和馬秘密を打ち明けた。
牧場の厩舎内の休憩室
和馬、紫苑、麗華の3人ソファーに座っている
紫苑のご両親にはシオンとシルフィの放牧をお願いして
外してもらっている
和馬が馬と念話で話せることと馬の神様、馬の国のことを説明するためだ
「これから二人に重要な話をするがこの話は他言無用で頼む
この件を知るのは、爺ちゃんが亡くなったから母さんと姉さんだけだから
秘密に出来ないならこの部屋から出て欲しい」
「出たとしても離婚することはないから心配しなくていい
どうするかな」
紫苑が手をあげる
「ねえ和馬のお義父さんも知らない話なの?」
「そうだよ、まだ伝えていないし
伝えるのは母さん次第だから
俺から伝えることはしないよ」
紫苑も麗華も席を外すつもりはないようだ
和馬は最初からわかりやすく説明した。
シオンから落馬して死にかけたのを馬の神様に助けられたこと
その際に念話で馬と会話する能力を授けてもらい
神さまの使徒として働くことを約束したこと
死んだら馬の国へ行きそこで馬のために調教の手伝いをすることなどだ。
紫苑と麗華はまだ半信半疑のようだが
念話で話が出来るなら和馬の行動と言動が
普通ではないのが理解できたので質問することにした。
「ねえ、和馬 ここで証明できる」
「勿論 それじゃあ ここへカノンを呼ぶよ」
「カノン 飴をあげるから休憩室まで来れるかな」念話だけど言葉にしてます。
「パパ 飴くれるの 直ぐ行くね」
「紫苑、麗華 扉を開けて馬房を見てごらん」
二人は休憩室の扉を開けて馬房を覗くと
カノンが自ら馬房の扉を器用に開けて通路へ出ると
休憩室の方へ歩いてくるのが見えた。
「嘘 じゃあ いつも和馬がタマタマといっていたのが
念話で会話していたということなの」
「そういうことになるかな」
「パパ 来たよ」
「紫苑、扉を開けてあげて」
紫苑が扉を開けるとそこにはカノンが大人しく立っている
和馬は席を立ちカノンのところへ行くと
ポケットから飴を2つ取り出し
カノンの口の中へ入れる
「これは、メロン味だね パパ ありがとう」
飴を貰うと 満足したのかカノンは自分の馬房へ
戻り扉を開けて中へ入っていく
その姿を呆然と見送る2人
「どう、これで納得してもらえた」
二人は うんうん と頷く
和馬は二人に椅子へ座るようにと指示を出す
「この念話はね天馬さんも使うことが出来たんだ
ただ今回と違うのは、天馬さんは公言していたけど
俺はこのことを公言するつもりはないということ」
「天馬さんと直接面識がある人物は少ないから
大丈夫だと思うけど、DRAは天馬さん職員として
採用してるから記録は残っていると思うけど」
「それでも念話のことは、公言したけど馬の神様と
馬の国のことは親しい友人と家族以外には伝えて
いないらしいから紫苑と麗華もくれぐれも
公言しないようにね」
「和馬 質問 馬の神様って何処に祀られているの?」
「天翔牧場の前にもあるけど馬頭観音様のことだよ
昔から農耕馬とか軍馬が亡くなると
火葬して納骨していたらしい
確か東京競馬場でもレース中に亡くなると
納骨すると聞いたことがあるよ」
紫苑が
「だから、和馬はいつも参拝していたのね
私も今日からお参りするわね
和馬と馬の国で再会したいから」
麗華も
「それじゃあ 私も競馬場の横にある馬頭観音様へ
お参りに行きます。」
「二人ともありがとう」
「いいよ 念話のこと教えてもらえたから
いろんなことスッキリしたよ
馴致にしてもほんと馬たち和馬の言うこと
すぐ理解できるから凄く不思議だったけど
謎が解けた。」
「そうか それで昨年の産駒の馴致は普通にしたんだ」
「そうだよ、よくわかったね やっぱ普通にやると
凄く苦労するね 念話だと直ぐなんだけど
セレクトセールに上場する場合は細かく指示出せないから
育成牧場の厩務員さんの苦労がよくわかるよ」
「でもどうして昨年の産駒はセレクトセールに上場したの?」
「それわね、父さんに言われたんだよ
生産牧場をやるなら牧場で繋養するよりも
セレクトセールに上場しなさいとね」
「父さんは 口には出さないけど
知り合いの馬主さんからうちの産駒を
庭先取引で譲ってくれと催促されていると
母さんが教えてくれたんだ」
「ミステリーグレイの産駒はトムさんの牧場へ
譲ると契約で決まっているから
残りの2頭はセレクトセールに上場することにしたんだ。」
「それじゃあ もう レースには出さないの?」
「そこわね 交渉したよ シオンの産駒が牝馬なら
俺が問答無用で繋養するからと牡馬なら
セレクトセールに上場する条件付きでね」
「あ~あ 今回生まれたの牡馬だったわ
和馬はほんと牝馬が好きなのね」
「まあ、俺の中ではシオンが一番だよ
だからシオンの産駒が牝馬なら俺が死ぬまで
面倒を見ると決めたんだ。
将来この牧場はシオンの産駒の引退馬繋養牧場にするよ」
「でもさあ この牧場の馬房は40以上あるわよね
流石にシオンも40歳まで子供産めないと思うよ」
「俺もそんな無茶しないよ 余裕がある分は
シオンの産駒の牝馬が産んだ仔馬用だよ
だからカノンの仔馬もここで繋養するんだ」
「まあ、和馬の好きにしたらいいよ」
紫苑は話題を麗華のことへ
「それよりも麗華は騎手の名字、相良に変更するの?」
麗華も考えていたことだが
「一応 披露宴が終わるまでは山崎で行くわよ
それ以降は、相良を名乗ることになると思う
DRAには籍を入れたのは報告してるから」
「それじゃあ 来年からは相良麗華になるのね」
相良麗華、相良麗華、 呟きながら
顔を赤くする麗華
「ほんと、麗華 可愛いいな~」
麗華に抱き着く紫苑
「紫苑 やめなさい」
ここで補足すると
ミステリーグレイの来年の種付けはトムさんの要望で
イギリスの牧場で種付けすることになっているから
グレイは来年はイギリスで過ごす予定になっている
プライムの産駒は優秀な馬と認められたが
一度種付けを試したい種牡馬がいるからと
トムさんに頼まれたからだ。
来年もシルフィの種付けはプライムが担当しますが
シオンの担当を今年の産駒次第で変更するかもしれない
初年度 尾花栗毛で2年目が鹿毛の牡馬だったから
和馬はブラックにプレッシャーを与えた
2回続けてのミスは許さないと
ブラックは、神に祈っているだろう
どうか 産駒は尾花栗毛の牝馬でありますようにと
負けるな ブラック 牝馬なら他にもいる
昨年度の産駒の話を短めで説明しました。
基本的には牡馬は売りに出されます
和馬は牝馬を大切にします。




