産駒のデビューです。
和馬は仕事の合間に千歳から成田へ飛行機で行きそこから美浦のトレセンへ
通うという過酷なローテーションを毎週続けていた。
馬の様子は逐一佐々木からメールなどで送られてくるが
直接会わないと馬の様子はわからないしカノンもドリームも寂しがると
思うので和馬はまめに通って馬たちのストレス解消を心掛けていた。
その解消方法は馬はほぼ毎日調教後体を洗うので和馬は
2頭を洗いながら牧場のことシオンやシルフィのことを
カノンとドリームに話聞かせた。
このことで馬たちの疲労とストレスも軽減できやる気もでることから
佐々木達調教師と調教助手からも感謝されていた。
トレセンでは麗華とも顔を合わせることもある
「麗華お疲れ カノンの調子はどうかな?」
調教が終わりカノンを和馬のところへ麗華が連れてきた
「いい感触よ 他の馬より折り合いがつくから カノンは賢い馬ね
今からデビュー戦が待ち遠しいわ」
「そうか、それならよかったよ」
「カノン どこか痛いとことかあるかい?」
「べつにないよ パパ それよりいつものアレ頂戴」
「何がいい?」
「今日わね ストロベリーの気分かな」
和馬はポケットから飴を取り出すとカノンの口の中へ
入れてあげるとカノンは美味しそうに噛む
飴を作る製菓会社がカノンのデビュー時期に併せるように
過去製作した飴を復活させ売店で限定販売されている
マロンクリームはカノンのデビューに併せているので
販売はしていない
えこひいきをしないようにドリーム君も和馬が
トレセンへ来たときは体を洗うようにしている
「麗華、いよいよ来週だな」
「そうね、 慢心はしないけど同世代じゃ敵はいないわよ
併せ馬でも追切でもカノンが先を行くからね」
「それわ楽しみだ 狙うわ2歳最優秀牝馬だな」
「そうね、ドリームが牝馬じゃないのが救いね
同世代にドリームがいたら毎回熾烈な戦いになりそうよ」
「そうだね こちらも3歳までは別路線で行くから
直接対決するの古馬からの予定だからね
目指すわ牝馬3冠とクラシック3冠かな」
「私が見た感じ それも夢じゃないわね
ドリームの母親 凱旋門賞の勝ち馬だし
距離は上乗せできるなら菊の花もいけるわ」
「カノンも同世代にカノン以上に走る馬もいないから
今からほんと楽しみ」
「いよいよ麗華もG1ジョッキーだな」
麗華が微笑む
「他人事だと思ってたけど 阪神JF勝てば
私もG1ジョッキーになれるんだ」
「麗華の夢だもんな 頑張ってカノンをG1馬にしてくれ」
夢と和馬に言われ顔を赤くする麗華
「私だけじゃない全ての騎手の夢よ G1ジョッキーと呼ばれるの」
カノンとドリームは翌週の東京での新馬戦で見事な勝利をつかんだ
カノンは2着の馬に10馬身ほど差をつけゴールして
観客を大いにわかせた
そしてレース後売店には限定でマロンクリーム味のカノンバージョンと
マスコットぬいぐるみが店頭に並ぶと10分ほどで完売した。
DRAは翌日には全国のレース開催競馬場で限定での販売を開始
開店と同時に完売する事態にDRAとお菓子メーカーは増産を
決めた。
それからも破竹の勢いは続く
1勝クラス2勝クラスを勝ち上がると2歳馬ステークスへ駒を進め
2頭とも無敗のまま 年末の阪神JFと夕日杯FSへ出走することになる
そしてレース当日 まずはカノンが先陣を切る
当日はカノンの体調も良好問題は麗華のメンタルだろう
パドックの騎手控室で
麗華が震えていた。
同じ厩舎の先輩でもある吉田からも大丈夫だと励まされたが
麗華はとにかく初めてが弱い G1レースに挑むのも今回が初めて
佐々木と吉田は和馬の肩に手を置いて
相良さん 後はお願いしますとその場から離れる
麗華は椅子に座り涙目で和馬を見上げ
「和馬 お願い」
和馬もしょうがないこれもカノンのためだ
麗華も準備はいいようでヘルメットをとり
金髪の綺麗な髪が肩までかかる
和馬は麗華を抱き寄せ 優しく頭を撫でる
「麗華 大丈夫 俺が付いている
負けても 俺は優しく出迎えてやるから
安心してレースをしろ 無理はするな
一番大切なことはカノンを無事に連れて帰ることだぞ」
「和馬 ありがとう もう大丈夫
カノンには無理はさせない 和馬のところに
連れて帰るわ」
「それじゃあ、 いってこい
俺はウイナーズサークルで待っている」
和馬は麗華と会う前にカノンとにこやかに談笑して
カノンも大好きな飴を頬ばり機嫌もいいようで
「カノンこのレース終わったら 牧場へ帰ろう
ママも牧場で待ってるからな」
「ウン わかった カノン1番で帰ってくるから
パパも見ててね」
レースはカノンの言葉どうりコースレコードを出して
1着でゴールした。
翌週ドリーム君も夕日杯FSを勝利して2頭とも怪我無く
牧場へ帰ることが出来た。
ウイナーズサークルで麗華は観衆の前で和馬に抱き着き
ファンの間で論争となったが
和馬が競馬学校で同期とわかり既婚者でもあるので
年末には鎮静化した。
ただ、和馬の妻であるは紫苑はこの様子をテレビ中継を見て
「麗華 許すまじ」
とつぶやき琴音さんは
「この子もこれでほんとの夫婦になったわね」
と満足げな顔をした。
それとミステリーグレイの産駒はイギリスへわたり
最初のレースこそ芝の重馬場の感覚の違いで後れを取ったが
2戦目から本領発揮しトムさんも満足な成績で1年目を終えた。
姉さんからの電話でトムさんが天翔牧場の馴致を称賛し
来年以降も育成は日本で行うことになった。
これでプライムレコードの株も上がったことだろう
毎回すいませんがレースの細かな描写は省いています。
どうかご了承ください
あと麗華と浮気することはないです。離婚もしないかな今のところ




