入厩まであと1年です。
ラグーナシオンの今年の種付けもマスタングブラックに決めた
理由は生まれたのがシオンそっくりの尾花栗毛の女の子だったからだ。
まあ、これも奴へのご褒美のようなものだろう
今年生まれた仔馬も母親も皆元気で健やかに過ごせている
プライム君には今年もミステリーグレイとシルフィの種付けを
お任せする 今年生まれた産駒が活躍してくれればトムさんも
実力を認めてくれると思うから プライム君頑張れ
イギリスには仔馬が1歳になったら空輸するので
それまでに馴致を済ませたいが、問題はやはり重馬場に対する
経験を積ませることだろう 芝の違いはどうにもならないからな
本日は天候もよく放牧日和なので朝から
放牧地へ放すことにした。
母親への注意事項は展望台の近くには行かないように
といっておいた。展望台の係員には大声を出さないようにと
お客さんへの注意喚起をした。
一応天翔ホースパークの収入源になっている
人気施設なのでお客さんにも喜んで貰いたいが
こちらとしては繋養馬の安全を確保したい
業務終了後
和馬はシオンの馬房へお泊りにいった。
最近の和馬の楽しみは生まれたばかりの仔馬だろう
それでも管理者としてシオンばかり構うことは出来ないので
プライム君の馬房から順番に問題ないか確認をする
ミステリーグレイとシルフィの馬房では
母親に挨拶した後に仔馬と遊んであげる
グレイの産駒の名前はトムさんが命名するので今はまだ
名前がない シルフィの産駒は今考え中です
仔馬が遊び疲れたのでシオンの馬房へ移動
「シオン来たよ」
「和馬 いつもより遅いわね 」
「仔馬の体調管理も管理者のお仕事だからね」
「まあ、そうね あれだけ遊んであげれば
よく眠れるわね」
和馬はシオンの産駒 命名 ラグーナカノンと遊ぶ
「なんか和馬 カノンに夢中よね」
「だって シオンそっくりで可愛いいし
俺に懐いているからな 大好きだよカノン」
カノンは生まれて間もないが既に言葉も喋る
念話だからかもしれないが
「パパ カノンと 遊んで」
「おお、カノン 可愛いな いいぞ 遊ぼうな」
和馬は寝藁の上に座ると膝の上にカノンを乗せ
カノンの相手をするが
シオンは見てるだけなので暇そうです
暫く遊んでいるとカノンは寝てしまったので
和馬もいっしょに横になりいつの間にか
寝てしまった。
シオンは寝てしまった和馬を見てぼやく
「最近 和馬は私の相手をしてくれない」
隣の馬房にいるグレイとシルフィがシオンと念話で会話する
グレイさん
「和馬さん カノンちゃんに夢中なの
貴方の娘なんだから 我慢してあげなさい」
「でも、私も相手をしてほしいの」
シルフィさん
「シオン 余り我がまま言うと和馬さんに
嫌われるわよ 貴方も母親になったのだから
もう少し大人になりなさい」
「前から言おうと思っていたけど
貴方はほんと幸せなのよ
和馬さんを独り占めしてたでしょ
私たちはあまり構ってもらっていないのよ」
「和馬さんにはプライムを助けてもらったし
この御恩はお返ししないといけないけど
私にできることは産駒を生むことだけだから
とても心苦しいわ」
グレイさん
「私は馬の国の天馬さんにも御恩があるから
いい子をたくさん産んで
恩返ししないとね 」
シルフィさん
「余り言いたくないけど 確かに貴方の母親は離乳前に
お亡くなりになったけど 育ての母のアイドルさんも
いるでしょ 貴方のために和馬さん探してくれたのよ
私たちも初産で大変だったけどアイドルさんの助言が凄く
役に立ったわ 甘えないで もう少し強くおなりなさい」
シオン
「私 和馬に嫌われてるかな?」
シルフィとグレイ
「そんなことは絶対にないわね
その証拠に貴方の馬房で今も寝ているでしょ」
「私たちが言いたいのは愛されているのをいいことに
それに甘えないで自分磨きをしなさいと
いっているのよ 貴方ももう若くないのよ
和馬さんをつなぎ留めたいなら
イイ女になりなさい」
シオン
「わかった。 和馬に嫌われたくないから
