和馬、英国から無事帰国する
空港の免税店で紫苑へのお土産を購入して俺は帰路に就いた
乗り継ぎやっとのことで牧場までたどり着くとその足で父さんと母さんのところへ向かう
「父さん母さん ただいま これお土産ね」
「それと父さんこの書類お願いできるかな
トムさんの牧場で馬を2頭購入したから貨物便で来ると思う」
「おおそうか、どれどれ 和馬 種牡馬の方はいいが
この牝馬いくらで購入したんだ。」
「契約書も挟んであるけど〇億円だよ」
「まあ、この牝馬の戦績ならそれでも安くしてくれたほうだな
それで支払いは牧場の資金から支払うのか?」
「いや、もう完済してるからそこに領収書もつけてあるよ」
「おまえ、どこからそんな資金捻出したんだ。」
「お父さん 青葉からメール来てたけど
その代金競馬の配当金だそうよ
小切手で払ったからトムさんも驚いていたらしいわ」
「和馬まだ未成年だろ どうやって購入したんだ」
「俺が馬番を指示して姉さんに購入してもらったから
法律的にも問題ないよ」
「やっぱり和馬は天馬さんの血筋だな
俺では到底真似できない」
「まあ、いい 疲れただろうあとはこちらで処理しとくから
早く帰ってやれよ 紫苑さんも首を長くして待っているからな」
「それじゃ母さん また来るよ」
母さんにもトムさんの厩舎でのやり取りを簡単にメールした。
母屋の爺ちゃんのところへ行く
襖を開けると爺ちゃんの部屋なのでここで呼びかける
「爺ちゃんただいま 今帰ったよ
イギリスでいい情報が入ったから」
爺ちゃんはテレビを見ていたが俺がきたので電源を切ってくれる
「和馬疲れただろ 話は明日でもいいが
そんなにいい話なのか?」
「驚かないで聞いてね
今回イギリスで購入した牝馬なんだけど
なんと馬の国の記憶を消されずにこの世界へ転生した牝馬なんだよ
トムさんの馬房でねいきなり天馬さんの身内の方ですかと
呼び止められてねもう驚いた。」
「それは興味深いな その牝馬の冗談話ではないのかな?」
「それはないね 話を馬房の中で聞いたんだけど
ひいお爺ちゃんの天馬だけじゃなく
ひいお祖母ちゃんの名前もはっきりと美鈴といっていたから
間違いないよ」
「それにねこの世界へ転生するとき別の世界へ転生したのが
天馬さんに懐いていたチャコチャンだったらしいからね
でもその話聞いて不思議だったんだけど
たしか亡くなった競走馬は馬の国へ行きそこでのんびりと暮らせるんじゃないの
どうしてまた転生するのかなと疑問に感じたから牝馬に質問したらね」
「現役時代にG1を1勝でもしないと何度でも転生することになると
教えてくれたよ それで爺ちゃん チャコチャンは
現役の時の成績はどうなの?」
「和馬よ まず訂正するとチャコチャンはこの世界にいたときの
登録名はチャコでチャコチャンではないぞ
それと2歳で引退したからG1は勝利していない」
「そうなんだ、それじゃあ転生するときに名前も変更しないと
転生出来ないんだね」
「そしてこれが最後の情報なんだけど
ひいお爺ちゃんが調教するときに本物そっくりの競馬場を
念じて目の前に出せるそうなんだけど
転生するのは日本だけでなく世界中の国の何処かだから
出来れば世界中の競馬場の情報を記憶して欲しいと
要望された。」
「確かにターフも国により全然違うからな」
「それじゃあ 爺ちゃんも死ぬ前にいろんな国の競馬場の動画でも
見ておくとするかなそしたら皐月に褒められると思うから」
爺ちゃんにイギリスのお土産を手渡し部屋を出ることにした
「それじゃあ、爺ちゃん俺もう行くね」
さて最後に紫苑の家に行こうかな
