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紫苑の親友 麗華が来た

結婚式当日俺たちは天翔牧場の自家用ヘリで札幌のホテルへ向かった。


このホテルに併設してる教会で式を挙げホテルの宴会場で披露宴をするためだ。


式で俺は初めて女性とキスをした。


和馬が緊張すると私も緊張するからそんなにおどおどしないでと

紫苑から小言を言われた。


披露宴には同期生、牧場関係者をはじめDRA関係者など取引がある

数多くの方々が祝福に来てくれた。


その中には当然トムさんと青葉姉さんも入る


俺が馬主さんたちに囲まれていると紫苑はわたし交渉事苦手だからと

女性陣のところへ避難してしまった。


馬主さんからは、産駒が生まれたら是非譲ってくださいとの

お願いが大半を占めるが初産駒は残念ですが全て購入者が決まっていますと

お断りするのが大変だった。


ミステリーグレイの産駒は当然トムさんのところだし

それ以外のシルフィとシオンの産駒は一応父さんが

馬主になる予定だ。


馬主さんと入れ替わりにDRAの広報宣伝担当の人からは

売上向上のため是非アイドルホースを早めに

出走させてくださいと懇願される


最近のDRAは売り上げが伸びず低迷してる

原因は走れるアイドルホースが不在だからだ。

G1レース開催でも売り上げが伸びず

指定席も完売しないらしい


その辺は産駒が生まれて走りを見ないと俺も

いいですよと断言できない辛さがある


披露宴が終わり青葉姉さんから


「和馬 紫苑さんと家へ来るの楽しみにしてるからね」


「必ず寄るから 安心してよ」


今回の新婚旅行ではフランスとイギリスへ行くが

トムさんの牧場もそのコースに含まれるので

観光と視察も兼ねている


披露宴が終わり ホテルのヘリポートには

俺たち二人を見送る人達がいます


俺の両親と紫苑のご両親だ。


「和馬さん 娘のことよろしく頼みます。」


和馬は頷き


「お義父さん お義母さん 繋養馬のことよろしくお願いします」


「任せてください ハネムーンべビー期待してますから」


「お父さん 何いってるのよ こんなところで恥ずかしい」


「ごめんね 紫苑 お父さん 酔っているから」


因みにシオンの母親は昨日天翔牧場へ連れてきてます。


充実した施設に満足してましたよ


ヘリポートから飛び立つヘリを見送る人たちに手を振る和馬と紫苑


千歳から成田へ飛び翌日の夜の便でフランスへ向かい

そこからイギリスのトムさんの牧場でのんびり過ごす

スケジュールとなってます。パッケージツアーではないですからね


和馬と紫苑が旅先で泊まるホテルは全てスイートDXで

寝室は2部屋あるところを選んでいた。


和馬は遠慮していたが紫苑は毎晩懲りずにアタックして

和馬のべットへ忍び込む肉食系女子だった。


最後は和馬も諦め同じべットで眠るようになる


紫苑は呟く


「まあ、今回はこれで良し あんまり押しが強いと

和馬に嫌われるからね」


和馬たちが旅行中の天翔牧場では繋養馬たちは皆

和馬の不在を悲しんでいる


やはり気軽に話せる和馬が皆恋しいようですね


シオンもそれは同じで今回は和馬の取り計らいで

シオンのお母さんが隣の馬房にいるが

やはりひとり寝が寂しいと母親に愚痴を言う


「え、シオンはいつも和馬さんと馬房で寝てるの?」


「当然でしょ 和馬は私の旦那様なんだから」


娘の一言でドン引きする カワイイアイドルさん


周りの馬房にいる繋養馬たちもいつもの甘々ラブラブの

光景を思い出す。


私の育て方間違っていたのかしらと不安になるお母さんでした。


それから10日後 和馬と紫苑は新婚旅行から帰ってきました。


紫苑の母親の琴音さんは娘と和馬の距離感が改善したと感じていた。

娘 頑張れ


紫苑は結婚式を挙げてから母屋へ移り和馬と同室で暮らしている

毎回和馬が馬房へ泊まりに行かない日は、根気強く

和馬に対してお色気作戦を決行 和馬も男子なので

遂に我慢できず紫苑を押し倒すところまで進展した。


これで無事に子供が出来ればいいと琴音さんは喜んだ。


それから何事もなく月日がながれ翌年の春


天翔牧場では元気な仔馬が生まれた。


シオンの仔馬は母親と同じ尾花栗毛の女の子

ミステリーグレイの仔馬は葦毛の男の子