頑張るわ」
「なら、よし さあ寝ましょう」
和馬は目を覚ましていた
「グレイ、シルフィ ありがとう 」
シオンは少し大人になったようですね
それから 半年後 天翔牧場では離乳後も母親から
引き離すことはしません 同じ馬房で仲良く過ごします
仔馬の教育もママの仕事です。
仔馬の名前は、ラグーナカノン、プライムドリームと命名
馴致をするための良い資料が優駿から和馬へ手渡された。
ノートとメモリーカードには馴致の進め方とタイトルがあるが
どちらも天馬が育成牧場を始めたときのメモ書きらしい
念話が出来ない人には参考程度にしかならないが
和馬の場合は大いに参考になると喜んでいる
そのおかげでゲートの試験練習までスムーズに
馴致が進む
仔馬たちは3頭とも和馬の後をついていく
まるでカルガモ親子見たいと紫苑が言う
それと種付けも無事に終わり問題なく受胎しているのを
確認した。
シオンの種付けするため伊藤牧場へいったが
そこでカノンが和馬のことをパパといって懐いていたのを
ブラックが見て カノンのパパは俺だと激怒しました
季節は秋から冬に変わるころ
天翔牧場へ来客が
「相良さん お久しぶりです」
「佐々木さん いらっしゃい 産駒の見学ですか?」
和馬と佐々木は結婚式の時 初めて挨拶を交わした
「いよいよ来年入厩ですからね 今からほんと楽しみです」
「騎乗馴致は順調に進んでますから 入厩したらすぐにでも調教に
入れますよ 期待してください」
「それは本当ですか? 天翔牧場の産駒にハズレなし
と昔から言われてましたよね 是非産駒を見せてください」
和馬は佐々木を馬房へ案内する
施設を見学しながら佐々木は
「しかし、競走馬にはとてもいい環境の厩舎ですね トレセンもここまで
設備がいいと調教も捗るのですが、いまだに冷房は扇風機ですから
馬も大変ですよ」
トレセンはいまだに冷暖房完備じゃないそうです
「北海道も本州並みに夏は暑いですから体調管理には
気を使いますよ」
「佐々木さん この馬房です。」
「どれどれ 拝見しますね」
天翔牧場の馬房は2頭入れても広さは十分あります。
シオンとシルフィの馬房にいる産駒を調教師の目で確認する佐々木
「2頭とも凛々しい顔つきですね
来年が楽しみです。」
「佐々木先生は親子が同じ馬房で今も過ごしているのに違和感を
感じないのですね?」
「ああ、そのことですか? まあ確かに普通の生産牧場ではありえませんね
一時期天翔牧場のまねをした牧場がいましたけど既に廃業していますから
離乳したあとも親子で仲良く生活できているのは日本全国でもここだけです」
「私も父と祖父に聞いていなければ、おかしな牧場だと思うのでしょうね
祖父はご存じのように天馬さんが牧場始める前からの付き合いでしたから
最初はこの状況に戸惑うこともあったときかされました。」
「私の父も調教師でしたが死ぬ間際まで一度は天翔牧場の産駒を調教したかったと
病床で聞かされ私がその父の意志を引き継ぎましたけど
昨年まではもう無理だと正直諦めてました。父の夢を叶えることが出来そうです
父の分まで頑張ってG1を勝てる競走馬を育てて見せますよ」
「佐々木先生 どうかうちの子のことよろしくお願いします」
カノンとドリームは来年佐々木厩舎へ入厩します。
「ところで少し早いですが主戦騎手の希望はありますか?」
「そうですね、ドリームは先生の判断で騎手を決めてください
カノンは山崎麗華騎手へ主戦騎手を頼むつもりです。」
「麗華ですね 確か同期と聞いています それに彼女が悩んでいた時期
相良さんにはお世話になりました。私が不甲斐ないばかりに
お陰で彼女もりっぱに成長しましたよ なんだか精神的にも成長しましたね」
「佐々木先生、協力して2頭とも世代の代表馬にしましょう」
「そうですね、目指すは3冠馬です。クラシック3冠と牝馬3冠を
この2頭で取りましょう」
佐々木厩舎へ入厩させます。
主戦騎手を麗華に任せますので紫苑とまたひと波乱ありますかね