「お邪魔します。紫苑いますか?」
すると中からお義母さんの声
「和馬さん どうぞ開いてますから」
返事を聞いて中へ入ると家族3人で居間でテレビを見ていた。
「紫苑 帰ったよ、お義父さん、お義母さん
留守中お世話になりました。何か問題ありましたか?」
「いいえ、何も問題ないですよ シオンはここへ来る前は
うちの馬ですしシルフィクイーンも問題ありません
でも和馬さんがいないからシオンが寂しそうにしてましたね
あとで顔出してあげてください」
「そうですね、そうします、あとお土産です どうぞ」
お義母さんに紙袋を手渡す
「和馬 私へのお土産はどこかな?」
「勿論、あるよこの箱だよ」
紫苑へ小さい紙袋を手渡す
「ねえ、開けてもいい?」
「勿論だよ」
紫苑は紙袋から小さな小箱を取り出すと包装紙を解く
「何かな? 楽しみだな」
紫苑は丁寧に小箱の蓋を上に開ける
「うわ、腕時計 見た感じ高そう」
「紫苑 はしたないわね 母さんに見せなさい」
紫苑のお母さんは時計に詳しいらしい
「これ、○○ックスの時計ですね」
「はい、空港の免税店で購入しました。」
「このモデルはけっこうな金額だったと思いますが
頂いてもほんとによろしいですか?」
「紫苑のために購入した時計ですから遠慮なさらず
受けとってください」
紫苑のお義母さんは時計を紫苑へ渡しながら
「紫苑大事にしなさいよ それと和馬さんにお礼を言いなさい
婚約指輪ももらったのに和馬さんはあんたには
もったいないわね 捨てられないように
尽くしなさいよ」
紫苑は小箱を抱えて
「母さんに言われなくても言いますよ
和馬、ありがと大切にするね」
「紫苑 余り気にしなくてもいいよ
どうせそれ競馬で稼いだ配当金の一部だしね」
親子3人の視線が和馬に集まる
「え~和馬さん この時計〇〇〇百万すると思いますけど
競馬の配当金で購入されたのですか?」
「一応俺のとペアで購入したのでまあ、その倍ですかね」
「でも馬券購入したのは俺の姉さんですから
法律的にも問題はないです。」
これ以上の説明がめんどいので逃げ出す和馬
「それじゃあ、失礼しますね お邪魔しました。」
天馬がバンガローから出て行くのを3人の親子は見送る
「紫苑 あんたが和馬さんに捨てられても
お父さんとお母さんはこの牧場に居残るから
あんた一人で出て行きなさいよね」
「和馬が私を捨てるわけないでしょ
こんなに愛らしいのに」
あざといポーズを親の目の前で見せる紫苑
和馬は一人で馬房へ向かう
「シオン 寂しかったか」
「和馬 お帰りなさい 少しね寂しかった
今日はここでいっしょに寝てくれるわよね」
「そのつもりで寝袋持参してきたよ」
和馬は寝袋を見せる
「和馬のその優しいところ ほんとに好きよ」
シオンは寝藁の上にごろんと横になる
和馬はシオンのすぐそばに寝転ぶとシオンに抱き着く
「シオン オヤスミ 明日の朝は散歩に行こうね」
「和馬 約束よ おやすみなさい」
隣の馬房でシルフィクイーンはぼやく
「あら、和馬さん 私に挨拶はないのかしら
それにプライムレコード件どうなったか 教えてほしいのだけど」
隣の馬房を覗き込み仲睦まじい様子を見て
「まあ、明日でもいいか 二人ともおやすみなさい」
翌朝 馬房へ来た 親子3人はシオンに寄り添い寝ている和馬を見つめる
和馬とシオンは物音で起きることなく幸せそうに眠っている
「紫苑 ほらごらんなさい あんた捨てられるわよ」
「シオンに負けてたまるか~」
次回は購入した馬が牧場へ到着します。
今後どのような展開になるのか乞うご期待