シルフィの仔馬は青鹿毛の男の子が生まれた。


お産は母さんの奮闘と和馬の補助で無事に産まれた

シオンのお母さんには子育て経験者として

ご教授お願い致します。


父さんにカワイイアイドルを天翔牧場で繋養したいと頼んだが

お客さんの受けがいい大切な馬なので繋養先を

変更できないと言われた。まあ、貸してもらえるだけいいかな


そして昨年から始めた放牧地の展望台夢見る丘だが

今年からは特別観覧席も当日現地で販売することへと

変更になった。


今年からは元気な仔馬と母親を見ることが出来るようになります。


種付けの時期まで少し余裕が出来たころ牧場へ訪問者が


「あら、山崎麗華さんじゃないですか お久しぶりですね」


「紫苑 そんな堅苦しい呼び方やめて いつもどうり麗華でいいわよ」


紫苑と麗華は、競馬学校での同期生だが麗華は騎手課程に在籍して

見事に試験を合格してDRAの騎手になった。


「それで 話ってなに 電話では話せないことだっていっていたけど」


麗華はキョロキョロしながら誰かを探している


「あんた 和馬を探しているの?」


「ちょっと相談したいことがあるのよ

相良君いるの?」


和馬と山崎さんは同期生として面識はあるが

普通の友達程度の仲です

麗華と紫苑は親友です。


「いるけど どんなようなの?」


厩舎の外で会話していたがそこへ和馬が厩舎の中から現れた


「二人とも騒がしいな 仔馬が驚くだろ」


「相良君久しぶり 麗華よ 山崎麗華 」


「山崎 名前連呼しなくても覚えているよ」


「それで 俺に用なのか?」


「相談に乗ってほしいのだけどいいかしら」


そこで不満顔の紫苑は


「麗華 わたしじゃダメなの?」


「それじゃあ 二人に相談なんだけど

わたし昨年試験合格して騎手になれたけど

今だ未勝利なの それでね なんとかしたいのだけど」


「先生は別に気にするなといってくれるけど

同期は皆 昨年中には1勝はしているのよ

わたしには原因がわからなくて困っているの」


山崎麗華は試験合格後 佐々木調教師の厩舎へ配属された

懐かしい佐々木さんですがこの人は天馬のお世話になった

佐々木さんのお孫さんです。


和馬はこの間で携帯でサイト閲覧して麗華の戦績を調べている


確かに1着はないが、出走レースのほとんどは掲示板に入る

5着以内の優秀な成績だ。


妙な点があるとすれば新馬戦と未勝利戦の成績が極端に悪く

10着前後の成績となっている


俺たちに助言できるかわからないが紫苑の親友だしな

手助けしようかな


一度麗華の騎乗に問題ないかを知るため和馬は

シオンとプライムを馬房から出してきて

鞍を載せ騎乗の準備をする


「山崎さん 一度プライムに騎乗して林道を走ってもらえるかな

道はぐるりとまわる周回路だから道に迷う心配ないから

それを俺が後ろからついていき問題点があるのか見るから」


「それと最後の直線だけレースみたいに真剣に走らせて

速度は速くなくていいから」


「わかったわ 私も準備するから 着替えるところ貸して

くださるかしら」


紫苑が麗華を案内して母屋へ向かう

麗華も騎乗できる運動着は持参していたようです。


「プライム シオン すまんな ちょっと付き合ってくれ

紫苑の親友だからな できれば問題を解決したい」


「和馬いいわよ 私も久しぶりに走りたいしね

勿論 和馬は私に乗るわよね」


「勿論だよ 後ろからついていき問題点を探らないとね」



10分後 着替えが終わり 麗華が


「相良君ごめんね それじゃあ よろしく」


「ああ、気にするな 友達だろ」


友達と言われて 顔を赤くする麗華は照れてる

照れてる麗華を見て 不機嫌な紫苑


プライムに騎乗して林道を走る麗華

後ろから見ていても綺麗な騎乗スタイル

何処に問題があるか素人の和馬にはわからない


プライムからも技術的にも問題なく

凄く走りやすいと高評価だが

最後の直線でその評価が覆る


「和馬さん このひとからプレッシャーかけられて

走りずらいです」


その言葉どうり 直線で失速してしまうプライム


次に騎乗する馬をシオンに変更して同じコースを走ってもらう


途中まではプライムと同じで走りやすいと高評価だが

最後の直線でやはり少し速度が落ちるが

プライムの時ほど悪くない走り


「ねえ、シオンどうだった。」


