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涼しい厩舎で井戸端会議

8月中旬、北海道の夏も本州並みに暑いです。


天翔牧場の厩舎内では繋養馬たちが空調管理された馬房の中でくつろいでいます


夏の暑い日には放牧は朝5時から行い なるべく昼間は外へ出ないようにします。


和馬はいつものようにシオンの馬房内でカノンと遊んでいます。


シオンも子供が生まれ親としての自覚が芽生えたようで

あまり和馬に甘えなくなりました。


和馬はカノンの首筋を撫でながら呟く


「最近のシオン 前よりも綺麗になったね」


「和馬 いきなり何を言うのよ 恥ずかしい

カノンが見てるでしょ 」


恥ずかしいと言いながら和馬に綺麗と言われてシオンも嬉しいそうです


「なんかね カノンを出産する前は、可愛いいイメージだったけど

カノンを産んでからは、見るたび ドキッとするくらい

色気も出てきて綺麗になったと思ったんだよ」


「私自身は余り変わった感じしないけど」


そんなラブラブな二人の念話に割り込むのは


「ねえ、シオンちゃん お熱いとこごめんね

ちょっと聞きたいのだけど 日本の牧場って何処も

こんなに環境のいい厩舎なの」


シルフィからの質問ですね


「まさか、違いますよ 普通の牧場の厩舎は

夏暑く冬は寒いですよ 良くて夏は扇風機が

ある程度です。私の以前いた牧場は雨漏りしました。

なのでお二人とも凄く幸せです。」


グレイさん


「シルフィ 私のいったとうりでしょ

普通の牧場はイギリスの牧場と同じですよ

ただ、日本よりまだ夏は涼しいくらいですか」


そんな感じの雑談をしてると携帯の着信が


和馬は馬房の外へ出て相手を確認すると


「佐々木さんだ なんだろう」


「はい、相良です 」


「お忙しいところ恐れ入りますが折り入ってお願いがありまして

今お時間よろしいですか?」


「はい、今は厩舎で馬たちと遊んでいるだけなのでいいですよ

それでご用件は何でしょう?」


「実はですね…」


ここは札幌競馬場のパドックです。


和馬は厩務員の服を着て待機してます。


佐々木さんからのお願いの内容


麗華がGⅡ札幌記念で騎乗することになったが

今のところGⅢのレースまでしか騎乗経験がなく

初めてのレースで緊張するだろうから

出来れば麗華に言葉をかけて緊張をほぐしてくれと

頼まれたからだ。


佐々木さん優しいですね

それと早めに31勝しないとG1レースの騎乗が

出来ないからです。GⅡとGⅢは未勝利でも騎乗できるようです。

まあ、馬主が許可しませんね


それに麗華が今回騎乗するのが佐藤牧場産駒で

育成牧場で俺と面識があるからだろう

名前はトウキビモナカ 美味しそうな名前で北海道で有名な

お菓子メーカーの社長さんが馬主です。


和馬がパドックを見ていると騎乗予定のモナカの様子がおかしい

事に気が付き控室から外へ出る 関係者パスがあるので

和馬はそのままモナカのもとへ行き

厩務員とのやり取りの後モナカの手綱をとり


「モナカ 大丈夫か?気持ちを楽にしろ」


入れ込む モナカだが和馬の声でふと我に返り

少し落ち着いたようだ


あれだけ入れ込んでいたモナカが大人しくなり

和馬の凄さを痛感する厩務員


「あ、和馬さんどうしてここにいるんです」


「そりゃあ モナカの応援だよ 頑張れよ

お前の実力なら必ず勝てるよ 

騎手の指示どうりで問題なくいけるから安心しろ」


「それとな今日はいつものオジサンじゃなく

綺麗なお姉さんが騎乗するから

余り興奮するなよ」


「和馬さん 冗談はよしてください

カノンちゃんくらい可愛くないと

興奮なんかしませんよ」


「お前が相当頑張らないと

将来カノンに種付けさせてやらんからな

せめて年度代表馬を目指せ」


「え、そんな でも やって見せますよ」


「そうだ、その心意気だ それじゃあ俺は行くから」


和馬が騎手控室へ入るとそこには麗華がいた


「あら、和馬どうして ここにいるのよ

私の応援に来てくれたのかしら」


「あ、麗華 探したよ 勿論麗華の応援だけど

それと仕事だよ モナカは佐藤牧場産駒だからな

俺もモナカの馴致の手伝いしたから」


「そうか、佐藤さんと親戚だったわね」


「ひいばあちゃんが佐藤さんの娘だったんだ

ひいばあちゃん 元騎手だよ」


「それで麗華 初GⅡの騎乗だけどいけそうか?」


「大丈夫と言いたいけど これ見て」


鞭を持つ手を見せる麗華だが僅かに震えている


「武者震いか?」


「そうよと言いたいけど普通のレースと違ってね

緊張するのよ それにね」


麗華が電光掲示板を見ると

麗華の馬が1番人気だった。


「正直きついわ 重賞1番人気初めてなのよ」


「俺に何かできることあるか?」


「それじゃあ お願い あの時のようにしてくれないかな」


「抱きしめて頭ナデナデか?」


驚いて周りを見る麗華


「ちょっと声がでかい 聞かれたらどうするのよ」


「俺ならいいぞ それで麗華の力になれるなら

お安い御用だ」


麗華は下を向き 小声で


「それじゃあ お願い」


麗華は頭を撫でてもらう準備にかかる

ヘルメットをとらないと頭を撫でてもらえないから


和馬は麗華の肩を抱き寄せ 頭を優しく撫でる


「頑張れ 麗華 俺が見てるからな」


「ありがと 和馬 いってくるね」


ちょうど時間のようで と~ま~れ~の号令が


麗華は服装を整え 整列してお客さんへ一礼すると

騎乗する馬へと向かう


さあ 俺の役目はここまでだな


レースの方はモナカが実力以上の力を出して

見事1着でゴールした。


そんなにカノンが好きなのか?

まあ俺は頑張る牡馬の味方だからな



ウイナーズサークルで観客へ手を振る麗華の視線の先に

和馬が拍手をしている姿があった。


「和馬 いろいろ ありがとう」


麗華は見事GⅡ札幌記念で1着になった


ただこの時点では佐々木はカノンの主戦騎手だと

告げていなかったし和馬も教えていない


まだ、入厩してませんからね

すいませんがレースの細かい説明は省かせていただきました。

また この作品はフィクションですので

細かい描写など気になさらず お楽しみください

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