変えます。