「確かにプレッシャーかけられた

重賞やG1レース勝てるような馬ならあまり問題ないと思うけど

新馬や未勝利馬だと筋肉が縮んで走りにくいかもしれないわね」


山崎さんも少し疲れたのかタオルで汗を拭きながら

休んでいた。


「山崎さんお疲れ 一つ質問なんだけど

最後の直線でいつも何を考えて走ってる?」


「そうね、馬により当然脚質は違うけど最後の直線なら

普通は鞭を使いながら差しで勝負ね

逃げ馬なら後方気にしながら走らせるわ」


「まあ、そうだよね 」


「山崎さんは馬の性格はと聞かれてどう答える?」


「馬は臆病で繊細な性格をしているかな」


「はい、正解」


「恐らくね 山崎さんの勝ちへの執着心が馬へ伝わっていると

俺は思うよ それが馬へのプレッシャーになり

馬が委縮することで走りを阻害してるんじゃないかなと思う」


「それじゃあ どうすればいいの?」


「そうだね、勝つことへの執着心は大切だと思うけど

馬が怯えるからね 特に新馬とか未勝利馬だと

経験不足で騎手のプレッシャーに負けてしまうんだ

それで実力が出せずいい成績も残せなくなる」


「あくまでも俺のやり方だけど

俺はまず馬に騎乗すると首筋を優しく撫でて

今日はよろしくねと馬に問いかけるね

それで馬の緊張が緩和できればベストかな」


「山崎もまだ新人なんだからもう少し

競馬を楽しんで騎乗したらどうなの?

今のままならどんどん騎乗するの辛くなるよ」


「相良君 もう一度 走ってみるわ」


山崎さんは、プライムにまたがると

俺がいったのを真似して首筋を撫でる


俺とシオンもプライムの後を追うことにした。


「プライム さっきよりもいい感じ?」


「そうですね、気持ちに余裕が出来たのか

先ほどよりいい感じで走れますよ

問題は最後の直線ですね」


プライムは先ほどと違い速度が落ちることなく

走り切ることが出来た。


「和馬さん プレッシャーはまったく感じません

頑張って走ってねと優しく言われた感じがします」


「そうか、ありがとう ただ本番のレースで

どうなるかだよな」


俺と山崎は牧場へ戻り 山崎は紫苑に連れられ

着替えにいった。


「俺が山崎の力になってやれないかな」


シオンが答える


「私だったら 和馬に頭撫でてもらえればそれで満足するけど」


安直すぎないかそれ


「単純だから効果あるかもしれないわよ あと名前で呼んであげれば

 彼女喜ぶかもよ」


「シオンが言うなら試してみるかな」


まあ、これが後に痴話喧嘩の原因になりますけどね


着替えが終わり 紫苑と山崎が出てきた


「相良君 ありがとう なんかつかめたかもしれない

週末のレース頑張ってみるわ」


山崎が和馬にお礼を言うため目の前に来た時に和馬は行動に移る


和馬が突然麗華を抱き寄せ優しく頭を撫でる

麗華も和馬のことが学生時代から好きなので抵抗することもなく

されるがまま身を任せて


「ええ、ちょっと相良君 恥ずかしいよ」


やめてと言わないところが麗華の本心かな


「麗華 お前は頑張り屋だ お前の努力は必ず実を結ぶ

 くじけそうになったら また俺のところへ来い

 慰めて頭撫でてやるからな」


麗華の顔がぽ~となる


「和馬に麗華と呼んでもらえた すごく嬉しい」


やはり本音が出た


和馬が抱擁を解くと名残惜しいのか顔を赤くした麗華が


「和馬 私今度のレース頑張るから 必ず見てね」


「わかった。必ず見るから 頑張れよ麗華」


ちょうどそこへ 紫苑が呼んだタクシーがきた


「それじゃあ 和馬 またね~」


和馬は走り去るタクシーに手を振る


和馬は悪寒がした。後には鬼がいる


「和馬さん お話があります どうしてお互い名前で

 呼び合っているのかしら」


「え、俺は シオンに言われてやっただけだ」


「私は そんなこといってません 麗華どう見ても

勘違いしてるわよ どうするのよ」


「いや違う 提案したの馬のシオンだよ」


「冗談はやめて下さい 馬はしゃべれません」


紫苑に言われてぐうの音も出ない和馬でした






和馬が浮気するお話ではありません

今後は新しい調教師と主戦騎手になりたい方が

登場します。

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